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#フアンエスナイデル 監督は「チャンピオン」という服を仕立てたが…#ジェフユナイテッド千葉【2018シーズン総括】その2

●監督を替えるor替えない
今回は戦術と選手の関係について。来季もフアンエスナイデル監督が指揮を執ることが発表されました。違う監督が来ると、また違った課題が出てきます。継続なら、課題はすでに表面化しているので修正もしやすいはず。過去最低成績の監督を継続した以上、昨季と同じでいい、ということにはなりません。必ず修正が必要になります。オフの補強も含めて頑張っていただきたいところです。

一般論でいえば、監督はなるべく替えない方がいいです。ただ「替えなければいい」というものでもない。事情によりけりです。

替えない方がいい理由の第一は、無駄が多いからです。監督はそれぞれの考え方がありますから、程度もともかく必ず戦術は変わります。すると合わない選手が出てくる。戦術に合った選手を補強する必要もある。しかし、監督の好みで総入れ替えというわけにはいきませんから、新しい戦術が機能するまでに時間が掛かる。あるいは機能しないまま終わる。それでさらに監督を替えて同じことを繰り返すと、選手が不良在庫のように貯まってしまうことになりかねない。実際、千葉が経験したことです。

替えた方がいい場合もあります。現状を変えなければいけない、リセットが必要な時。世代交代が必須なケースですね。クラブチームは外国籍選手も含めて自由に選手の入れ替えができるのですが、予算を考えると実際にはそんなには替えられない。戦術は選手を生かすことが鉄則であり、中心選手が替わらないかぎり戦術もそんなに大きくは変えられないのが普通だと思います。ですから、監督を替えるにしても通常は継承型の人を選びます。そうでないと積み上げがない。しかし、中心選手が替わるなら戦術も変えるタイミングでもあるわけです。

●戦術ありきの強化策
フアンエスナイデル監督が来る前年は選手を大幅に入れ替えたシーズンでした。ただ、関塚隆監督は継続されていて、求心力の低下を回避するために選手の入れ替えを断行した格好です。求心力が落ちれば通常は監督を替えるものですが、この時は監督を優先したわけです。ところが、そこまでして守った関塚監督はシーズン途中で外され、長谷部茂利監督代行が残り試合の指揮を執りました。なので、フアンエスナイデル新監督に合わせて大量に補強できる状況ではありませんでした。それでもラリベイ、ホルヘサリーナス、キムボムヨン、熊谷アンドリュー、矢田旭、為田大貴など即戦力を補強していて、2年目も小島秀仁、増嶋竜也、茶島雄介、工藤浩平、ゲリア、エベルト、ロドリゲスとけっこう獲っています。

フアンエスナイデル監督のサッカーは従来のスタイルを受け継いだものではありません。戦術ありきです。とはいえ、希望する選手はそこそこ揃(そろ)えられていたと見ていいと思います。

センターバックについては前回記したように、スピードのある選手を揃えられなかった。これはハイライン戦術において致命的でした。では、ほかのポジションはどうだったのでしょう。

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