ニイガタフットボールプレス

【頼もう、感想戦!feat.島田徹】~明治安田J2第26節・アビスパ福岡戦vol.3~「サッカーを見ることを楽しもう」

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ピックアップしたゲームを選りすぐりの論客と語り尽くす、この企画。今回はサッカーマガジン時代の先輩で、現在は福岡を拠点に活動するライターの島田徹さんが登場します。相手の連勝を止め、上位に食い込もうと挑んだ第26節・福岡戦から見えてくるものは?

■カタチにする監督の力

――福岡戦で右サイドバックの田上大地選手が何度も相手ゴール前に入っていけたということは、それだけ新潟のポゼッションが安定している証拠でもありますよね。

「そうだね。そういう意味でも、新潟のポゼッションの精度が上がっているのを感じるよね」

――渡邉新太選手がけがで抜けた穴は大きいんですけど、高木善朗選手が入ったことによるポゼッションの変化、さらに早川史哉選手や田上選手が内側でプレーするようになったポジショニングの変化。プラスの変化も見られます。早川選手のポジショニングを見ると、すごくクレバーな選手であることが分かっていただけたのでは?

「それは感じたね。良いポジションって、頭脳明晰じゃないとなかなか取れないから。新太選手がけがしてしまったのは大きなマイナスだろうけれど、いなくなったことでそういう工夫をして形になりつつあるというのは、別のプラスがチームに生まれてきているわけで。そういうプラスの変化をもたらせられるアルベルト監督が興味深い」

――本当に采配が面白いんですよ。第23節、アウェイの琉球戦(〇1-0)では、後半が始まるときに4枚替えという大胆な交代策を打ったのですが、4人のうち3人がサイドバックだったんですよ。先発した2人のサイドバックも最後までプレーしたから、試合が終わったとき、ピッチ上にサイドバックが5人いた、という。

「それは応援していて、飽きないサッカーだね! そういう意味でも、サッカーの楽しさを提供してくれる監督さんなんだ」

――そうそう。

「そこは楽しまないと損だよね」

――ただ、サッカーの本質的な面白さの部分と、昇格争いは別の話で。なかなか両立は難しいんですけど。

「これもちょっと前に原稿で書いたんだけどさ、1カ月前くらいかな。J2のトップ10に入っているチームの監督を見ると、就任初年度は福岡の長谷部茂利監督、京都の實好札忠監督、新潟のアルベルト監督くらいだったんだよ。實好監督は去年コーチだったから、実質、2年目といってもいい。

今年、ハードな日程でほとんど練習もできないし、準備もできない。そうなると、体制を継続しているチームの方が戦術も浸透しているし、限られた準備時間を休養と調整に力を注げる分、上位に行けるんだろうな、と俺は思ったんだよ。

それを考えると、アルベルト監督はすごいな、と。しかもやろうとするサッカー、戦術が簡単じゃないじゃん。来年も監督を続けるかどうかは分からないけれど、そのあたりは新潟のサポーターも楽しむべきなんじゃない?」

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