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長崎サッカーマガジン「ViSta」

【コラム】鳥栖との試合を前に思うこと


今節の対戦相手であるサガン鳥栖は、V・ファーレン長崎が創設された年に、トレーニングマッチとはいえ初めて対戦したJリーグクラブだ。当時(2005年)の長崎でプロ契約選手だったのは現在コーチを務める原田武男のみで、あとの選手は全員が別に本業を持つ「アマチュア」選手だった。

当時の鳥栖はJ2で、新居辰基、飯尾和也、髙地系治らが所属し、現在V・ファーレン強化部長を務める竹村栄哉も所属していた。
とは言え、このトレーニングマッチでの鳥栖はサブ組がメインで、長崎も善戦はしたが力の差を見せつけられて終わった。このトレーニングマッチが行なわれたとき、私はまだサポーターだったので、地元のメディアで取材をしていたのは長崎新聞だけだったと思う。

それから13年が経ち、長崎は紆余曲折と波乱万丈を繰り返してJ1に辿り着き、鳥栖もいろんな経験を積みながらJ1昇格と定着を成し遂げた。たぶん、週末の試合にはたくさんのメディアが来ることだろう。かつて長崎新聞のみだった地元メディアも多くが取材に来ることだろう。そんな位置まで来たのだなと思うと感慨深いものがある。

試合の結果は誰にも分からない。良いサッカーをしても負けることもあれば、最悪の内容でも勝つこともあるのがサッカーだし、どちらも必死でどちらも全力なのだから。ただ、個人的には、一番近い街のJクラブと、文字どおり「街」と「その街のサッカー」を背負っての試合というのは滅多にできる経験ではないという気持ちがある。誰かにデコレーションしてもらったような「ダービー」でも、お仕着せの「クラシコ」でもない勝負が経験できるのだ。それもJ1の1年目で体験できるのだ。それはやはり特別と言って良いと思う。

もちろん勝ちたい。絶対に負けたくない。何が何でも残留したい。負ければ失うものがあるだろう。勝たないと見えない景色もあるだろう。最高のシナリオは長崎が勝利することで、それが最大の望みなのは間違いない。でもね、負けても無くならないものもあるし、負けても変わらない景色もある。それは14年V・ファーレンを見続けてきて、よく知っている。「資金不足」「施設不備によるJリーグ昇格断念」「選手の大量退団」「倒産危機」…。いろいろあったが、それでもやっぱりサッカーやV・ファーレンとの日々は楽しいものだった。だから今回も、週末の90分をいつものように心ゆくまで楽しみたいなと思う。何しろプロが素晴らしい舞台で全力を尽くした勝負を見せてくれるのだから…。そして、帰りの車の中でいつもと変わらずにこう呟くだろう。
「やっぱ、サッカーはおもしれぇなぁ」
それが言えれば、きっと結果に関わらず勝利なのだから。

reported by 藤原裕久

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