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【アカデミーレポート】令和元年度 長崎県高総体サッカー(男子)決勝戦レポート ~策で創成館の勢いを断ち切った長崎日大が大会2連覇を達成~

7日、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で『令和元年度 長崎県高等学校総合体育大会 サッカー競技(男子)』の決勝戦が行なわれ、長崎日本大学学園が創成館高等学校を逆転で下し、昨年に続く大会2連覇を達成した。

立ち上がりから裏を狙って積極的な攻撃を展開した創成館は、前半17分に櫻田颯人のFKから新川翔太がヘディングを決めて先制に成功。対する日大はボールをつないでいくものの、フィニッシュ一つ前のシーンで精度を欠き得点を奪えず、前半を0-1で折り返す。このまま創成館が押しきるかと思われた試合だったが、ハーフタイムに橋本亮介、50分に山脇忠大を投入した日大は、後半56分には中村晃と池田勝博を同時投入して、システムを2トップへと変更。1.5列目の山﨑光も加えて、橋本と中村の3人が前に並ぶ事実上の3トップとしてパワープレーで得点を狙っていき、後半62分に橋本からのボールを受けた山﨑が同点ゴールを奪取。さらに68分、中村がゴール前へ送ったボールが創成館のオウンゴールを誘い逆転に成功。その後に創成館が退場者を出したこともあって、試合は日大が勝利した。

長崎日大vs.創成館という昨年の同じ顔合わせとなった決勝戦、勝負の明暗を分けることになったのは、経験値と交代の駆け引きだった。

選手権やインターハイの出場実績で上回る長崎日大だが、今年から九州プリンスリーグに参入している創成館に対して、挑む側の意識を持って戦っていたように思う。それがリードされる展開も覚悟しての、橋本亮太、中村晃投入からのパワープレーというゲームプランであり、亀田陽司監督はそれについて試合前の時点で選手たちに伝えていたという。

このパワープレーが試合の明暗を大きく分けたのだが、中でも中村投入のタイミングが完璧だった点は記しておきたい。1点差でリードし、悲願の全国出場まであと15分を切る(前後半35分×2)という状況でなければ、創成館の選手たちはパワープレーにももっと余裕を持って対応できたろう。逆に中村投入が遅ければ、日大が逆転まで持っていくには時間が足りなかったはずだ。このあたりの判断は、国見や長崎総科大附属といった強豪を相手に我慢する戦いをやってきた亀田監督の経験が大きかったということだろう。

一方の創成館にとっては非常に悔しい敗戦だった。今季の軸と位置付けていた2年生の岩崎雄永が万全の状態であったなら、あるいは1年時から試合に出場し、チームで最も経験を積んでいるエース兼主将の田中瑛修が出場停止でなければ、チームのメンタルは簡単にブレなかったかもしれない。攻勢の時間帯に2点目を奪いきれなかったことも悔いが残るだろう。

ただ決勝戦に出場できなかった田中も、試合終盤に交代出場して直後に退場となった岩永も、強く悔しさを噛みしめているに違いないし、試合に出ていた選手たちも同様の気持ちだろう。その気持ちと反省を今後の戦いにぶつけていってもらいたい。

勝利した長崎日大は、7月25日から8月1日まで沖縄県で行なわれる『南部九州総体2019』に出場する。長崎日大らしい手堅さと丁寧さ、そして周到さを発揮することを期待しよう。

reported by 藤原裕久

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