大宮花伝

【★無料公開】佐々木則夫暫定政権ラストマッチは惜敗。霜田体制移行に向けた準備段階での変化【天皇杯・千葉戦/マッチレビュー】

■天皇杯全日本サッカー選手権2回戦・6月9日(水)18:00キックオフ
フクダ電子アリーナ/1,635人
ジェフユナイテッド千葉 1-0 大宮アルディージャ
【得点者】千葉/77分 チャン・ミンギュ

▼流動的アプローチへのトライ

2週間前にも戦ったばかりの千葉に、再び負けた。大会は違えど、なんという屈辱だろう。これで公式戦は13試合勝ちなし。ピンチヒッターの佐々木則夫監督は3連敗に、無得点のまま暫定指揮が終了。佐々木監督は「1勝もできず、1点もあげられないのは本当に申し訳ない」とサポーターへの謝罪を口にした。

リーグを含めての3連戦の2試合目。佐々木監督はターンオーバーを選択し、金沢戦から先発9人を入れ替えた。さらに、〔4−2−3−1〕布陣を初採用。〔4−5−1〕にも見え、佐々木監督は「ポジションを流動的にいこうとトライした。両サイドはしっかりと張って、ピンポイントで相手を広げさせて戦おうと狙いを持った展開はやってくれた」と振り返る。

前半はハイプレスで応戦し、9分にはカウンターを発動。相手CKのボールを奪い、黒川淳史から柴山昌也がシュートを放つ。柴山は43分にも大山の右CKのこぼれ球を蹴り込むなど、前半のシュート3本はすべて柴山のもの。また、佐々木監督は指揮した他2戦同様にセットプレーを中心にチャンスを創出していった。

後半も55分に柴山が惜しいシュート。その最大の絶好機は右ポストに阻まれた。右サイドを起点に敵陣への進入、クロスとそれぞれの回数は多く、松田詠太郎は「サイドから攻撃をしてクロスやセットプレーを取ると共有していた」と言う。守備も相手に決定的な場面は作らせていなかったものの、いかんせんゴールが入らない。

こういうときに怖いのはセットプレーからの失点だ。

不安が頭をよぎったら案の定…。77分、矢田旭の左ショートCKから小島秀仁にクロスをあげられ、チャン・ミンギュの決勝ヘッドがネットを揺すった。プロ初ゴールを決めたチャンは、この日に懸ける特別な気持ちを吐露。韓国人Jリーガーの草分け的存在の偉大な先輩へ送るゴールだった。

「ユ・サンチョルさんがお亡くなりになり、思いを届けるために点を決めたかった。本当に決められてうれしい」

6月8日に膵臓癌で逝去した元韓国代表MFのユ・サンチョル氏へ弔いのゴール。ユ氏は2002年の日韓W杯で韓国の4強入りに大きく貢献し、Jリーグでは横浜、柏でプレーして多くの日本人サポーターに愛された。チャンは「どのポジションもクオリティーが高く、日本での韓国人の価値を高めてくれた」と感謝を述べた。

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