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ニイガタフットボールプレス

【頼もう、感想戦!feat.島田徹】~明治安田J2第15節・アビスパ福岡戦vol.2~「ひと足もふた足も早く、第19節の展望!?」

ピックアップしたゲームを選りすぐりの論客と語り尽くす、この企画。第四の論客として登場するのは、サッカーマガジン時代の先輩で、現在は福岡を拠点に活動するライターの島田徹さん。第15節・福岡戦の感想戦2回目は、ほとんどが島田先輩のもう一つの担当チーム、北九州の話に!?

vol.1はこちら

■北九州の強さの秘密とは!?

――北九州のディサロ燦シルヴァーノ選手。めっちゃ点を取ってるじゃないですか(15節終了時点で9得点はJ2の得点ランキング2位)。

「ディサロ選手と町野(修斗、ここまで5得点)選手ね。ディサロ選手はレレって相性なんだけど、レレなんて去年、J3で全然ダメだったからね。くさびのパスが入るじゃん。背後からちょっと寄せられると、ぼよーーーんってボールを弾ませて、ポストプレーにならない。それが今年は、全部ぴしゃりと収まるようになったからね」

――おお、秘密があるんですか?

「そりゃあ、伸二さん(小林伸二監督)の指導の賜物よ。伸二さんのストライカー養成術はすごいからね。山形時代の豊田陽平選手を筆頭に(2007~2008年)。ボールを受けるとき、いかに力を抜くか、ってところにポイントを置いてるんだよ、あの人」

――なるほど。

「今、レレが点を取れている理由の一つに、力まないっていうのはあると思う。じゃあ、力まないためにはどうするんだ、となると、シュート以外の場面で、たとえばポストプレーがうまくなったら余裕が出てプレー全体も力まないようになるだろうから、体の使い方を教える。ひざの使い方ね」

――ひざ。

「ひざの使い方に関しては、伸二さん、めちゃめちゃ教えてるからね。実際の声は遠くて聞こえないけど、ひざをパン、パーンってたたきながら指導している光景を、よく見るよ」

――小林監督自身のひざですか?

「そうそう。居残り練習で」

――居残り? シュート練習に付き合ってるんですか?

「付き合う、付き合う」

――さすが小林監督。熱心ですね!

「で、浦和から来て2年目の天野賢一さんっていうヘッドコーチに今季は主に居残り練習を見させて、自分は遠くから見守ってる。で、そこからさらに自分でもアドバイスする、っていう形だね」

――手厚いですね。

「さらに今年は徳島時代、伸二さんのもとでコーチをやってた長島裕明さんっていうコーチが来たんだよ。伸二さんとのコンビで徳島を初めてJ1に昇格させて(2013年)、長島さん自身、伸二さんのあと、徳島の監督をやってるんだけれど(2016年)。

今年の北九州は、天野さんと長島さんの控え選手に対する指導が、すごく効いてるのを感じる。試合メンバー外の練習があるじゃん。アウェイにチームが行った日の午前とか、メンバー外の選手だけでやる練習。その質がめちゃくちゃ高い。

以前はコンディション維持のための軽めのトレーニングだったけど、今はそれぞれ選手全員に課題を明確にさせて、それに取り組ませてる。だから試合に絡めていない選手も、全然、腐ってないんだよ」

――なるほど。

「居残り練習しかり。それが今、効いてるね。確実に選手層が厚くなってきてる」

――北九州、怖い存在ですね。

「ただ、若いチームがゆえに、そろそろ天狗になりかけているのも感じる。伸二さんは引き締めようとするんだけど、どうしてもそういうところは出てきがちだね。あと一歩、ここの一歩っていうところのスピードと強度が不足して苦しんだのが、ジェフ戦だった(第15節〇3-2)。先制されて前半のうちに3-1にしたのはすごいと思うけど、後半はシュート2本くらいしか打てていないのに対して、10本くらい打たれたから。ほぼ守りっぱなし。パスミスも多かったし」

■テセ選手と小林監督の師弟対決が、やがて

――そのあたり、付け入る隙がありそうですね。この5連戦最後の第19節、取材に行けないんですけどね。行きたかったなあ! 肉うどんが食べたかった! ミクスタで見たかった!!!

