大宮花伝

【★無料掲載】延長戦の末、武南に栄冠。“平成最後”の決戦を制す【関東高校サッカー大会埼玉県予選決勝レポート】

◼︎関東高校サッカー大会埼玉県予選決勝
4月29日(月・祝)埼玉スタジアム第2グラウンド
武南 1(EX)0 浦和東

▼矢地柊斗が決勝点。“2度目”の歓喜に沸く

関東高校サッカー大会埼玉県予選決勝が4月29日、埼玉スタジアム第2グラウンドで行われ、武南が浦和東を延長戦の末に1-0で制した。7年ぶり15度目の優勝を飾った武南は今大会を通して無失点。武南と浦和東は関東大会(6月・茨城)に出場する。

計100分の火花散る熱戦は、私学の名門・武南に軍配が挙がった。同校サッカー部OBで選手時代は全国大会を経験している内野慎一郎監督は、「うれしいです」と就任2年目での栄冠に喜ぶ。一方で、「(浦和東の堅守を)こじ開けられなかった。優勝がたまたまにならないようにしたい」と、この先に控える大会へ勝って兜の緒を締めた。

ボールを動かし、幅を使って攻める武南は[4-1-4-1]を採用。対する浦和東は[4-4-2]で、しっかりと構えてなかなか隙を与えなかった。浦和東の強固な守備を崩すべく、左右にパスをさばいて揺さぶるものの「回させられていた感覚だったと思う」と内野監督。それでも、FW大谷涼太がポストプレーで起点となり、シュートも放って相手ゴールを脅かす。MF飯塚翼やMF宇田川拓真もチャンスを迎えた。

0-0で折り返した後半。前半はシュートゼロだった浦和東も好機を創出し、途中出場のMF大澤遥基のドリブル突破からMF佐藤翼丞が得点を狙った。両チームとも動きが活発になって、息つく暇さえないくらいの緊張感。武南は76分に宇田川のFKから、後半開始に投入されたMF矢地柊斗が「背中に当たって」ネットを揺すった。一度は喜んだイレブンだったが、惜しくもオフサイドの判定。試合を決められずに延長戦へ突入した。

延長前半の終了間際、ついにスコアが動く。MF清水光太のFKを矢地が頭でそらし、DFのクリアが再び矢地にこぼれてきた。ワントラップしてから「どフリーで受けて、右足を振り抜いた」と矢地。今大会は“切り札”を担った背番号11の渾身の一撃が決勝点となり、谷地にとっては今大会初ゴール。自身で演出したかのような得点シーンに、「持っていますね、今日は」と“2度目”の歓喜に笑顔がはじけた。

“シュート(柊斗)”の名にふさわしいゴールを披露したヒーローは、両手を目いっぱい広げて、やや“迷走”気味に仲間の下へ。「観客席が遠くて……。どこに行けばいいか分からなくなっちゃって」と照れ笑い。「流れをこっちに持っていけるよう自分なりに努力した」ヒーローは自らのゴールで優勝を決め、「最高にうれしいです」と顔をほころばせた。

接戦をものにし、ゲーム主将のDF安野天士は「新人戦で1回戦負けして、なんとしても勝って結果を残したい気持ちが強かった。本当に良かった。みんなが同じ方向に気持ちが向かっていたから優勝できた」と表情を緩める。関東の強豪校が集う大会に向けて「強い相手でも勝てるというのを、結果を出して証明したい」と見据えた。

浦和東も最後まであきらめない姿勢を貫いたが一歩及ばず。平尾信之監督は関東切符を手にした準決勝から、「心も体もリセットしての臨むのが難しかった」と悔やむ。長身を生かして攻守のセットプレーで存在感を見せたDF松本ケンチザンガは「最後の部分で甘い部分があった」と反省の弁。1失点に泣き「自陣のゴール前でもっと体を張ってやるということを練習から徹底して、一からやらないといけない」と振り返り、約1カ月後の関東大会へ「気持ちを切り替えてやっていきたい」と仕切り直しを誓った。

Photo&Text by 松澤明美

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