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【アカデミーコラム】敗れざる強豪校2020 第2回(全3回) ~復活途上の名門(国見高校)~

創成館高校の初優勝で幕を閉じた2020年の全国高校サッカー選手権大会長崎県予選。

その選手権県予選でベスト4まで進出した3校にスポットを当てる、長崎サッカー応援マガジンViSta(ヴィスタ)の企画『敗れざる強豪高 2020』。第2回目の今回は、国見高校について書いてみたい。

『敗れざる強豪高 2020』第1回:~強者の伝統(長崎総合科学大学附属高校)~

■国見高校~復活途上の名門~

準決勝の創成館高校との試合終了を告げる笛がなると、国見のFW中島大嘉はグラウンドにうずくまり、何度も何度も地面をたたいて悔しがった。遠かった1点、かなえられなかった全国。創成館のキャプテン岩崎雄永が慰めの言葉をかけても、背番号14はうずくまったまま。試合後も「青と黄色のユニフォームを全国に立たせられなかったのが悔しいし、情けない」と涙を流した。

一部で例外はあるが、上位リーグに初めて挑むチームは、リーグ序盤に、それまでとは違うスピード・強さ・技術・スペース・タイミング・許されるプレーと許されないプレーを体験する。当然、最初はうまく対応できない。だが、それを繰り返すことで慣れ、学習して修正し、リーグ戦での実践を重ねて、リーグ折り返しの頃くらいには徐々に対応できるようになっていく。今年、県リーグ1部からスーパープリンスリーグ九州へと戦いの舞台を移した国見もそれを経験した。

だが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、数試合しか上位リーグを戦えなかった。慣れ、修正し、実践を重ねるには、圧倒的に時間も試合数も足りなかったのだ。その中で国見は、貴重な高いレベルの試合をチーム全体の強化に活用しようと取り組んだ。積極的に多くの選手を起用したことで、チームの土台は間違いなく鍛えあげられた。その代償として強固な土台の上にスタイルを築く時間が、国見には残されていなかった。

ifになるが、県リーグレベルの戦いであれば、割り切ってメンバーを固定化することもあり得たかもしれない。だがプリンスリーグで一定時間出場したメンバーが県リーグに登録できない中ではそれは無理だった。何とかしようとトレーニングマッチも多く組んだが、公式戦の感覚とではどうしても違う部分もある。大会前の「もう1戦1戦が勝負ですね。そこで必死に食らい付いて、しぶとく勝ち上がり続けることで、チーム力を上げていくしかない」という木藤健太監督のコメントには本音が垣間見えた。

選手権県予選にシード校として登場した国見のチーム状態は、決して良いとは言えなかった。エース中島大嘉こそ、スケールアップしたプレーを見せていたが、攻撃の連動性が生み出せず、もう一人のエースである日下部優哉が、前を向いて仕掛ける展開が少ない。初戦の海星高校戦は2-1で辛くも振り切ったものの、この時点の国見は、好調時の半分程度の力しか出せていなかった。それでも続く準々決勝で佐世保実業を4-0で破り、準決勝の創成館高校戦では、互角の攻防を展開するまでに仕上げてきていたのはさすがだ。

だが、GK永田健人-DF江﨑智哉-MF岩﨑雄永-FW新川翔太ら不動とも言える縦のラインが完成していた創成館に対して、国見はGK木下麗司とFW中島大嘉以外のラインが、絶対の形とはなっていなかった。そんな中でもギリギリの勝負をしてみせたが、最後は1点に涙を飲み、COVID-19禍の中で必死に強化をやり繰りした木藤監督も「このチームをもう少し戦わせてあげたかった」と唇を噛むしかなかった。

「(実力を出しきれなかったことは)自分が一番痛感しています」
日下部は試合後にそう呟いた。彼が前を向いて、ボールを持って仕掛けるシーンが多ければ、何かが変わっていたかもしれない。だが苦戦するチーム作りの中で翻弄された背番号10は、プリンスリーグ・選手権予選では本来の輝きを見せられなかった。

「負けて良かったとは絶対にならないと思う」
試合後のFW中島は、そう語った。青と黄色のユニフォームを着て全国のピッチに立つことを目指し続け、信じ続けたからこそ、良い経験になったなどとは口が裂けても言いたくないのだろう。かつては、自分が点を取れれば良いみたいなところがあったと語っていた彼は、選手権県予選で得点を重ねたが、勝てなかった悔しさしか感じていないようだった。

「でも・・今日のことを何かプラスにしなければいけない」
最後に中島はそう語った。国見での3年間。その価値を証明するためにも、彼らはこの敗戦すら力に変えなければいけないのだ。県予選終了後、中島は再び、来季加入の内定している北海道コンサドーレ札幌の練習に合流するという。すでに関西の強豪大学へ進学が決まっている日下部も「必ずここから活躍して、大学経由でプロへいきます」と言葉を残した。

10年ぶりの全国を狙った国見の挑戦は終わった。だが今年の選手権県予選上位進出校で1・2年生を最も多く起用したことで、多くの選手がダイレクトに悔しさを体感し、青と黄色の重さを知った。この日の悔しさを未来の華に変えるため、青と黄色のユニフォームと、それを着て戦った選手たちは、また次の道へと向かっていく。

名門復活の背中は手の届くところにある。

reported by 藤原裕久

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