「面白い試合になると思うよ。新潟も、それまでに新加入選手の連係が深まってパワーアップしてるでしょ?」

――そうですよ。いよいよ鄭大世選手が来ますよ。

「テセ選手も小林伸二さんのもとでやってるからね(2016~17年)。伸二チルドレンのひとり」

――小林監督が清水を率いていたとき(2015~2016年)、テセ選手を重用したんですよね。その後、外国人監督になって少しずつ出番が減っていって、今回、新潟に期限付き移籍で来る、という流れで。テセ選手の恩返し弾を期待してます!

「恩義に感じたところをモチベーションに変えてプレーするタイプっぽいもんね。相変わらずパンチ力はすごいんでしょ?」

――今年のアルビはメディアに対しても非公開が多くて。いまひとつ練習を取材することができていないんですよ。

「そうなんか」

――ただ、テセ選手は背中の筋肉がすごい。練習着を着ていても、とんでもない僧帽筋の盛り上がり方が分かる。あれはサッカー選手の体つきじゃないですよ。格闘家っす。それに、チームに早く溶け込めそうな雰囲気はありますし、当然、サポーターもものすごく期待しているし。次はホームの長崎戦なんですけど、そろそろ出番かな、という。

「テセ選手って、いくつになるんだっけ?」

――36歳です。

「そのくらいの選手って、ひとつ難しさがあって。中には自分の間合い、タイミングでプレーしたがる選手もいるんだけど、それだと若い選手が主体のチームでは、なかなかうまくいかない。で、また北九州の話になるんだけどさ。加藤弘堅選手ってボランチがいるんだよ。31歳なんだけど」

――はい。

「伸二さんが来るまでは、ちょっと下がり気味で配球役としてプレーしたがっていて、自分優先のポジショニングを取ってたんだよ」

――自分がやりやすいように。

「そうそう。守備のときも、相手に対して構えておいて、周りをうまく使いながら守る。そんなふうにやってたんだけど、伸二さんが来て、チームとしてどんどん前からボールに行け、というやり方に変わっていく中で、全然、使われなくなった。そこで加藤選手は自分を変えたんだよ。失敗してもいいから、自分からボールを取りに行くし、なるべく高い位置でボールを受けようとするし」

――プレッシャーの厳しいゾーンに、自ら入っていく。

「そう。苦しいところに自分を置いて、やろうとしてる。それがはまって、今、使われ続けてるんだけど。自分が変われるかどうか。30歳過ぎた選手にはポイントじゃないかな。福岡に田邉草民選手がいるじゃん」

――はいはい。

「彼も、前はあんなに守備する選手じゃなかったんだよ。でも長谷部さん(長谷部茂利監督)が来て、前への推進力を出すこと、守備では球際をガツガツ行くタフさを求められてることに気づいて、自分を変えられた。だから今、使われてる。

30歳を過ぎた選手が、周りを自分の間合いに合わさせるんじゃなくて、自分がどれだけチームに合わせられるか。そこが、あの年代が生き残れるかどうかのポイントになると思う。テセくんもそこをやらないと、思うようにはうまくいかないんじゃないかな。自分に合わせろ、みたいなところを出しちゃうと」

――その心配はないと思います。もちろん自分のしっかりとしたサッカー観、プレースタイルは持っているけれど、周りに対する気配りもすごいし。だから、テセ選手が粋に感じる状況が新潟で整えば、何倍もの力を発揮してくれるんじゃないかと期待しています。

「伸二さんもエスパで、テセ選手のそういうところに期待して使っていただろうし。チームのために、ってできることが分かってるから」

■すでに長崎戦は始まっている

――テセ選手もたくさんの経験を重ねて、円熟期にいるわけですが、ギラギラした熱い部分は健在だし、風格もすごい。そんな彼が、自身、初めてというスペイン人監督のもとでどういうプレーを見せるのか、すごく楽しみなんですよ。

「新潟は次、どこと対戦するの?」

――ビッグスワンで長崎と対戦します。

「長崎か! 楽しみやなあ!!」

――テセ選手のデビューになるんじゃないかとにらんでます。

「強烈なミドルとか、期待したいね。ところで長崎が強い理由っていうのが、俺は今ひとつ分かんないんだけど」

――手倉森誠監督ですから、非常に手堅いサッカーのイメージがあるんですけど。

「でもね、意外にビルドアップがうまいんよ。北九州が第2節、リーグ再開の初戦でやったんだけど、プレスが全然、はまらなくて。それで負けた(●1-2)」

――システム的にミスマッチが起きちゃったんですか?

