タレントたちによる「適宜な混沌」からの「秩序の破壊」…ポジショナル・プレーの次とは【本の感想】『月刊フットボリスタ第54号』
●「ポジショナル・プレー」
諸々お世話になっている月刊フットボリスタですが、発売中の3月号のテーマは「戦術用語講座」となっております。私も一部執筆させていただいているのですが、まず巻頭のシャビ エルナンデスのインタビューが素晴らしい。さすがシャビ、言っていることがヨハン クライフみたいです。面白いもので、彼の監督だったペップ グアルディオラよりも、ペップの監督だったクライフに似ています。隔世遺伝みたいなものでしょうか。
シャビの話はかなり面白いので是非読んでいただきたいのですが、これは今回のテーマではありません。シャビについては機会があればまた。
テーマは「ポジショナル・プレー」です。ここ数年で新しい用語がいろいろ出てきましたが、その中でも重要用語でしょうね。これについてはそのものずばりの解説本が過去に出ていましたが、読了したという人を寡聞にして知りません。かくいう私も最初の数ページで止まったまま積ん読になっております。
何がどうって、読むのがめんどくさくなるのが必定というぐらい回りくどいというか、抽象的なんです。学術論文みたいです。それ、サッカーの話なの? という感じ。今回のフットボリスタはかなり分かりやすく解説してくれていますが、それでもまだ腑に落ちないという人はいるでしょうね。
で、ポジショナル・プレーって何なのという説明を今回はしません。知りたい方はフットボリスタを読んでください。それよりも感想として書いておきたかったことがあります。
ポジショナル・プレーは最新の、そしてすぐに基礎になるべき理論だと思いますが、そうなるとその先を考えたくなるわけで。というわけで、アンチ・ポジショナル・プレー論であります。
●秩序と混沌
ポジショナル・プレーという用語はチェスから生まれたそうです。チェスには疎いのですが、考え方としては将棋と似ているのかなと思います。いわゆる王手飛車取りの状態を作り出す。敵は王を取られたら負けですから飛車を諦める。そういう感じで有利な配置によって相手を後手に回すやり方と言えるかもしれません。
フットボリスタの記事には書いていなかったと思いますが、ここで大事な考え方の1つとして「諦めること」があると思います。パスを諦める、崩しを諦める、前進を諦める。言い方を変えると無理をしないという判断ですね。
有利なポジショニングによる攻め込みをまず狙うわけですが、それが無理そうなら止める、諦める、やり直す、これがポジショナル・プレーを遂行する上でけっこう肝だと思います。
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