長崎サッカーマガジン「ViSta」

【コラム】僕のライターライフ ~名鑑のオモシロ1行ネタ~

新チームが始動して約3週間ちょい。この時期は初練習・必勝祈願・ユニフォーム発表・キャンプといった動きが相次ぐので、各クラブの番記者というのは取材→原稿→取材→原稿・・というループの日々が続く。シーズン初めの時期は、どのニュースも新鮮さがあるので、各媒体からの依頼が増える時期なのだが、この時期特有の依頼と言えば、やはり選手名鑑のお仕事だ。

これまでは毎年、全専門誌の名鑑とクラブ公式イヤーブックの3~4誌を担当していたのだが、今年は名鑑がなくなった媒体もあるので一誌だけを担当する予定。昨年までは専門誌の傾向に応じて、記述内容やネタをそれぞれ個別に容易して内容が被らないようにしていたが、今年はそういうことを気にしないで良いので、例年よりずっと進めやすかった。魔界村のハードモードでずっと頑張ってきたのを、イージーモードにした感じだ。もうレッドアリーマも怖くない。

そんな名鑑で各クラブの番記者が最も苦労するのが、オモシロ系の1行ネタ文章だ。番記者である以上は余り知られていないネタが重要だ。例えば僕が「実は高木監督は現役時代は日本代表選手だった」とか「なんと驚き!ファンマ選手は外国籍選手!」とか書いたら、東から太陽が昇るくらいの確率で二度と原稿依頼は来なくなるだろう。なので普段からの情報収集は本当に大事だ。新加入選手についても、加入の情報を掴んでからは、常にチェックしておかねばならない。

一方で、初めて番記者をやりますという人にとっては、初対面の相手の面白いエピソードを書くというのは無茶ぶり以外の何者でもないと思う。せめて長文ならまだ書きやすいが、大抵は18字~25字とかでまとめねばならず大変なのだ。ネタの選別も重要で、いくら面白くても「合流以来、週に4日は金縛りだ!」とか「仮想通貨で4億円損した」(*あくまで例です。)とかの反応に困るネタはアウトだろう。

そういう状況なので、オモシロネタを頻出させてくれる選手は、本当にありがたい存在だったりする。現在の長崎でいえば、中村慶太・吉岡雅和あたりは実にライターに優しい選手だ。ほぼ2週に1度のペースでどこからかエピソードが入ってくる。同じように、丁寧に受け答えしてくれる田上大地・前田悠佑なども助かる存在だ。そういう意味では昨年に引退した村上祐介さんも、非常にありがたかった。逆にネタというかキャラクターが強すぎて困った選手と言えば、やはり佐藤洸一(現 ツエーゲン金沢)だろう。何をしても「天然」「予想外」に集約されるため、オモシロネタが多いのに短文では上手く表現できない規格外だった。

果たして今年のチームはどんなネタを聞かせてくれるか??今年も面白いエピソードを取材できるように頑張っていきたい。

reported by 藤原裕久

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