ニイガタフットボールプレス

【レビュー】~明治安田J2第30節柏レイソル戦~「激闘の末につかんだ1ポイントと、その対価」


■明治安田J2第30節/△1-1柏
■キックオフ/8月31日(土)19:03
■場所/三協フロンテア柏スタジアム
■入場者数/12,926人
■天候/曇、弱風、気温/27.7℃、湿度/65%
■ピッチ/全面良芝、水含み

【メンバー】
[新潟]4-2-3-1/GK1大谷幸、DF32新井、5舞行龍、4大武、31堀米、MF6戸嶋、17カウエ(74分OUT)、13フランシス、8シルビーニョ(83分OUT)、11渡邉新(76分OUT)、FW9レオナルド、SUB GK30田口、DF28早川、35岡本、MF20本間(76分IN)、40小川(74分IN)、FW14田中達(83分IN)、19矢野、監督:吉永一明

[柏]4-2-3-1:GK23中村、DF25田中陸(46分OUT)、15染谷(61分OUT)、2鎌田、4古賀、MF9クリスティアーノ、35ヒシャルジソン、7大谷秀(86分OUT)、18瀬川、FW26オルンガ、10江坂、SUB GK1桐畑、DF50山下(61分IN)、3田上、MF17手塚、5小林(86分IN)、38菊池、FW22マテウス・サヴィオ(46分IN)、監督:ネルシーニョ

[審判]主審:井上、副審:和角、塩津、第4の審判員:塚田

【警告・退場】〈新潟〉17カウエ(16分、反スポーツ的行為)、9レオナルド(29分、異議)、〈柏〉2鎌田(90分、異議)

【得点者】〈新潟〉9レオナルド(13分)、〈柏〉マテウス・サヴィオ(66分)

■機能した右サイドのコンビネーション

前半と後半の入り、失点直後にパワーを持って点を取りにくる。11連勝中で首位を走る柏レイソルと敵地で対戦するにあたり、チームはまず3つの局面にいっそう集中し、注意する意識を共有して試合に臨みました。

果たして試合が始まると、ボールを動かしながら相手陣内に入っていったのは、新潟の方でした。新潟が何をやってくるのか、柏には『様子見』の考えがあったのかもしれません。

新潟の最終ラインは、舞行龍ジェームズ選手、大武峻選手の2センターバック、右が新井直人選手、左が堀米悠斗選手のサイドバックという初の組み合わせに。この4バックが立ち上がりから積極的に押し上げ、カウエ選手、戸嶋祥郎選手のボランチも前への意識が強く、コンパクトさを保って柏にプレッシャーを掛けます。そうして柏に蹴らせると、ボールを再回収しては自分たちの時間を伸ばしていきました。

主体的に試合を進める上で重要な役割を果たしたのが、右サイドの連係でした。4試合ぶりにフランシス選手と同サイドでプレーする新井選手が意識的に内側のポジションを取ることで、フランシス選手に右のタッチライン際を上下動するコースが確保されます。

柏左サイドバック古賀太陽選手と、左サイドハーフ瀬川祐輔選手の間に落ちてくるフランシス選手は、うまくプレッシャーを回避しながらボールを受けてこちらにとっての右サイドにポイントを作ります。フランシス選手が落ちることで生まれたスペースには、連係から改めてフランシス選手が出ていったり、トップ下のシルビーニョ選手が走り込んでボールを前進させていく。こうして新潟は柏を押し込んでいきました。13分の先制ゴールも、このメカニズムがよく機能して生まれたものです。

新潟が気をつけるべき局面のひとつ、後半の立ち上がりに、柏のネルシーニョ監督は選手とその配置を大きく変え、パワーを掛けてきました。フォーメーションを4-2-3-1から4-3-3に、左ウイングとしてマテウス・サヴィオ選手を投入。左サイドハーフだった瀬川選手を右サイドバックに配置転換しました。

要所でインサイドポジションを取り、ビルドアップを活性化させてきた新潟の両サイドバックに、左右の柏のウイングが圧力を掛けてきた後半。選手もそれぞれのポジションに固定されず、入れ替わりながら揺さぶりをかけてきます。

■柏の揺さぶりに翻ろうされかけながら

新潟は前半のようなコンパクトさを保てず、いきなり“試合残り10分?”というほどのオープンな展開になりますが、それでも局面に応じてゴール前で守備をオーガナイズ。しかし63分、自陣右サイド奥に生まれたスペースから大谷秀和選手にクロスを上げられ、ゴール前の密集でクリスティアーノ選手が落としたボールをM・サヴィオ選手に左隅に決められ、1-1に追いつかれます。

柏はアンカーの大谷秀選手とインサイドハーフのヒシャルジソン選手とのポジションを入れ替え、新潟のボランチのカウエ選手、戸嶋選手、トップ下のシルビーニョ選手に対してよりタイトに守備をしつつ、圧力を掛けてきます。アンカーとなったヒシャルジソン選手、高く押し上げた最終ラインの鎌田次郎選手らの縦パスによって、守備時はレオナルド選手とシルビーニョ選手が形成する2トップ、さらにカウエ選手と戸嶋選手のボランチ2人という、重要な防衛ラインがたびたび破られ始めます。

にわかに不安定になった新潟の守備を引き締め直したのが、74分カウエ選手に代わり、16試合ぶりの出場となった小川佳純選手でした。ボランチに入った小川選手は、2トップやボランチの間に縦パスを通させないよう、陣形を整え直し、さらに柏のプレッシャーを引き受けつつボールを引き出して、新潟の時間を少しずつ伸ばしていきました。

激しさを増す終盤の攻防にあって、小川選手、さらに本間至恩選手、田中達也選手ら途中出場選手がチームにエネルギーを再注入。ピッチ内の“磁場”に、改めて自分たちから変化を起こして、踏みとどまります。そして1-1のまま、試合終了のホイッスルが吹かれました。

チームが置かれた状況を考えると、何としても3ポイント持ち帰りたい試合でした。が、新潟には柏に押し切られないだけの力があることを示した勝点1になりました。この1ポイントの意味、価値が最終的に定まるのは、全試合が終了したときです。

『あの日立台での1ポイントが大きかった』とポジティブに振り返るために。すべきことは、次節、ジェフ千葉戦で勝利をつかむあらゆる準備に尽きます。

reported by 大中祐二

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