ニイガタフットボールプレス

【Voice of the Pitch】~鈴木孝司インタビューvol.2~「PK、そして“3トップ”」

ただゴールを陥れるだけではない。試合の流れを読み、たくみにプレーを変えながらチームを勝利に導く抜群の感覚を持つ。サッカーの本質を知るストライカーにとって、新たにアルビレックスの一員となり、昇格のために力を尽くし続けた2021年は、どのようなシーズンだったのだろうか。

■自分の間合い

――愛媛戦では66分、髙澤優也選手とともに交代出場して、2人とも積極的に前からボールを追っていました。それは1点を守り切るためのプレスではなく、追加点を奪ってとどめを刺すためのプレスだったわけですね?

「そうです。やっていることは守備なんだけれど、攻撃でもありました」

――それが実ったのが、まさにPK獲得の場面でした。そこに至る流れは一見、得点の気配がない、相手のゴールキックに対して、矢村健選手と2人でプレッシャーを掛けるところから始まりました。

「ヤムが注意して見ているのに、GKがそのセンターバック(CB)にボールを出したので、『これはGKに戻すことになるだろうな』と思いました。それでGKは僕から見て左前にいて、僕の右側にはもう1人CBがいたので、そちらにボールを展開されないようにコースを切りながら寄せていったら、GKのトラップが内側にいったんです。そうなると、もう蹴るしかない。そういう状態を作れました。

愛媛のGKはおそらく、思ったようなコントロールではなかったんでしょうね。ちょっと滑ったようなところがあったし、焦っているようにも見えました。それでGKが蹴ったボールをゴメス(堀米悠斗選手)がはじき返したんですけど、あれだけ高い位置にサイドバックが上がっていたというのもポイントの一つでした。シュートを打った後のゴールキックだったから、ゴメスもその位置にいたと思うんですけど。そこでゴメスがボールを見送るんじゃなくて、五分五分のところを競りに行って勝ってくれたからこそ、あのPK、ゴールが生まれたと思います。

ボールがペナルティエリアに戻ってきて、最初はヤムからワンタッチでパスをもらって自分がシュートというイメージを持っていました。そうはならなかったんですけど、その後のリアクションでうまくPKをもらって、決めることができました」

――そのPKなんですが、ボールをセットして立った位置から、『これは助走がけっこう長いな』と感じました。そしてゆっくりとした長い助走をしてゴール右に決めて、試合後の会見では「PKは自分との戦いで、自分の世界に入ることが大事」とおっしゃっていました。相手GKとの駆け引きで、時には素早く蹴ることもあるのですか?

「いや、それはほぼないですね。PKは町田のときから練習していて、それでたどり着いたのが今の形なので。

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