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【無料記事】【ユナパな話】VOL.17「被災地支援」(取材・構成:西部謙司)2016/4/22

九州の地震被災地に救援物資を送った。4月20、21日にユナパの12JEF入口でファンからの支援物資を受け取り、福岡に送付してから各地の避難所に届ける。すでにクラブからは炊き出し用の無洗米4.5トンが送られていたが、藤嶋栄介の発案でファンからも支援物資を募ることになった。

「僕から巻(誠一郎)さんに連絡をとり、『できることがあれば手伝いたい』ということでクラブに相談したところ、こういう形で実現しました」(藤嶋)

熊本出身の藤嶋の家族は避難所にいるそうだ。今回、事前に支援物資の品目を限定していた。飲料水、ブルーシート、おむつ、生理用品、タオルなど、何が現地で必要なのかを藤嶋の家族、友人に聞いてまとめたという。多くのファンがユナパに物資を届け、選手と職員が受け取りと仕分けを行った。車に積み込んで来る方も多く、吉田眞紀人は近くのショッピングセンターの駐車場まで台車を押して受け取りに行っていた。

「忙しい中、選手や会社の人にも手伝ってもらい感謝しています。物資を持って来てくれたサポーターの方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。しっかり届けます」(藤嶋)

ニュースなどを見聞きすると、支援物資を届けるのはなかなか大変らしい。物資が集まっても、それを仕分けする人手が足りなかったりして、必要なものを必要な場所に届けるのが難しい。東北の震災の時には直接届けに行った知人もいた。今回はロアッソ熊本の巻誠一郎が受け手となり、先輩後輩のルートで届けるそうなので確実だと思う。

震災の影響で熊本の試合が止まっている。スタジアムは救援活動に使われていて、試合ができるように整備されるまでには、それなりの時間も必要だろう。敷地の広いスタジアムは災害時に物資の集積などに使われることが多く、それは戦時下でもそうで、それゆえに爆撃の対象にされることもある。第2次世界大戦ではマンチェスター・ユナイテッドの本拠地であるオールドトラフォードが空爆で破壊された。競技場が全く別の用途で使われるのは切ない気もするが仕方がない。福島の原発事故の際に、Jヴィレッジが活動拠点となっていたのは記憶に新しい。

Jリーグは地域とともにある。サッカーファミリーの動きは早く、今回もロアッソ熊本への練習場の提供など、多くの手助けが提案されている。もともとサッカー選手はけっこう人脈がある。プロ同士のつながりだけでなく、出身高校や大学などの関係、さらにそこから広がる人脈もあり、助け合いのネットワークとしてはかなり強力だと思う。災害時にサッカーのネットワークを活用していくことを、Jリーグは真剣に考えてもいいのかもしれない。

熊本のJ2復帰は5月15日の予定。ジェフ千葉とのフクアリでのゲームになる。

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