【サッカー人気2位】学んだことを生かすべきゲーム 出せるも…

ニイガタフットボールプレス

【頼もう、感想戦!feat.島田徹】~明治安田J2第28節・ギラヴァンツ北九州戦vol.2~「至恩選手封じはチームで対応した成果だね」

ピックアップしたゲームを選りすぐりの論客と語り尽くす、この企画。今回は、福岡在住ライター島田徹さんと第28節・北九州戦を語り尽くします。ギラヴァンツを深く取材する島田さんとの対話は、まるで試合の“答え合わせ”のよう。そして見えてくる、両チームにとっての「勝点1」の意味合いは?

■“消極的”な交代策はうまく守れた証拠

――新潟はリーグ再開後、戦い方がなかなかバシッとはまらないんですよ。北九州戦は攻守ともに良い部分を取り戻した手応えは十分だったんですが、肝心のゴールを奪えずに引き分け。前節の水戸戦(第27節)は攻守にちぐはぐで、結果も0-4の大敗でした。

「水戸戦でいえば、アルベルト監督は戦い方にプラスアルファしたかったんだと俺は受け取ったよ。攻撃のところだよね。つなぐばかりではなく、裏に走らせたり、パワープレーを仕掛けられるようになったら、サッカーに変化が付くじゃん、という考え方で」

――ところが水戸戦は“幅を広げる”という方向性ではなく、背後、ロングボールの一辺倒になってしまった。これでは方向性の大転換ですよね。もちろん、監督はそんなことを意図していないと思います。そしてそこは、今回の北九州戦でしっかり修正できたと思います。

「夏に大分から加入した髙澤優也選手は、空中戦に強いんだよね。試合に出るようになって、右サイドバックの藤原奏哉選手や左サイドバックの堀米悠斗選手のクロスからヘディングで狙うシーンは、回数多く出せているの?」

――いや、なかなか出ていないです。北九州戦ではメンバー外でしたが、大分で一緒にプレーしていた星雄次選手は、今のところチームで最も髙澤選手を生かそうとする配球が見られますね。相模原戦(第26節○2-1))は右サイドハーフで先発し、背後の藤原選手とのコンビネーションも良かったし、髙澤選手を囮にする形で背後に左サイドハーフでプレーする谷口海斗選手が飛び込む攻めがうまくいきました。続く水戸戦では、全く機能しなかったんですけど(苦笑)。そして北九州戦は、ふたを開けてみるとシーズン前半の調子が良かったころのメンバーに近い布陣になっていたという。

「攻撃に活路を見いだそうとするのは、一貫しているんだよね? 北九州戦後もアルベルト監督は、『われわれは姿勢を変えない』という意味の発言をしていたし」

――そうですね。

「攻撃の多彩さを増して、パワーアップして自分たちの姿勢を貫く。そのために髙澤選手を補強したのだと思う。髙澤選手の特徴に合わせて戦い方をベースごと変えるのではなく、相手に応じて髙澤選手の強みを生かしていくのが本来の目的なんじゃないかな。J2はいろいろなタイプのチームがいるからね。ロングボールを放り込んで、蹴り合いを仕掛けてくる相手もいるだろうし」

――まったくその通りです。

「つなぐサッカーで得点するのがなかなか難しい相手からも、きっちり勝利を奪っていく。そういう対応力を伸ばすために、ここ数試合、メンバーを変えてきているんじゃない?」

――その意味でも、次の山形戦から東京V戦、甲府戦と、9月をどういうメンバー編成、戦い方で行くのかは、非常に気になるところです。

今節でいうと、北九州がもっと途中で積極的に交代させると思っていたんですよ。前節の岡山戦(第27節・岡山0-0北九州)がそういうアプローチだったじゃないですか。5人の交代枠をフル活用して、選手全員の持っている力を使い切って、戦いの強度を最後まで保つ。そういうやり方ですね。

