ニイガタフットボールプレス

【Voice of the Pitch】「鉄壁の男」~マウロ選手インタビュー・第1回~

強く、タイトな守備で相手の攻撃を打ち砕き、空中戦でも圧倒する。鉄壁の男が感じている手応えとは――。開幕戦での頼もしいプレーも印象的な新センターバック、マウロ選手に話をうかがいます。

■「これから、さらに良くなる」

――まず、3-0で勝利した開幕のザスパクサツ群馬戦について、話をうかがいたいと思います。

「すごくうれしかったよ。当然のことではあるけれど、勝ち点3を新潟に持ち帰ることが目標で、それを実現できたからね」

――当日は、セットプレーのボールが動いたり、伏せていた広告ボードがあおられて飛ばされるほどの強風でした。風下の前半は、特に難しかったのでは?

「そうなんだ。風の影響は、とても大きかった。キャンプから僕たちが取り組んでいる、ビルドアップして攻めることを出しづらい状況でもあった。風に苦しみながらも、何とか前半、0-0で終えられたことが、最後に物をいったね」

――あれだけの強風は、予想していましたか?

「いや、スタジアムに着いたときは、そんなに気にならなかったんだ。でも、ウォーミングアップでピッチに入ると、『これは大変だな』とすぐに分かった。なんだか、急に風が強くなったように感じたよ」

――コイントスの結果、前半は風下になりました。どうプレーしようと考えましたか?

「まず考えたのは、しっかり足下でボールを回すことに集中しようという点。強風だからといって、サッカーを変えるわけではないからね。自分たちはボールを回すサッカーをするので、そのための注意が必要だった。ロングボール、浮くボールは特に。

風の影響でロングボールを蹴れない分、ショートパスをより多く使うことになる。しかし、チームは現在、成長の途中で、選手同士が、それぞれのプレーの特徴について十分に分かり合えているわけでもない。

だからこそ、いつもアルベルト監督が言うように、『ボールは自分たちのものだ』という姿勢を崩したくなかった。本来であれば、もっとサイドチェンジやフィードを混ぜたかったんだけれど、風の影響を考えれば、やむを得ないところはあったというのが、僕の考えだ」

――シュート1本、0-0に終わった前半でしたが、ポジティブに感じられた理由が、ラインを下げ過ぎず、受け身に回らなかった点です。

「ラインを高く、全体をコンパクトにプレーすることも、キャンプから取り組んでいるテーマのひとつ。強風で難しかったけれど、しっかりできたと思うし、これから試合を重ねていくことで、さらに良くなっていくとも思っているよ」

――試合が始まると、風上に立った群馬は特にマウロ選手、大本祐槻選手の右サイドの背後を狙ってきました。対面の岩上祐三選手はロングスローもあり、簡単にタッチに蹴り出しづらい部分もあったのでは?

「ロングスローを投げる選手がいるのは、あらかじめ分かっていたよ。そして、確かに最初はこちらのサイドを狙ってきた。でも試合を進めながら、うまく修正し、対応できたと思う。それは、自分たちがコンパクトにサッカーをやろうというのを貫けたからでもある」

――ボランチのゴンサロ・ゴンザレス選手とはスペイン語でコミュニケーションを取れますが、右サイドバックの大本選手とは、どのように意思の疎通を図りながらプレーしましたか?

「ゴンサ(ゴンサロ選手)とはスペイン語、舞行龍とは英語を交えて、そして祐槻やほかの日本人選手とは、右、左、前、後ろ……簡単な日本語を使いながらプレーしたんだ。サッカーで使うことばは、アルゼンチンでも日本でも、そんなに大きく変わらないからね。うまくコミュニケーションを取れているよ」

――ディフェンスラインで並んでプレーする右サイドバックの大本選手の良さを引き出すことも、大切な役割のひとつだと思います。

「彼はオフェンスもディフェンスも、どちらも強い万能型のサイドバック。とてもスピードがあってダイナミックだし、開幕戦でもうまく会話しながらプレーできた。祐槻は自分の良さを存分に発揮したと思うけれど、それは彼がチームのために走り、チームが良い状態であることを証明したからでもある。それぞれがやるべきことをやって、誰もエゴに走らず、アルビレックスのために走り、戦う。これこそが、僕たちのチームのコンセプトなんだ」

(つづく)

【プロフィール】MAURO dos Santos / 1989年7月7日生まれ、アルゼンチン出身。182㎝、78㎏。DF。アルゼンチンのバンフィエルドからスペインリーグに渡り、ムルシア、アルメリア、エイバル、レガネス、を経て、テネリフェから今年1月、期限付き移籍で加入。高さと対人の強さを備えた屈強なCB。

text by 大中祐二

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