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【甲子園観戦記】上田西戦ほか センバツ4日目

◇第93回選抜高校野球
3月23日第3試合

▽上田西0-1x広島新庄
(延長12回)

↑ 惜しくも敗れ新庄の校歌を聞く上田西ナイン

残念でした。山口君の熱投、そして優勢に試合を進めていただけにその思いが募ります。敗れはしたものの、その戦いぶりに拍手を送りたいです。

すでにテレビ中継や報道などで試合内容、展開はご存じだと思いますので、会場で感じたことを報告したいと思います。

とにかく山口君が素晴らしかった。立ち上がり、先頭に四球を与えて不安がよぎりましたが、結局四死球はその1つ。12回162球を投げ、被安打7、奪三振9で、失点は12回の1点のみ。これ以上求めてはいけません。

バックも好守や無失策でよく盛り上げました。こう見ると、ディフェンス面は非常にうまく仕上げてきたと思います。

相手投手も前評判通り素晴らしかったです。先発の右の花田君は最速143㌔をマークしたほか、走者を出してから変化球を有効に交えるなどうまかったです。

また8回1死二塁で、好調1番笹原君を迎えたところで、新庄は2本柱の一人、左腕萩山君にスイッチ。1,2番を連続三振に仕留め、得点を許しませんでした。この重要な局面で、なお左対右の場面で投手交替できる信頼の厚さを感じました。この投手力を前面に中国大会を制したのかとあらためて思いました。

昨秋は全試合で二けた安打の上田西は12回で8安打。もらった四球は1つ。先頭が4度出塁しましたが結果、送るなどして1死二塁までには持っていきましたが、後続が抑えられました。上田西には長打が1つ(二塁打)が出ましたが、0行進の試合、サヨナラの場面のように1本の長打が勝敗を分けることになりました。

新庄のような好投手をどう崩していくか。後でも書きますが、県立岐阜商は結局完封負けでしたがすごい選手起用で好投手攻略を仕掛けていましたね。

もしも12回を抑え、タイブレークで勝っていたら山口君の球数は170を超えていたでしょう。そこから2回戦は中3日で強打の智弁学園戦だったことを考えると、山口君に続く投手が不可欠。ベンチ入りのほかの4投手も力はあります。実戦経験を積み重ね、夏に向けて投手陣全体の底上げはまず必要になります。

また上田西の打者に対するマーク、攻めも厳しくなってくるでしょう。県内他校の投手の力も一冬で上がってきているので、県内屈指の攻撃力をどうバージョンアップしていくか。横一戦になった県内各チームの戦いが、さらに面白くなっていきます。

▽第1試合
市和歌山1x-0県立岐阜商

本当に公立同士の戦いなのかと思いました。

プロ注目の和歌山、152㌔右腕小園君は前評判、いやそれを上回る投球でした。この日は最速146㌔でしたが、最終回まで140㌔を超えていました。速球だけでなく変化球も素晴らしい。

↑ プロ注目、市和歌山の小園投手。近畿大会を勝ち上がる原動力になったのも納得

捕手で3番の松川君も素晴らしいバッティングをしていました。このバッテリーがそろっただけでもすごいことです。

熊本・秀岳館でもおなじみ鍛治舎監督率いる県岐商も仕掛けてきます。打者が合ってないと見るや、打席の途中で2度代打を送りました。5番にも代打には驚きました。0行進の中、好投の先発野崎君(左)にも7回、2死二塁で代打。もう一人松野君という素晴らしい右腕がいたからできることですが。
野崎君は140㌔、松野君も139㌔と左右でこれだけのボールを放れ、どんどん代打、選手交替できる選手層の厚さには公立と考えてはいけないのかと思わされました。

▽第2試合
智弁学園8-6大阪桐蔭

この2チームの選手が出てきた瞬間、「大きい」と感じました。

昨秋の近畿大会決勝の再戦で、そのときも智弁が7-3で勝っています。先発の左腕西村君が130㌔中盤のストレートとテンポ、制球のいい投球で桐蔭に主導権を渡しませんでした。

逆に桐蔭はらしからぬミスによる失点が響きました。しかし打撃はすごいですね。打球の速さ、仕留め方が違いました。

惜しかったのは注目の投手陣。左腕エース松浦君、右の関戸君とも140㌔を超えるボールがありながら、制球に苦しみました。桐蔭は5投手が投げましたが、全員130㌔中盤以上の球速。チーム全体のポテンシャルは格違いと言えます。

これだけのチームですら、考えられないミスが出るので初戦の難しさを感じました。

↑ 大阪桐蔭の名将西谷監督が自らシートノック(内野のみ)を打つのにはまず驚き

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