犬の生活SUPER 西部謙司WEBマガジン POWERED BY EL GOLAZO

【戦術分析:千葉】求められるラストパスの種類と精度

●天皇杯終了
天皇杯は3回戦敗退。ガンバ大阪をホームに迎えての試合は0-2、J1上位を相手にいつも通りのプレーができていました。まあ暑かったですし、相手がいくぶん省エネモードだったのは差し引いて考えなければいけませんが、現在のサッカーがJ1相手でもそこそこやれそうだ、という感触は持てたかもしれません。

興味深かったのは、G大阪を相手にフアンエスナイデル監督がとにかく前からプレスするように指示していたこと。指笛がよく鳴っていました。ハイプレスは外されるとカウンターをもろに食います。プレスした選手も戻らなければいけないので体力の消耗は大きく、夏場にそうなるともうハイプレス自体が成立しなくなります。蹴ってくれれば楽ですが、外されると本当に難しくなります。ただ、リトリートしたらしたで押し込まれて走らされますけどね。

G大阪はハイプレスを外す力のあるチームですが、この試合ではわりと蹴ってくれました。コンディション次第ではどうか分かりませんが、この相手に徹底プレスを挑んで、取りあえず蹴らせて終われたので主導権を握ることができた。一歩間違えば大惨事の可能性もありましたが、フアンエスナイデル監督の賭けが当たったということです。中途半端になったら外されまくるので、やるならあれぐらいやらないとね。

ただ、チャンスは作れましたが得点はできませんでした。崩しのところ、特にラストパスについてはまだ改善の余地がかなりあるなと。そこで、何がどうなったらいいのか、という話です。

●ほぼない中央突破
千葉の攻撃はサイドアタックがメインになっていて、中央突破がほとんどありません。G大阪戦では後半に指宿洋史が入ってからは少しありましたが、真ん中をこじ開けられないのは課題だと思います。じゃあ、どうやって中央突破するのかという話になるわけですが、手っ取り早く実例を見てみましょう。

浦和レッズ戦(2017明治安田生命J1リーグ第13節)における、川崎フロンターレの先制ゴールのシーンです。図は、小林悠が阿部浩之のパスを受けて中央を突破して得点している場面です。ポイントは小林が2人のDFの間でパスを受けていることです。

(残り 2284文字/全文: 3221文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