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【コラム】4年ぶりにアカデミーへ復帰したレジェンド原田武男(V・ファーレン長崎U18ヘッドコーチ)「目標であるプレミアリーグ昇格へ向けて、選手個々の質を上げていくことを考えています」


V・ファーレン長崎創設時には選手として、Jリーグ参入後はスタッフとしてチームを支え続け、クラブのレジェンドと言われる原田武男が久しぶりにアカデミーでの仕事に取り組んでいる。

アカデミー年代の指導実績は圧巻だ。V・ファーレン長崎U18最初の監督として、長崎県地域リーグを勝ち抜き、長崎県U18リーグ2部、長崎県U18リーグ1部を全勝優勝。プリンスリーグ九州への昇格も達成した。2014年には世界最大級の規模を誇る国際ユース大会であるゴシアカップでU14Jリーグ選抜を率い日本勢として初優勝。帰国時には当時のチェアマンに直々の出迎えも受けたほどの実績を誇る。

今回の役割は、新たに就任した村上佑介U18監督を支えるヘッドコーチ。実に4年ぶりのアカデミーへの復帰だ。

「いろんなところ、特に環境面は変化したなと感じますね。アカデミーの子も海外留学とかしていますし、その辺や予算面も含めて、昔より充実していると思います」

U18のヘッドコーチは、プリンスリーグ九州と長崎県U18リーグ1部の日程が重なった場合、U18のセカンドチームを率いて、U18県1部リーグを戦うことも求められる。

だが今年のU18県1部リーグは、ここ数年で最もレベルが高く、大激戦が予想されている。国見高校がプリンスリーグへ昇格したものの、長崎総合科学大学附属高校と創成館高校の県内2強がプリンスリーグから降格し、U18県1部リーグに参加。さらに以前は可能だったプリンスリースとU18県1部リーグの両方への出場も、プリンスリーグで一定時間出場した選手は県リーグでプレーできなくなるなど、変更があったという。そのため、V・ファーレンU18と国見高校のセカンドチームは、U18県1部リーグの多くの試合を1~2年生主体で戦わねばならないのだ。

「正直、厳しい戦いになるとは思っています。強豪校は強化のために特待で獲得した選手も多いですしね。U18県1部リーグで言えば、単純な選手の個では創成館や長崎総大附属の方が上かもしれません。それでもチームがプレミアリーグ参入を狙っている以上、U18県1部リーグとしても、しっかり戦っていかないと」

原田ヘッドコーチにとってもう一つの大きな仕事は、今年から就任した村上佑介U18監督を支えることだ。現在、V・ファーレンU18はアカデミー全体で目指すスタイルに沿って強化を進めている。特に後ろからのビルドアップは全体で取り組んでいるが、村上U18監督は、自身が全てを取り仕切るのではなく、コーチ陣と役割を分担しながら、一つのチームとして指導していく方針をとっている。その中で原田ヘッドコーチは選手の質にこだわっていきたいと言う。

「久しぶりのアカデミーの指導ですし、初めて見る子たちもいるので、チームの目標であるプレミアリーグ昇格に向けて、選手個々の質を上げていくことを考えています。個性という点ではまだ弱い部分もあるし、基礎の止める、蹴るの部分でも雑さが出るときがある」

そう語る原田ヘッドコーチが現在、懸念しているのが新型コロナウイルスの影響だ。

「特に3年生の子たちには、アカデミー最後の年なのですごく強化に支障が出てしまう。生活が制限されている中で、練習はするけれど、試合はないっていう状態が続いているんでですね。そこへの対応は、アカデミースタッフでも一番、考えているところです。」

現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、トレーニングを休止しているU18だが、このまま大きな問題がなければ、来週にはトレーニングを再開できる見込みもあるという。まだ公式戦のスケジュールや大会形式がどうなるかはわからない。それでもU18の選手たちと、スタッフ陣は再開へ向けて準備をしている。彼らが存分にサッカーをできる日が少しでも早く来るよう、コロナ禍の終息を祈りたい。

reported by 藤原裕久

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