「長崎は4バックも3バックも併用していて。なんかね、手倉森さんは勝負師だから、わざと前の試合でえさを巻くようなところがあるんだよ」

――撒きえ!

「4バックで来そう、と見せかけて、実は3バックとか。『この試合でこんな戦い方をしたら、次に対戦する相手の監督はそれを見て、こんなふうにしてくるだろうから、そこを外したり、はめたりする』みたいな。だから新潟にとって次の長崎戦は、もう駆け引きが始まってると思うよ。

だけどさ、なんで今、伸二さんがギラヴァンツで前から行くサッカーをやっているかというと、『後ろで守ろうとしても、それができる選手がいない』って言ってたよ(笑)。若手主体だし」

――ある意味、そこは割り切って。

「山形のときは3-5-2で、守備では後ろを5バックにしてやってたんだよ。山形では守って、そこから前に出ていける選手がいっぱいいたけど、若い今の北九州はそれはできない。待ち構えておいて、そこから前に出て行くサッカーって、すごく精神的に負担が掛かるからさ」

――いろいろなプレッシャーにたえないといけないですもんね。

「だったら、取れなくても前からがんがんボールに行って、かわされても戻って、またプレッシャーを掛け直す。それが、北九州の守り方で、ポジティブに守れてる。伸二さんはね、経験豊富なだけあって引き出しが多いんよ。取材してても、言うことがめちゃめちゃおもしろいし」

――相変わらず話は長いんですか?

「長い(苦笑)。最近、Zoom取材が多いじゃん。試合後の会見も。時間がけっこうシビアだから、この間、広報から『短めでお願いします』ってくぎを刺されたらしいよ(笑)」

――まあ、相手チームの監督も両チームの選手も控えていますからね。試合後は。

「みんな締め切りがあるしね、新聞記者は。あと、ちょっとSっぽいというか、Mっぽいというか。監督はみんなそうなのかな?」

――唐突な議論の転換ですね。

「今、チームは調子いいじゃん?『一番になることで感じる圧力と、そこからどうせ落ちるんだから、落ちたときの周囲の反応とか、そういうのを一回、選手たちもみんな経験してみればいいんですよ。へへへ』とか笑ってるからね。なんや、この人!? って思わないでもない(笑)」

――天国から地獄。小林監督は、シビアな状況も何度も経験されていますからね。

「そうなんよ。最後にどん底見るくらいなら、途中である程度へこむような状況になって、それによって最後の大事なところで浮き上がる、みたいな考え方なのかな。

まあ、今の北九州を見ていると、ちょっと大分っぽいところがあるよ。大分も1年ごとにJ2、J1とステップアップして、今、J1に定着してしっかり戦えてるじゃん」

――はいはい。

「あれも片野坂さん(片野坂知宏監督)が、GKからビルドアップしていくサッカーを徹底的に教え込んだ結果であって。そういうサッカーじゃないとJ1に上がってもすぐ落ちちゃうのが分かってやってきたのが、今、効いてる。だからあそこにいられるんだよ。J2からJ1に上がるために堅守速攻とかやっても、どうせすぐに落ちるでしょ、的な。

伸二さんもいろんなチームを何度もJ1に上げたけど、なかなかそのあと、結果を出せなくて。だから、今の北九州でのチーム作りなのかもしれない。片野坂さんの大分とは、また違うアプローチでのサッカーなんだけどね」

(つづく)

【プロフィール】島田徹(しまだ・とおる)/広告代理店勤務の後、1997年にベースボール・マガジン社に転職。サッカーマガジン編集部、ワールドサッカーマガジン編集部で2006年まで勤務した後、07年より福岡にてフリー活動を開始。サッカーマガジン時代に担当を務めたアビスパ福岡とギラヴァンツ北九州をメインに、ほぼサッカーの仕事だけで生きつなぐ。現在はエルゴラッソの福岡&北九州の担当に。現在、選手と同様に過密日程でヘロヘロ状態にある。北九州の公式HPで、インタビューシリーズ「シマダノメ」を連載中。

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