ニイガタフットボールプレス

【2019新戦力インタビュー】FW8 シルビーニョ①「リスペクトの輝き」

シルビーニョ

今シーズンのチーム編成最大の特徴は、外国籍選手の出場4枠を、ブラジル人6選手、韓国人チョ・ヨンチョルの7人で競う構図にある。彼らの活躍なしに、J1昇格というミッション達成は難しい。高知・春野キャンプで着々と進む2019年のチームづくりでの、彼らの現在地は――。新戦力インタビュー第2回は、パワーと技術、闘争心、何よりも献身の姿勢が際立つプレーメーカー、シルビーニョが登場する。

■アドバイスを受け、学びながら

――今回、アジアで2度目の挑戦になります。

「新潟からオファーがあったとき、ためらうことなく決断しました。というのも、韓国でプレーしていた当時からJリーグの様子は聞いていたし、家族も自分もアジアでプレーすること、生活することを気に入っていたからです。

一番の決め手は、日本の教育環境だったり、互いに尊敬し合う文化ですね。残念ながらブラジルは、そこにいろいろな差がある。私には子供がいますし、落ち着きのある国でプロサッカー選手として生活できることを、とても感謝しています」

――シルビーニョ選手のプレーそのものに、尊敬する気持ちが満ち溢れています。

「ブラジルにいるときから、そういう気持ちはありました。年上の選手やスタッフからいろいろ教えてもらいながら、ここまで来ましたから。新潟で私は年上の立場になります。これからチームの若手に、色々伝えていきたいですね」

――そういう考え方をするようになったきっかけは?

「私の夢は、プロサッカー選手になることでした。そのために家を出たのが14歳のときで、18歳でプロになりました。家がサンパウロから遠かったこともあり、両親から離れて暮らさなければならなかったので、家を出てからは先輩やスタッフからアドバイスを受け、学ぶ必要があったんです」

――そして、プロ選手として生き残らなければならなかった。

「ブラジルには、本当にいろいろな選手がいます。とても才能があるのに、プロになるのを諦め、辞めていく選手もたくさんいます。そういう世界で生き続けながら、彼らに何が足りなかったのか考えることからも学んできました。技術が足りなかったのか、メンタルの問題か。プロになるための門は、本当に狭い。ですが、覚悟はありました」

――学んだことの一つが、尊敬の気持ちだったのですね。

「人を尊敬すれば、自分も尊重してくれます。サッカーをする上でも、生きていく上でも、とても大切なことです」

■トップ、トップ下、サイドハーフ

――キャンプ最初のトレーニングゲームでのプレーぶりが、シルビーニョ選手の言葉に説得力を持たせてくれます。アマチュア相手(四国学院大学)でしたが、本当にフェアプレーでした。

「彼らにも夢があるじゃないですか。学生だから、将来、プロを目指している選手もいるでしょう。だから私たちは、見本となるプレーをしなければならない。尊敬の気持ちを忘れずプレーするのは基本です」

――高い技術で試合を組み立て、チャンスメークするシルビーニョ選手は、10番タイプだと思います。これまで多くのブラジル人が新潟でプレーしてきましたが、残念ながら、中にはアマチュア相手のトレーニングゲームだと全力でプレーしなかったり、リスペクトに欠ける選手もいました。だからこそ、シルビーニョ選手のプレーが、とても印象的だったんです。

「もちろん、相手をリスペクトするというのもあるんですけど、一番はどんな相手にも負けたくないということです。私は、ただただ負けたくない。負けないためには、全力でプレーするしかないじゃないですか。相手がアマチュアや大学生であればなおさら、今、私たちが立っているプロというポジションを目指す選手もいるはずだから、フェアプレーを示さないといけないです」

――高知キャンプでは、2トップの一角、1トップのときのトップ下、サイドハーフと、複数のポジションでプレーしています。

「去年、ブラジルでは左のウイングでした。今、チームでいろいろなポジションをやっていますが、まずは試合に出たい。ポジションにはこだわりませんよ。どこでプレーしても、持っているすべてを出します」

――1カ月にも及ぶ長期キャンプは、初めてだと思います。

「キャンプを通して、自分もチームも良くなる一方です。日に日にコミュニケーションが深まっているし、チームワークも高まっています。誰がどういうプレーが好きか十分に理解して、一つにまとまって開幕戦に臨めると思います」

――チームのポテンシャルを、どう感じていますか。

「最初に神田さん(神田勝夫強化部長)と話をしたとき、チームが目指すのはJ1に戻ることだと聞きました。そして今、日本人選手と話をしても、それが話題になります。チームに大きな目標があることは、それだけでモチベーションになるし、そういうチームでプレーできることがうれしいです。

目標を達成するには、チームが一つになる必要があります。そして私たちは、高知キャンプを通して確実に良くなっています」

(つづく)

[プロフィール]Silva Jose Cardoso Reis Junior
1990年7月1日生まれ、ブラジル出身。175㎝、72㎏。FW。ブラジルのモンテ・アズール、ブラガンチーノ、コメルシアウ、マリーリア、サンパウロ、ペナポレンセ、ポンチ・プレッタ、クリシューマ、ジョインヴィレ、シャペコエンセ、パラナ・クルーベ、オーストリアのリンツ、韓国の城南などでプレーし、ペナポレンセから新潟に加入することが今年1月7日、発表された。

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