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【コラム】なるか、新人王?DeNA牧のすごさとは

プロ野球はCSに突入する。レギュラーシーズンは終え、新人王争いに中野市出身のDeNA牧秀悟の名前も頻繁に取りざたされている。

ドラフト2位の牧のルーキーイヤーは、137試合に出場し打率3割1分4厘、22本塁打、打点71と文句のつけようのない数字を残した。特に終盤は4番に座り、疲労やプレッシャーで減速するどころか、固め打ちでさらに打率を上げてきた超人的なタフさを見せた。

以前にも書いたが、こうした活躍を見るにつけ牧の体の丈夫さを表す2人の指導者の言葉を思い出す。

牧は長野若穂シニアから松本第一高校に進み、1年の春から一塁などでずっと起用されていた。1年の秋に入ったころだったか、当時監督だった櫻井先生が「牧は夏になっても全然体重が落ちなかったんですよ」と驚いていた。

多くの選手は夏場にかけ体重が落ちる。まして体力不足で気を遣わないといけない1年生が春から出続けるとなるとなおさらだ。

↓ 松本第一では1年春の県大会で3番一塁で出場

牧はその後、中央大に進学。戦国東都1部の強豪だ。そのチームで清水監督は1年春のリーグ戦から牧を負担の多いショートで起用し続けた。牧の強肩ぶりを評価されていたようだが、非凡な打撃、将来性も見抜いていたのだろう。

さすがにエラーを結構犯していたが、清水監督は起用し続けた。上級生も多く、相当なプレッシャーを感じただろうが、ここで精神的にも体力的にもつぶれずにやり切れるのが牧のすごさと言える。

牧が4年になる春先に中大を訪ねた際、清水監督は「とにかくけがをしない。けがをしないから練習できる。練習するからうまくなる」と、牧の丈夫さ、練習への姿勢をたたえていた。
「無事これ名馬」を地で行く感じだ。

↓ 中大4年になる春先の牧。太ももが尋常でない。それでも動けるのがすごい。

青少年の選手の中には故障しやすいタイプも少なくない。また、指導者も実際の状態が把握できていないまま起用し、悪化させてしまうケースもある。

故障によるブランクは、せっかく積み上げてきたものをリセットしかねない。オフに入り、大事なトレーニング期間。ここで故障しにくいタフな心身を築いてほしい。

牧はプロになって初めてのオフ。この活躍で、帰郷の際はさまざまな催しなどに引っ張りだこだろう。さすがの牧も意識している以上に疲労がたまっているだろうから、しっかりメンテナンスをしてジンクスもある2年目に備えてほしい。周囲の方々もそのあたりを理解いただき、サポートしてほしい。プロ野球はそんなに甘くはないので。

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