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プロ選手は成長できるのか?人間的な成長はプレーヤーの成長にもつながる【本の感想】曺貴裁「育成主義」

●サッカー選手の多くが20代

若手育成に定評のある湘南ベルマーレの曺貴裁監督による育成論です。

「サッカーが進歩するのではなく、人間が進歩するのだ」(セサル ルイス メノッティ)

1978年ワールドカップでアルゼンチンに初優勝をもたらしたメノッティ監督の、有名な言葉ですが、プレーする選手の向上なしにサッカーの向上もありません。曺貴裁監督はユース年代を指導した経験もありますが、この本に書かれているのは主にプロ選手についてです。もうプロになっている選手が成長できるものなのか?という疑問を持つ方もいるかもしれません。プロ選手がどう成長していくか、その実例のいくつかがこの本には書かれています。

ところで、プロ選手といっても20歳台の若者がほとんどです。30歳台はぐっと数が減り、40歳を過ぎて第一線でプレーしている人はほんの一握りです。つまり、人としてはまだまだ未熟な選手が多いわけです。アスリートはそのピークが早ければ10代、遅くても20代で、競争も厳しいですから人間的にも早く成熟する傾向はあります。

20歳の若者でも精神的には30~40歳ということは珍しくありません。とはいえ、やはり若者は若者ですから、ある部分は大人でも子供っぽいところもあります。以前、英国の調査で「何歳から大人か?」というのがありまして、それによると英国人の実質的な成人年齢は25歳だったそうです。先進国で自分が大人になったと感じる年齢は、だいたい、この位なのかもしれません。

20代の選手は人間的に成長の余地がかなりある、そして人間的な成長はプレーヤーとしての成長にもつながります。この本を読むと、技術的なアドバイスだけでなく人間的な成長が選手としていかに大事かが分かります。

(残り 1105文字/全文: 2015文字)

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