フットボールフィリピン

インタビュー|名門大学体育会サッカー部主将が26歳で海外挑戦した物語【後編】転載

photo via tiebreaker times

◆アジアでプレーするということ、フィリピン代表の盟友へのエール

やっぱり、どこの国でプレーするにしても、チームの共通言語となる言葉はしっかりを話せるようにならないと難しいと思いますね。僕は何も準備せずにオーストラリアとフィリピンに向かいましたが、チームでも街の中でも英語が必要でした。今では特に不自由なく話せているつもりです。はい(笑)。

できれば海外に行く前からやっておいた方が良いでしょう。行った後に会話を勉強しろとまでは言いませんが、できるだけチームメイトの輪に加わって、コミュニケーションを図るように心掛けるだけでも、自然と上達しますよ。

言葉も大切なんですけど、それ以前にチームにプレーで貢献できないと、そもそも契約してもらえません。例えばフィリピンの現状は、どこのチームにも中盤やサイドにはフィリピンハーフやローカルの良い選手がたくさんいます。

その辺はそんなに補強ポイントではないような気がします。ですから、最近の傾向はひとりでも決定的な場面に持ち込めるフォワードの選手とか、そのフォワードと対峙できるディフェンスの選手などが求められていますね。前と後ろの選手ですかね。

そう言えば、フィリピン代表チームが、ついにアジア全体の大会(アジアカップ2019)に初出場を果たしました。アセアンの大会では度々上位に食い込むようになっていましたが、歴史的な快挙だと思います。

その代表チームに、日本とフィリピンのハーフ選手たちが選出されています。彼らも僕と同じように、日本でずっとプレーしていたのですが、プレーする場所を失ってフィリピンに渡った選手です。その後強豪チームで結果を出して、代表でも活躍するようになり、今ではタイとかルーマニアの高いレベルでプレーしていますね。

組み合わせ抽選の結果、日本とは別組になりましたが、韓国や中国と同組になりました。彼らにとってこの大会は大きなチャンスになるはずです。大舞台で活躍してもうひとつ上のステージに登ってもらいたいです。

ちょっと次元の違うお話かもしれませんが、僕自身もAFCカップに出場したことで、国を代表して戦うということを経験しました。当時、ライバルチームの選手からも応援してもらえたんです。ですから、今でもACLの予選とかAFCカップに出場するチームの選手たちには、会った時に声掛けしているんですよ。

photo by football phillipines

◆34歳の現在地、フィリピンサッカー界の光と陰

フィリピンでは7年目になります。僕自身も34歳になりました。ここに来てから毎年少しずつですが待遇が良くなっています。ただ、いくつかの心配ごとがあります。

フィリピンのリーグは、昨年UFLを発展的に解散して、新しいPFL(フィリピンフットボールリーグ)が始まりました。カヤFCは新しいPFLに参加したので、僕の周りの状況はそんなに変わってはいません。

ですが、いくつかのチームがPFLに変わった時点で活動を休止したので、チーム数が8チームに減り、今年も2チームが参戦を取り止めて6チームに減少しているんです。聞いた話によると、下手するともっと減るんじゃないかという噂もあるんです。

新しいPFLは、アジア各国のリーグ運営基準を参考に、完全プロ化とか、外国人選手枠とか、ちょっと厳しいルールが盛り込まれていて、結果的にいくつかのチームがやめてしまったんです。

その上で、これからは基本的にマニラで開催されていたリーグ戦が、地方の街で開催される方向で動き始めています。実際にカヤFCも、主催試合をイロイロという街でやることになりました。こうなると、試合の度に多額の遠征費や宿泊費などが発生するので、さらに経営を圧迫しますよね。

これ以上チームが減るようなことになれば、リーグとして成立しなくなる恐れもあり、アジアサッカー連盟的にもアウトになるんじゃないかと聞いたことがあります。

僕は、カヤFCが選手として契約してくれる間はチームに留まるつもりです。しかし、外部要素が影響してプレーが続けられなくなることも考えられるので、来年、僕がフィリピンにいるのかどうか、それはちょっと分からないですね。

せっかく、フィリピン代表チームの方が盛り上がってきているのですから、リーグ戦の方も盛り返してもらいたいですね。本当に。(了)

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