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【アカデミーレポート】長崎の指導者たち:有光亮太(CAセレスト代表・九州文化学園サッカー部監督) インタビュー「個を尊重しながらも組織的に戦う」「長崎を驚かせよう」2つの目標を追う県北の新鋭

長崎で今、一番に野心的だと言うと、V・ファーレン長崎がJFLで戦ったときのエースで、Jリーグ昇格の立役者でもある有光亮太は「間違いない」と笑った。2013シーズンを最後に現役を退いた彼は、2015年に佐世保を拠点にクラブチーム「Club Atletico CELESTE(CAセレスト)」を立ち上げ、今年から九州文化学園サッカー部の監督にも就任。クラブチームと高体連所属チーム、二つの面で長崎のサッカーを支えることになった。今回、ViSta(ヴィスタ)では2つのチームを率いる彼に、それぞれの立場から話を聞いた。

-まずは、クラブチーム「CAセレスト」を立ち上げてから、ここまでを振り返ってもらえますか。

立ち上げて今年で6年目ですね。最初は県北地区で活動する難しさがありました。クラブに入って来る子はみんなJリーガーになりたいんだけど、県北からはそのままJリーガーを輩出したことがない。そこでクラブの方向性や基準・・セレストのスタンダードを打ち出したんですけど、それが形になるのに時間がかかりましたね。でもそのやり方で、一昨年に長崎県で優勝してからは、周囲の反応が変わったように思います。

-プロサッカー選手としては長く長崎にいましたが、プロを離れた立場で地元と接することが少なかっただけに、苦労する面も多かったのでは。

逆に強みだと思ってますね(笑)。俺、出身が福岡の飯塚なんですけど、そこでクラブを立ち上げていたら、人間関係とかあってやりにくかったと思うんですよ(笑)。だから、セレストは、あえて人を外(外部・県外)から呼んでいるところもありますね。

-セレストでは、指導者を含めて人を集めるのにかなり熱心だとも聞きましたが。

結局、選手の個も大事だけど、指導者の個も大事なんですよね。指導者は地域に強く影響されるんですよ。それが良いときもあるんですけど、それに流されて周りが見えなくなることもあるし、目的と手段を取り違えたりもする。だからウチは選手を、いろんな指導者がそれぞれの目線で見る。いろんな視点を持っている方が面白いしやりやすい。

-そのあたりは、セレストを立ち上げてからここまで順調にこれたから感じることですね。

いやいや(笑)。苦労しましたよ、ここまで(笑)。おかげで「自分は雇われている」と思う人間は、ウチでは要らないなということに気付きました。セレストは指導者全員が、それぞれの意思でやっているみたいなところがありますね。能力次第で報酬も変わるようにしています。ある意味でのプロ意識、それがなければうまくいかないし、地域も開拓していけない。

-そういうクラブの理念や考え方は、昔から持っていたんですか。

そこは現役のときに各カテゴリーでプレーできたのが大きいですね。J1もJ2もJFLも九州リーグも、言い訳で何とかなる世界じゃないんですよ。いろんな人に影響も受けてきましたし。それに自分たちのイメージや考えを言語化してくれている「岡田メソッド(英治出版 岡田武史著)」のような本があったのも大きかったですね。

-そういった理念の先に、セレストとして目指すスタイルはどんなものですか。

「個を尊重しながらも組織的に戦う」ですね。組織にも個にも縛られないけれど、どちらも重要なんで、今いる選手の個性を最大限尊重して、なおかつ組織的にというのは常に考えています。それから生きていく力と対応力は選手に伝えています。サッカーに形はないのに、みんな型にはまっていきやすいし、上にいくには勝つか負けるかが原理原則なんだから、個々のスタイルを生かしながら、柔軟にやっていくことを考えています。

-セレストのクラブとしての成長が楽しみですね。

2年前に結果も出したことで、クラブとしてのセレストは走り続けていけると思うんですよ。でも、まだチームを立ち上げてからの歴史がないんで、そこだけは自分たちではどうしようもない。県トップを取った世代が今、中学2年生なんで、その子らの世代ならできることが増える気がしますね。今、セレストは唐津と福岡にもスクールを広げているので、これからもいろんな地域の中で、同じ理念の下、選手を育てていく環境を作りたいと思っています。

-今年からは九州文化学園サッカー部の監督にもなりました。就任の経緯を聞かせてもらえますか。

今、サッカー部の部長もやってくれている横田正俊校長先生が、九文に就任したのがきっかけですね。菊次勉さん(元V・ファーレン長崎事務局長)に横田先生が「九文にサッカー部を作りたい」と相談されたらしいんですよ。それで菊次さんから「協力してやってくれ」と。そのときに5カ年計画書を作成して提出しました。単純に俺個人が九文に行ってサッカー部を作るのではなく、俺たちがやりたいことと、九文のやりたいことが合うのなら一緒にやりましょうと。それで去年、その話し合いを進めてきて、今年から正式に外部委託監督ということになりました。

-5カ年とはなかなかに周到な計画ですね。

先にクラブがあったから、システムから入れたところはありますね。前からどこかの高校と組めたらなとは考えていたんですよ。そこにこの話をいただいたという感じですね。今、九文は小学校・中学校も新しく作っていて、このあと大学にもサッカー部を作る予定なんです。小中の年代についてはセレストがありますし、クラブと高校の強みを、お互い最大限に生かしていければと思っています。

-実際に指導してみて、県北の子どもたちのレベルはどう感じていますか。
小学生の年代から面白い子はいっぱいいるんですよ。でも外(の学校)に出てしまいますね。それを止めるような防波堤となるものがない。九文が県北の子供にとってそうなれば、流出が止まる可能性もあるでしょうね。

-育成年代のサッカーでは、保護者との関係なども難しいと聞きますが。
そこは、こちらで全部管理させてもらっています。だから何かあるときは、学校に行くのではなくて、まずこちらに言ってほしいということも説明していますね。結局は選手の自立もうながさなければいけないので。だから、プロの人間を作るというつもりで接しています。選手にもプロの人間であれと言っていますよ。金をもらうもらわないくらいしか差がない・・意識としてのプロですね。

-育成の段階からプロとして接するわけですね。
そうですね、だから俺は選手を生徒とか呼ばないんですよ。全部、選手と呼んでいます。だから選手には自由にSNSもやらせて規制とかかけない。そのかわり、責任は持てよと。普段から上下関係だけではもう通用しないぞという話もしています。軸となる理念があって、その判断基準の下に監督がいて、コーチがいて、選手がいて、それが交わっていく。それがプロだと思うので。

-事実上、1年目の九文サッカー部ですが、今年の目標としているのは何ですか。

今年のサッカー部のテーマは「長崎を驚かせよう」です。1年生だけでどれだけやれるのか。それは今年しか味わえないですからね。今後はもう1年生だけっていうのはないから(笑)。とにかくいろんなところと試合していこうと。しっかりと続けることができていれば、今の1年生が3年生になったときには、かなり面白いと思っていますよ。

reported by 藤原裕久

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