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社長の仕事の半分はピッチにある…社長が主力商品を理解するという“当たり前”【本の感想】『フットボール批評 issue19』

●「社長の仕事の半分はピッチにある」
また手前みそになって大変恐縮なのですが、寄稿している『フットボール批評』の最新号を取り上げます。さらに恐縮なことに、今回は自分が関わった名古屋グランパスの社長×監督対談についてです。と言っても、今回これをあえて取り上げようと思ったのは小西社長のこのひとことを紹介したかっただけです。

「社長の仕事の半分はピッチにある」

Jリーグの社長って、どんな仕事をしているのでしょうか。これまで何人かの社長に話を聞いたこともありますが、「仕事の半分はピッチにある」と答えた人はいませんでした。ほとんどの社長が、と言うより全員だと思いますが、「仕事は経営」と言っていました。経営と言ってもいろいろでしょうが、平たく言えば赤字をなるべく出さないこと、できれば利益を出すことです。Jリーグのクラブは株式会社です。ただ、株主に配当があったという話を聞きません。トントンならOKなんでしょう。

なので、Jリーグの社長は主にお金の管理をする人です。サッカーの専門家ではなく経営の専門家です。もちろんどの社長もチームには強くなってほしいと思っているでしょうが、ピッチのことは専門家である強化部門やコーチングスタッフに“おまかせ”という社長が多かったと思います。では、名古屋の小西社長が「ピッチにある」と言ったのはどういう意味なんでしょうか。

●主力商品はチーム
クラブの収入はホームゲームの入場料、放映権料、スポンサー収入の3つが柱です。ただ、根本的にはチーム次第です。チームに魅力があって多くの観客が来る。人々の関心があるのでスポンサーも付いてくれる。グッズの売り上げもしかり。全ては魅力的なチームを作ることから始まります。クラブの主力商品はチームであり試合ということになります。

自分の会社の主力商品について商品知識がない社長はいないでしょう。それどころか、誰よりも詳しくて不思議ではありません。例えば自動車を造っている会社なら、部品などについての専門的な知識はなくても、それがどんな性能と魅力を持った車かは当然熟知している。お金の勘定と労務管理だけやっている、というわけではなく、先頭に立って商品開発を進めているはずです。より良い商品、より売れる商品を世に出そうと必死の努力をしていることでしょう。

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