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【編集部コラム】代替大会開幕まで1カ月余 チームがクリアすべき課題は

高校野球夏の大会の代替大会が、県の頂点を決めるチャンピオンシップに決まりました。甲子園というあこがれの舞台はなくなりましたが、栄誉ある県1位を決めることができるようになったのは、大きな進展と受け止めます。

詳しい日程や対戦方法はすでに紹介しているので省きます。選手はもとより、指導者も県高野連も初めて迎える代替大会なので、考慮しておかないといけない課題を拾ってみます。

部活動は6月から段階的に全体練習を再開しました。県教委のガイドラインだと20日から土日曜の練習が、27日からは対外試合がそれぞれ可能になる予定です。

代替大会の開幕は7月18日。つまり6月27日から3回の週末しかありません。平日は授業がびっしりでしょうから、本当に数えるほどしか練習試合を組めません。それまで紅白戦などでいかに実戦感覚を取り戻せておけるかです。やはり〝ぎりぎりのプレー〟の経験値が少ないのは仕方ないこととして、故障だけは避けたいところです。

また、昨年の関東甲信の梅雨明けは7月24日。昨年の長野大会の決勝は21日だったので、皆さんもご記憶あるかと思いますが、期間を通じて真夏の日差しがとても少なく、過ごしやすい大会でした。これも公立校決勝の要因の一つと考えています。

梅雨明けの平年日は21日。代替大会が始まってから本格的な夏がやってきます。日程的にはゆとりがありますが、例年以上に暑さがきつい時期になります。

まして主会場は長野オリンピックスタジアム。8月5日の準々決勝以降で使うのはもとより、北信地区はずっとオリスタ会場になります。ここで3、4試合行って、準々決勝以降も頂点まで3試合。なかなかハードな環境です。ベンチ横にあるカメラマン席でも、土の球場に比べオリスタは本当に照り返しがきついです。

ただ、中信は松本市四賀球場をフル、東信は佐久スタジアムを7試合使用します。両球場とも人工芝ですが、内野は土なのでまだ過ごしやすいかと思います。四賀球場は、山間部になるので気温的にも少し負担は少ないかもしれません。

根本的に練習不足の折、各方面で心配の声が挙がっていますが、選手の健康管理が例年以上に難しい状況になってくると感じます。

この代替大会は、秋季地区大会のシード権がかかっています。3年生たちが、新チームに置き土産を残せるか、そんな意味合いもあります。

その秋の大会は、予定通りだと8月28日から一部地区で開幕します。例年、夏の大会は7月1週目の週末に始まり、およそ1週間で半分のチームが姿を消します。そこから新チームとなり、約1カ月半かけて秋の大会に臨むことになります。

しかし、今年は開幕が2週間遅れ、さらに週末ごとの試合日程のため、新チームのスタートが平均で大きく後ろにずれ込むわけです。幸い、8月上旬に行われてきた予備戦は、今年から廃止になっていたので、そちらは考える必要がありません。

ただし夏休みそのものが学校によっては一部授業日に充てられるケースもあるため、例年の夏休みのように練習時間を取れるとも限りません。また1年生が4、5月、まともな練習ができていません。本来そこで夏を乗り切り、秋戦う体力を身に付けないといけませんので、1年生を秋の戦力にするには例年以上に配慮が必要になりそうです。

こうした状況下でも、しっかり翌春のセンバツ甲子園を狙うためには、ある程度の段階から新チームの準備も並行して行う必要が出てきます。夏の甲子園がなかった分、来春のセンバツは、都道府県代表をそのまま選考してもいいのでは、なんて声もある指導者から聞きましたが、そんな考え方もありなのかとも感じました。

ただ、代替大会もそうですが、開催できるかは新型コロナの感染拡大が悪化せず、学校が平常に行えていることが大前提。まだ油断できません。東京の感染者数が拡大傾向にあるのを見ますと、自粛の反動が怖いです。その多くは大人が関係しているもの。こんなことで再び、高校生の発表の舞台を台無しにすることのないよう、それぞれが気を付けるしかありません。

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