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【コラム】「俺がなったとしても、クラブは戦い続けろ!」と語った手倉森監督の真意。~共有して乗り越える『ウィズコロナ』の時代~

「俺がなったとしても、クラブは戦い続けろ!」

あくまで個人的な見解としながらも、手倉森誠監督がそう思いを語ったのは徳島戦(J2第10節 8月8日)を2日前に控えたオンラインでの囲み取材でのこと。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がJクラブでも広まっています。不安を感じることもあると思いますが、チーム内ではどんな話をしていますか」という質問への答えだった。

7月26日に名古屋グランパスでCOVID-19の陽性判定が出て以降、町田ゼルビア、アビスパ福岡、FC琉球とリーグ内でも感染拡大が止まらない。取材している身として、Jリーグや各クラブ・選手・関係者がどれほど徹底して対処しているか知っているぶん、何ともやりきれない思いがあり、それが冒頭の質問へとつながった。

「個々のコンディション管理は(週2試合の)5連戦の前からやっています。その緻密さがなければここからは戦えない。根性論でどうにかなるもんじゃない」
「いかに選手にけがをさせないか。それ自体が戦術になる。フィジカルコーチやメディカルと話をして、無理をさせないで休ませることも大事」

同じ日の囲み取材で、選手の体調やコンディションについてこう語っていることからも、手倉森監督が無責任な根性論や、無鉄砲な蛮勇からCOVID-19について語っていないことはわかるだろう。それでも「戦い続けろ!」という強い言葉を使ったのはプロスポーツを担う者としての責任感があるからだ。

「怖がってばかりはいられないという話を選手にはしました。われわれは、国民や県民の生きがいになろうとする立場にいる。われわれはコロナと戦って、日常にスポーツがあるべきだと示して、少しでもそういう苦しさを忘れさせるべき立場」

「Jリーグはまだ新型コロナウイルスの感染者がいない中で再開したんですが、今の状況は予測がつくことだったと思います。今はそこへの準備や覚悟が試されているところ。この先もしかしたら無観客試合になっていくこともあるかもしれない。それでもわれわれは止まらないという覚悟や姿勢が大事」

チーム内に感染者が出れば、当然ながら苦労は増す。だがそれは、一般社会と何も変らない話なのだという。

「そうなったら、みんなで苦労を共有して、一緒に乗り越えるだけ」

プロの世界は常に駆け足だ。自身を成長させるための努力や成長から逃げた者、走ることを止めた者から脱落していく。そんな選手やスタッフにとって、今年2月のリーグ開幕戦後、約4カ月の中断期間はプロになって初めてとも言える「周囲を振り返る余裕がある日々」でもあった。

それぞれが自分の趣味や目標、家族と向き合うことに時間に注ぐことができたからこそ、みなが「有意義な時間だった」と口をそろえた。同時に全員が最もつらいと感じたのが、サッカーを、スポーツを取り上げられたことだったという。それはサポーターも同様の気持ちだったろう。だからこそスポーツを日常から消してはいけないと思えるのだ。

「感染者が出ないように、どのクラブもマネジメントしていると思うし、同時にそうなってしまったあとのマネジメントもできていると思っています。だから怖れるわけにはいかない。マネジメントを信じて、怖れずに行くぞという感じですね」

そう語った当日、次節の対戦相手である徳島ヴォルティスの選手がPCR検査の結果、陽性判定となったと発表された。感染経路は不明だが、自治体等から発せられる懸念先への行動はなく、クラブ内に濃厚接触者はいるものの、すでに選手・チーム関係者50名を対象にPCR検査を実施したという。試合開催の可否については、PCR検査の結果を受けて、関係者での協議の上で判断し、8日の午前10時頃に発表予定だ。

この報を受けて、不安がないと言えば嘘になる。心配の種は尽きない。だが一連の経緯発表の仕方や対応において、徳島のマネジメントはしっかり機能したと思う。ならば慌てず、騒がず、落ち着いて経緯を見守るべきだろう。

われわれが行なうべきは、徳島にCOVID-19の感染者が出ても、V・ファーレンの中に感染者が出ても、サッカーファミリーとして、社会の一員として、苦労を共有して、一緒に乗り越えるだけなのだ。

怒るでも、失望するでも、諦めるでもなく。
強がるでも、怖れるでも、目をそらすのでもなく。
「ウィズコロナ」と呼ばれる時代の中で、われわれがやるべきことは、それだけなのだから。

reported by 藤原裕久

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