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カウンターと敵陣封鎖【戦術分析】ゾーンディフェンス事情その4 #ジェフユナイテッド千葉 #jefunited #ジェフ千葉

●カウンターと敵陣封鎖

堅守を築いたディエゴ シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーの課題は攻撃でした。堅守速攻ですから、メインの攻撃はカウンターアタックです。

ジェフ千葉でも、関塚隆監督の時はロングパスを使ったカウンターを狙っていました。長いパスを前線へ蹴って、前で収めて一気に押し上げる……。普段からそういうトレーニングはよくやっていたものです。関塚監督の攻撃アプローチは現在のリバプールと似ていたかもしれません。

ロングパスは相手にカットされる確率が高くなります。ただ、そのまま敵陣でプレスして奪い、攻撃の第二波を作ってしまえば相手の守備が整っていない分、攻撃しやすい状態になっています。ロングパスそのもので仕留めるというより、ハイプレスのための仕掛けという意味もあるわけですね。

ただ、当時の千葉はハイプレスを外された時に、けっこう脆(もろ)かった印象がありました。ハイプレスの中心になっていたパウリーニョを外されると、戦列が伸びたままで、逆に相手のカウンターを許していました。

アトレティコは速攻のうまいチームですが、そこまでハイプレスに重きを置いていません。プレスするか、引くかの判断も的確です。ジエゴ コスタやグリーズマンがいてカウンターは強かったですね。ただ、彼らの課題はそこではなく、相手にあらかじめ引かれてカウンターをする機会が減ってしまったことにありました。

ポゼッション志向のチームではないので、スペースを消されるとなかなか点を取れなくなった。そこで、シメオネ監督が試みたのが「敵陣封鎖」です。何かというと、守備の強さをそのまま攻撃に転用しようという作戦ですね。

攻撃の時にあえてサイドチェンジはせず、同じサイドを執拗に攻める。

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