だけど新潟戦は最後まで交代カードを残していたし、チームにエネルギーを再注入するというより、時間を使うニュアンスでの切り方だと感じました。そこは意外でしたね。

「新潟戦は守備に重点を置いた戦い方をしていて、前線も含めて選手たちが意欲的に、一生懸命やっていたから、代える必要がなかったんだと思うよ。これまでは、後半疲れてくるとプレスが掛からなくなるという現実問題があった。だけど新潟戦に関しては、DAZN中継を見ていても最後まで前線のプレスが効いていると感じたし、選手を代える必要はあまり感じなかった。

左サイドバックの永田拓也選手に関しては、けがで5試合出ていなかったからね。前節の岡山戦が6試合ぶりの出場とあって、さすがに新潟戦でも最後は運動量が落ちて、72分に代わった。伸二さん(小林伸二監督)も、そこの交代だけは最初から考えていたみたい。新潟戦はシンプルな話で、狙い通りうまくいっていたから、交代カードを積極的に使わなかったんじゃないかと思う」

――見方を変えると、新潟の攻撃が脅かし切れなかったともいえますね。

「そうかもしれない。本間至恩選手にも、2本ほど持ち込んで狙われたけれど、全体的にはうまく守っていたと思うよ。本間選手に対しては必ず2人で対応するとか、カットインしてくるからどんどんスライドして守るとか、そういうところもうまくできていた。本間選手も嫌がって横パスやバックパスをしていたから、そこへのケアはまあまあ良かったんだと思う。

もう一つ、北九州の左サイドから上げられるクロスに対してだけれど、これはもともとサイドに追いやってボールを奪うとか、上げられても苦し紛れのクロスにさせるというところをずっとやっているから、中は準備ができているんだよ。急にクロスを上げられるわけじゃないから。そこもうまく抑えることができたんじゃないかな」

――新潟があと一歩、攻め切れなかった要因の一つに、至恩選手と福森健太選手とのマッチアップがあると感じました。福森選手にうまく対応されて、老かいとすら言いたくなるプレーに封じられてしまいました。

「俺は特別指定選手のときからずっと福森選手を見ているけれど、最近、そういう経験を生かすプレーが出せるようになってきたんだよ。この間、ギラヴァンツのレジェンドで、去年、引退した池元友樹さんと一緒に練習を見ていたんだけどさ。そうしたら、『福森があんなに声を出したり、紅白戦でサイドから中央に入ってボールに絡んだりするようになっているとは思わなかった』と驚いていたよ。

福森選手は大分から半年で復帰する形でこの夏、加入したから、チームを残留させようという覚悟もしっかりできているんだよね。練習でも試合でも、周囲とコミュニケーションを取ろうと自分からどんどん声を出しているし、チームを引っ張っていこうとする姿勢が見える。かなり大きな存在だね」

――福森選手にマークされて、至恩選手もなかなかリズムに乗れなかった印象です。

「福森選手がうまく守っているなと思って俺は見ていた。本間選手が仕掛けるんじゃなく、横パスやバックパスをし始めた時点で、『このマッチアップは勝った』と思った。本間選手に決定的な仕事をさせなかったのは、福森選手の個人の力もあるし、その後ろでカバーした岡村選手の力も大きかったと思う。サイドハーフもしっかりプレスバックするし、場合によってはFWの佐藤亮選手も下がってきて、本間選手に対応していた。本間選手封じは、チームとしてケアした成果だね」

(つづく)

【プロフィール】島田徹(しまだ・とおる)/広告代理店勤務の後、1997年にベースボール・マガジン社に転職。サッカーマガジン編集部、ワールドサッカーマガジン編集部で2006年まで勤務した後、07年より福岡にてフリー活動を開始。サッカーマガジン時代に担当を務めたアビスパ福岡とギラヴァンツ北九州をメインに、ほぼサッカーの仕事だけで生きつなぐ。現在はエルゴラッソの福岡&北九州を担当。

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