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【コラム】令和2年度高校サッカー新人戦を終えて~名門復活へまた一歩踏み出した国見。逞しさを増した創成館と日大~

24日に行われた『令和2年度長崎県新人体育大会(第55回)サッカー競技』(新人戦)の決勝戦は、創成館高校を破って国見高校が勝利した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大という中での開催となった同大会だが、今年も発見と驚きがたくさんあった大会だった。

攻守ともにレベルが戦った国見

大会では久しぶりに国見が優勝したのだが、今大会の国見を見て、優勝という結果に納得しない者はいないだろうというほど、国見は強かった。初戦の長崎北戦を7-0で大勝発進すると、3回戦では県内関係者の多くが「強い」と認めていた鎮西学院を7-1で撃破。大会を勝ち抜く中で、驚くほどの粘り強さを身につけていた長崎日大との準決勝では、シビアな攻防の末にセットプレーで勝ちきり、決勝でも勝負所でしっかりと得点を重ねて快勝。

国見はセットプレーでも強さを見せた

試合内容を見ても、本川瑠空・日髙希星の2トップは、技術だけじゃなく走力にも優れ、前線からのプレッシャーで相手のパスコースを限定させるなど、単なる個ではない強さを感じさせた。GK緒方要と市田広海を中心とした守備にも安定感があり、田崎翔真や川添空良など好タレントも多い。コンディションの問題で万全ではなかったキャプテン山田純大や、2年生エース北村一真に代わって出場した、縫俊希や村田一翔が活躍するなど、層の厚さも見せつけた。

創成館は苦戦を勝ち上がるたびに強くなっていった

準優勝の創成館は、選手権出場のために新チームを編成する時間が足りず、苦戦も予想されていた。実際に初戦の長崎工業戦では先制点を奪われ、続く佐世保実業戦では、濃霧の影響で急きょ土のグラウンドでの試合となった中、PK戦で辛くも勝利するなど苦しんでいた。だが劣勢を弾き返す逞しさがチーム全体にあり、苦戦を乗り越えるたびに力強さを増していった。選手権出場校として追われる立場でありながら、底力を示したと思う。

創成館のタレントの質、総合力は十分に高い

昨年の主力である岩﨑雄永や江﨑智也のような絶対軸はまだ見当たらないが、立川蒼真、田中歩武、村田颯、岡俊希といった足もとに優れる選手が多く、彼らの連携が高まれば、昨年以上に攻撃のバリエーションが増やせるだろう。新キャプテン永田健人のハイボールへの強さ、メンタル面の成長も目を引いた。決勝戦で国見に破れはしたが、大会を通じて得た収穫も多かったようで、久留貴昭監督は「ちょっとだけですけど、(強化の道筋)が見えてきた」と語っていた。今年も県内サッカーで中心的な役割を担うに違いない。

2回戦で長崎総大附属を撃破するなど実力を証明した日大

今大会は、昨年の選手権予選で早期敗退してしまった長崎日大に注目していたのだが、こちらも試合のたびに大きく成長していった。伝統のボールをつなぐスタイルだけでなく、長いボールの応酬にも対応できる柔軟さがあり、高村周太郎を中心とした守備は堅固。山口大斗や、加藤孝太郎のように攻撃で変化を作り出せる選手もいる。

国見・創成館とともに日大は今年の長崎で3強の一角と目される

今大会屈指の激戦となった準決勝の国見戦でも縦の速攻、パスワーク、サイドの突破を時間帯によって使い分けて、互角の戦いを展開した。故障者が戻ってきていれば、あるいはと思わせたチームだった。亀田陽司監督は「伸びしろはもの凄くあるチーム」と評しており、今後の強化次第では末恐ろしいチームになるだろう。

誰一人労を惜しまない瓊浦のサッカーは素晴らしかった

それ以外にも、昨年の選手権予選に続いてベスト8入りし、準優勝の創成館をあと一歩まで追い詰めた佐世保実業、ひたむきな走力をベースとした守備とカウンターで、見る者を驚かせた瓊浦高校など、好チームが多かった。ここから高総体へ向けて、さらにチームが成長することを考えると、本当に楽しみだと思う。

最後に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大という中で、大会開催に尽力された関係者には最大限の敬意を払いたいと思う。

reported by 藤原裕久

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