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【アカデミーレポート】敗れざる強豪高2021~創成館高校:~勝つためのノウハウを蓄積し、「全国に出られずに残念」と言われるまでになった創成館~


選手権県予選終了の笛がなった瞬間、「惜しかった」と思ったと同時に頭に浮かんだのは「よくぞ、ここまで上がってきた」だった。

昨年度に初の選手権出場を達成し、2年連続の選手権出場を目指した創成館だが、今年のチーム作りには苦戦した。昨年、チームの絶対軸だったセンターラインGK永田健人・FW新川翔太・ボランチ岩﨑雄永・CB江崎智哉の内、GK永田を除く3人が卒業。選手権出場のため、オフもそこそこの状態で新人戦を戦いながら新チームを編成していく作業に追われた。選手権常連高校ならば、部としての慣れもあったろうが、創成館サッカー部にとっては初の経験である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため、対外試合の制限も残る中でそれは、想定以上に難しかった。

「村田(颯)を前に置くか、ボランチに置くか・・。戦いながら見ていきたい。新人戦でも最初はボランチで使って、プレーを見ていたら前に行きたいんだろうなと思ったんで、途中から1.5列目に上げたりしたんですけど、結局はまた途中から右サイドに回しました。あの子はやっぱりボールに触りたいんだなって(久留貴昭監督)」


2月の九州新人戦のときですら、エース候補の村田の起用法を探っていたことからも、チーム作りが手探りだったことはわかるだろう。日々、選手の個性と起用法、組み合わせを整理し探っていく日々。久留監督にとって、これほど頭を悩ませたシーズンも珍しかったのではないだろうか。そんな状態ではチームの力があったとしても、乱調となることも多い。高総体県予選では諫早商業に準々決勝は、まさにそれが出て敗れてしまった。

だが失敗や敗戦の中で、徐々にではあるが創成館は形を作り出していく。本来は永田と正守護神を争うはずが、手の故障が癒えない西元準也をGKからCBへコンバート。高さに強く、フィードもできる西元は瞬く間に県屈指のCBへと成長する。岡優希をトップと左サイド、村田をボランチと右サイド、トップ下など相手や状況に応じて配置を変えて戦えるように整えていく。そしてCB西元とGK永田で守る最終ラインは強く、そして高い。チームの形が目に見えて来はじめてきた。

苦戦の中でこうして徐々に形を作った創成館にとって最大の誤算となったのが、9月から約1カ月の対外試合禁止だ。一般的に高校サッカーで選手が最も伸びる時期とされるのが、高総体後の夏から選手権前の期間である。どの強豪高もこの時期を最大の強化期間と位置付ける。創成館もそうだった。しかも創成館には、昨年も夏まで苦戦しながら夏からの強化で一気にチーム力を高め、選手権制覇まで駆け上がったという最高の成功体験がある。最高の成功体験であったからこそ、対外試合ができない影響は小さくなかった。


「大会前に丸1カ月やっていないのと、やっているチームではまるっきり違うなって思いますね。10月からようやく対外試合ができるようになったんですが、体力的にもたないかもなっていうのは常にあったし、けがも怖い。そこは本当に痛かったですね」とは、久留監督の言葉だ。

それでも選手権が始まれば、その戦いぶりは安定していた。選手を勢いに乗せる。その一方で締めるべきときは厳しく締める。例え強化が十分ではなくとも、一度選手権に出場した影響か大会を勝つためのノウハウが部全体からも感じられた。

その真骨頂が準決勝の国見戦だ。国見の個に押し込まれながらも、あえて守備を優先して結果をたぐり寄せてみせた。良いときに勝つのではなく、悪くとも最低限の結果を取る・・まさにトーナメントの生き残り方を理解する戦いぶりだった。だが、それから1週間後の決勝戦でトーナメントの生き残り方にかけては百戦錬磨の小嶺忠敏監督と長崎総大附属の前に涙を飲んだ。

「悔しいし、勝たせてやれなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、選手たちはよくやってくれたと思いますよ。全然良くなったときから、よくここまで来たなって。」

試合後、電話口で久留監督はそう選手たちを称えた。それからしばらく置いて、もう一度だけ悔しそうな声で呟いた。
「永田たちとか・・もう1回、全国を見せてあげたかったと思いますね。それが残念です」

電話を切ったあと、「強くなったんだな」と思った。11年前に公式戦でまともに試合もできなかったチームが、昨年度は選手権に出て、今年も県新人戦準優勝、県高総体ベスト8、そして選手権県予選準優勝を達成しながら「残念」としか言えないレベルになったのだ。

10年で全国へ出場し、11年で押しも押されもせぬ県の強者となった創成館。彼らの12年目がどんな年となるのか、また私はじっくりと取材させてもらうことにしよう。

reported by 藤原裕久

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