長崎サッカーマガジン「ViSta」

【アカデミートピックス】第99回全国高校サッカー選手権 長崎県大会 優勝コメント:久留貴昭監督(創成館高校)「選手たちが本当に成長してくれた。いかに全国で通用するサッカーができるかを、ここからまた取り組んでいきたい」

―緊張感のある1点勝負の試合でしたが、戦いながら大丈夫だと自信を持って戦えましたか、それとも不安を感じていましたか。

半々ですかね(笑)。自信はあるけど、一瞬の隙というのがありますから。自分の性格的なのもあって、最悪のケースも想定しながら戦っていました。

―試合展開は戦前に予想したものと近かったですか。

予想した展開と近いとは、思っていましたね。試合の立ち上がりに緊張して、パスミスが出るのも予想はしていました(笑)。もう少し前で勝負できればとは思いながら戦っていたんですけど、そこは総附さんがしっかりと対策していたんだと思います。

―メンタル勝負の試合でもあったと思いますが、選手たちの成長を感じましたか。

選手たちが本当に成長してくれたと思いますね。ここ(選手権本大会出場)を目標に取り組んできていましたから。試合前には、過去の大一番で負けたときの映像を見せたりして、意識を高めたりしていたんですけど、そのおかげなのか、試合前に選手たちの顔が落ち着いていて、平常心で戦えたんだと思います。

―準決勝から約1週間のインターバルがありましたが。

この一週間は、チームのリズムが狂うんじゃないかと怖さがありましたね。でもスタッフ全員が本当によくまとまって支えてくれた。そこはとても大きかったし、そこで落とし込みたいことを、選手たちもよく理解してくれました。おかげで自信を持って戦えたんだと思います。

―これまでは、こういう大きな試合で不運な負けを喫することが多かったんですが、今年はどこが変わったなと思いますか。

夏までは試合で負けっ放しだったんですよ。ラストワンプレーとか、ちょうど今日の試合の逆パターンでやられていました。そういうのを経験してチームが変わってきたと思いますね。選手権前に合宿もやりましたし、何より、チーム内でお互いに言いたいことを言い合って、ときにはぶつかり合って、まとめ上がってきたのが大きかったと思いますね。

―強豪とは言えなかった創成館高校サッカー部の監督に就任して、5年目に選手権県大会の決勝に出場しましたが、そこから全国へのあと一歩へ進めずに足踏みが続きました。

当時はあと一歩と思っていましたけど、今思うとめちゃくちゃに遠かったなって。その中でいろんなことがありましたけど、信じて最後までサッカーを続ける子たちばっかりだったから、ここまでこれたのかなって。名門校に比べたら、就任してたかが10年なのかもしれませんが、それがチームの伝統になってくれて、今のサッカーができているんだと思います。でも、あと一歩が遠かったですね。本当に遠かった。

―就任当時は選手が足りずに、陸上部から部員を借りてくることもありました。それから徐々に選手がそろい、県の強豪になり、それでも優勝ができなかったりと苦労した10年でもありました。

そうですね。大事な大会の最後で負けることが続いて、外から「準優勝だけか」と言われることもありましたし、最後に勝てないというプレッシャーを感じることもありました。でも結果がどうだったとしても、どの年代の生徒も一所懸命にやっていたのは間違いなかったんですよ。それが自分にとっては、この10年で最大の財産で収穫なんです。だから、今日勝てたことが、めちゃくちゃに嬉しかったです。

―自身は鹿児島実業高校サッカー部2年生のときに、レギュラーとして選手権に出場して準優勝をしましたが、3年生のときは県予選で敗退となりました。それから20年ぶりの選手権本大会ですね。

高校時代はそれだけを目指して、サッカーをやっていました。10年前に指導者になってからも、選手権というのを目指してきたので、選手よりも気持ち高く入っていきたいですね(笑)。でも、やる方ではないので、いかに全国で通用するサッカーができるかを、ここからまた取り組んでいきたいと思います。

―最後にあらためて、優勝した感想を聞かせてください。

V・ファーレン長崎でプレーしていた2008年に、九州リーグからJFLに昇格したんですけど、そのときと同じくらい嬉しいですね。でも、選手たちが喜んでいるのが嬉しいので、そこをプラスすると、そのぶんだけ喜びは大きいかもしれません(笑)。

reported by 藤原裕久

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