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竹村栄哉テクニカルダイレクター インタビュー中編:強化が感じるJ1とJ2の差、リーグの強化傾向。「J1とJ2の差はパスに関するスピード。補強だけで強化を考えるのではなく、アカデミーを充実させるのも重要」

現役・フロントスタッフ・強化として、V・ファーレン長崎で13年目となるシーズンを過ごす竹村栄哉テクニカルダイレクター(以下:竹村TD)。インタビュー前編ではV・ファーレン長崎に関する話を中心に聞いたが、中編となる今回はJ1とJ2の差や、リーグ全体の強化傾向について話を聞いた。

■長崎を離れて3シーズンの間、J1のベガルタ仙台で強化を担当していましたが、J1とJ2でチームのレベルやスキルを見たときに一番違いを感じる点はどこでしたか?

長崎に帰ってきてトレーニングをみたとき、最初に感じたのはパススピードの部分ですね。単純なパススピードだとか技術の差という話ではなくて、パスを出すテンポなんかの部分です。そこはJ1の方が確実に早い。早ければ良いというわけではないんですが、テンポに加えて一つ一つのプレークオリティが高いので、J1とJ2の間では間違いなく差になっている。そこについては僕自身、現役を引退してから、チームに関わる場所にいたのもあって、ずっと感じていたところです。

■そこの差はトレーニングなどで解消できないものなんでしょうか。

そこはチーム全体でも個人でのトレーニングでも同じなんですが、ただ言われたところにパスを出すだけじゃなく、そこから何を感じて、どうなるかを考えることが大事だと思います。小さいことかもしれませんが、そういう細かい部分からでも見いだせることはあるし、コーチ陣と話をするときも、まずそこを大事にしていこうという話をしています。

■それ以外の部分でJ1とJ2の大きな差は何かありますか?

(得点を)決めきる力ですね。やっぱりJ1ではミスをすると、そこからかなりの確率で失点につながります。今、J2を戦っていますけど、J2だから助かったシーンが結構あると思います。もちろんJ2の試合にも素晴らしいプレーや場面はいっぱいありますよ。でも全体的に見て(ボールを)「止めて」、「蹴る」という基本技術や、判断の早さでJ1とJ2では差があると思いますね。

■竹村TD自身は5年ぶりにJ2を戦っているわけですが、久しぶりのJ2をどんなふうに感じていますか。

まだ僕もJ2に戻ってきたばかりなので、わからない部分が多いんですけど(笑)、そこまで秀でたチームはないと思います。すでにJ1からの降格組である横浜FCや、昨年のJ2で3位だった甲府とも対戦して負けはしたんですけど、絶対に敵わない相手ではなかったし、やれるところも多かったと思います。そのあたりを踏まえて今後のリーグ戦を考えると、外国籍選手のコンディション次第で飛び抜けてくるチームがあるんじゃないかと思います。僕らも外国籍選手の存在は大きいですし、横浜FCなどはまだ外国籍がフル稼働していません。大分も外国籍の補強をしています。

一方で甲府や熊本のように日本人中心でハードワークするチームもありますし、結局はどのチームもそれぞれのクラブでやるべきこと、取り組んでいることをどれだけ継続できるかが問われると思いますね。リーグ内の力差は本当に大きくないと思うので、そこが明暗を分けると思います。そのぶんどこが相手でも、どの試合でも気が抜けないですね。

強化としてJ1・J2の両方を経験した竹村栄哉TD。(画像は2018シーズン)

■強化部として、今のJリーグ全体の強化の傾向なんかはどう見ていますか。

ここ何年かは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が大きいですね。今も海外から外国籍選手が入ってきてはいるんですが、合流するのにどうしても時間もかかってしまうし、外国籍選手は力があっても確実に日本にフィットするかはわからない面があります。そうなると、すでに日本で成功している外国籍選手を各クラブが取り合う・・争奪戦になりますよね。すでに日本で活躍している外国籍選手というのは、どのクラブも最初に補強候補として考えるところがあると思います。もちろん新しい外国籍選手も入ってきますし、そういう選手の獲得も考えはしますが、どのクラブも失敗したくないと考えますから。

■そうなると、クラブの予算規模次第で戦力が左右される傾向が一層強くなりそうですが。

そこは各クラブでそれぞれのやり方があると思います。僕は本当に良い選手なら、年俸を度外視しても獲得すべきときがあると考えるタイプですが、良い選手を獲得するには予算がかかるのは事実です。なので条件がどこまでなら獲得するか、逆に今のチーム状態ならば無理にはいかないといった部分をどう考えるか。それが重要になると思います。チーム強化は予算がこれだけあれば、この補強をすれば必ず成功するというものではないので。

同時に補強だけで強化を考えるのではなく、アカデミーを充実させるのも重要だと思います。アカデミーの選手はトップにもなじみやすいし、練習参加の対応もしやすいわけですから。そこは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響とか関係なく、アカデミーから選手が育つことがクラブにとってのプラスになる。ここは長いビジョン、スパンで考えていくべきところになると思います。

reported by 藤原裕久

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