森マガ

サッカークラブの経営の本なんだけど一般企業の人事に必要な情報も満載だった

会社の人事評価って難しいと思います。職種が違う人を平等に評価していないと不満が溜まるでしょうが、実際に公平な視線を持つのは難しいと思うのです。

少し前は年功序列型で、これはこれで分かりやすかったのですが、悪平等で若手の意欲を削ぐ結果になってしまいましたから、今は多くの企業がいろいろな方法を試していると思います。

野球だとちょっと評価の方法がサッカーや普通の会社とは違うようです。と、里崎智也さんがおっしゃってました。

ですが、サッカーや普通の会社では全体の「成績」が個人にも大きく影響を与えるということで似ているでしょう。

では公平な評価を与えて業績を伸ばすためにはどうすればいいか。この本の考察が非常に参考になるかと思います。

プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム オックスフォード・ユナイテッドFCの事例 [ 角田幸太郎 ]
プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム オックスフォード・ユナイテッドFCの事例 [ 角田幸太郎 ]

プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム オックスフォード・ユナイテッドFCの事例 [ 角田幸太郎 ]
プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム オックスフォード・ユナイテッドFCの事例 [ 角田幸太郎 ]

この本は基本的には学術書だと思います。夜ちょっと読んで寝ようか、というものではないでしょう。オックスフォード・ユナイテッドで導入された、インセンティブと罰金制度を元にMCS(マネジメント・コントロール・システム)を検証しています。個人成績(KPI)に基づく基本給決定と試合への貢献度係数によるボーナスなどでチームがどう変わったかを検証しています。これだけ具体的な内容を使って調べるというのは、クラブの協力がなくては出来ません。その意味ではクラブがよく開示したと驚かされますし、貴重な資料になっていると思います。

 

さらにこのMCSに残された課題も興味深く、常に変化が必要だというのも感じられます。もしこの検証をJクラブでやれればもっと面白くなるでしょう。また、このMCSが日本人の心情的、あるいは感情的な部分とどう相容れるかという問題もあると思います。日本でも特別な試合にボーナスを出したとき、勝率がどうなるかという検証もあったと聞きます。それでもJクラブに多くの外国籍選手がいて、その選手たちはこのようなMCSの中で育ってきているのなら、十分考えてみなければいけないはずです。

 

クラブの内情がどのようなものか、とことん深く知りたい人にお勧めです。特にシャワーとかトイレとか誕生日とか、罰金のところは笑えます。

 

 

 

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