長崎サッカーマガジン「ViSta」

【アカデミーレポート】木藤健太監督(国見高校)インタビュー その③「新しい国見の姿を作っていきたい」~今、国見が今目指すもの~

高校サッカー界の重鎮、小嶺忠敏監督(現 長崎総合科学大学附属高校サッカー部監督)に率いられ、選手権6度、インターハイ5度の優勝など、圧倒的な強さで全国を席巻していた国見高校サッカー部。その国見が全国の舞台から遠ざかってから10年。全国から遠ざかっていた時間の中で、国見は「小嶺監督後」のスタイルを模索し続けてきた。昨年にプリンスリーグ2020九州への昇格を達成し、その努力が形となって現われてきつつある国見が今目指すものは?第1回(コロナ禍での高校サッカーの指導)、第2回(国見は九州プリンスリーグをいかに戦うか)に続き、国見高校の木藤健太監督に話を聞いた。


-昨年は選手権出場へあと一歩まで迫り、プリンスリーグ九州への昇格も決めました。国見が復活してきたと言われることも増えているようですが。

僕の中では、復活したとか、あの頃のように強くなったとか、そういう思いはまったくないですね。もうあの国見には・・、小嶺先生が作られたような圧倒的な強さを誇った頃に戻ることは、できないんだろうなと思います。高校サッカー界全体を見ても、ああいう高校はもう出てこないでしょうね。当時とは状況も、サッカーを取り巻く環境も、時代も違いますから。

-どうしても国見高校と言えば、小嶺先生が監督だった頃の印象が強いので、そこと重ねて見られてしまうことも多いと思いますが。

そうですね。もちろん僕らも日本一を最終目標にしています。ですが目標としている日本一に至るまでのプロセスや考え方は、小嶺先生がやられていたときとは違うと思っています。あれは小嶺先生の指導力があってこそできたプロセスや考え方、指導であって、僕らに同じことはできないと思うんです。小嶺先生のような指導者は、そうそう出てこないだろうなって。そういう意味であの頃の国見に戻るということはないと思います。


-去年、久しぶりに選手権の県大会決勝まで勝ち上がりました。そのときに全国からの注目度が非常に高く驚きました。

あれは僕らにとっても驚きでした(笑)。あの決勝戦で、まだまだ国見はこれだけ応援されているんだなと感じることができました。県大会の決勝戦であの盛り上がりだったので、選手権の本大会に出場することになったら、もっとすごいのかなと思いました(笑)。

-その期待の中、どんなチームを作っていきたいと思っていますか。

新しい国見・・と言ったら大それた言い方になるかもしれませんが、そういう新しい姿を作っていきたいですね。僕が目指す部分として、みんなに愛されるというか、地域の人たちから応援してもらえる、そんなチームにしたいというのがあります。それこそ国見高校が全国に出場するとなったときに、長崎県の人たちが「やっと国見が全国大会に出場してくれた」と喜んでくれるようなチームですね。そういうチームでありたい。昔から応援してくれている人や、新たに応援してくれる人に期待感を持たせるチームを作っていきたいです。

-そういう姿を見せるためには、結果も大事になってくると思いますが。

選手権では県大会に優勝して全国に出場する、プリンスリーグ九州でも、最終的にプレミアリーグ昇格を目指してやっていこうというのは、常にスタッフと話をしています。そこに到達するためには、まだチームとしての地力が足りないので、そこを補うためにも、みんなで良いチーム作りを進めていきたいです。

-最後に、今の国見高校が高校サッカーファンに一番見せたいものは何になるか聞かせてください。

今の国見には、中学時代に年代別代表に選ばれているような生徒たちはいないんですけど、みんなサッカーが好きでここに集まってきているんです。そして3年間同じ釜の飯を食べながら切磋琢磨しています。そういうところをみんなに知ってもらいたいですね。今も国見は頑張っているんだというところを見せたいです。それが一番伝わりやすいのが、選手権本大会、プリンスリーグ九州やプレミアリーグの舞台だと思うので、これからもそこを目指していきたいと思います。

reported by 藤原裕久

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