フットボールフィリピン

フィリピン代表|海外出身のフィリピンハーフ選手、直近の2大会で招集された23名の系統

現地タガログ語で「アスカルス(=雑種犬の群れ)」の愛称で親しまれているフィリピン代表。

かつては、東南アジア諸国の中でも弱小のひとつに過ぎなかったが、AFFスズキカップでも度々ベスト4入りを果たし、アジアカップの最終予選も3勝3分の無敗で勝ち抜け本大会出場を決めるなど、この10年で急速に力をつけている。

FIFAランキングを大幅に上昇させたフィリピンは2018年12月現在で116位。2017年頃には東南アジア勢のトップにランクされ、現在でも100位のベトナムに次ぐ位置をキープしている。

国内のサッカー環境が貧弱なフィリピンが、なぜ東南アジアのトップレベルまで這い上がることができたのか。それは、サッカー先進国の育成組織などで育ったフィリピンハーフ選手たちの、地道なスカウティング活動が実を結んでいると言われている。

国民の10%にあたる約1000万人もの労働者「OFW(=Overseas Filipino Worker)」が、海外に渡り様々な職業に就いているという実情で、その大半が女性労働者。英語を話し、従順なフィリピン人女性は世界各地で需要がある。そんなOFWの中には、現地でパートナーに恵まれそのまま移住する者もいるため、今日では世界各地に多くのフィリピンハーフの人々が生活している。

フィリピン代表には、11月と12月に開催されたAFFスズキカップ2018と、年明けに開幕するアジアカップ2019のふたつの大会に、計27名の選手が招集されているが、そのうち23名がサッカー先進国出身のフィリピンハーフ選手で、国内で生まれ育ったフィリピン人選手はわずか4名しか招集されていない。

photo by pilipinas futbol

【英国系選手・6名】

GK ニール・エザリッジ ※母親がフィリピン人

DF ルーク・ウッドランド ※母親がフィリピン人、UAE生まれ

DF アダム・トゥル ※母親がフィリピン人

MF ジェームズ・ヤングハズバンド ※母親がフィリピン人

FW フィル・ヤングハズバンド ※母親がフィリピン人

FW カート・ディゾン ※両親ともフィリピン人、英国生まれ、

【ドイツ系選手・6名】

MF シュテファン・シュロック ※母親がフィリピン人

MF マニー・オット ※母親がフィリピン人

MF マイク・オット ※母親がフィリピン人

MF ケヴィン・イングレッソ ※父親がフィリピン人

MF ジョン・シュトラウス ※母親がフィリピン人

FW パトリック・ライヒェルト ※母親がフィリピン人

【オーストリア系選手・1名】

DF シュテファン・パッラ ※父親はハンガリー人、母親がフィリピン人

【スイス系選手・1名】

MF マルティン・シュトイブレ ※母親がフィリピン人

【オランダ系選手・1名】

DF ポール・マルダース ※母親がフィリピン人

【デンマーク系選手・2名】

GK ミカエル・ファルケスガール ※母親がフィリピン人

GK ケヴィン・レイ・メンドーサ ※母親がフィリピン人

【スペイン系選手・3名】

DF アルヴァロ・シルヴァ ※祖母がフィリピン人

DF カルリ・デ・ムルガ ※祖母がフィリピン人

FW ハビエル・パティーニョ ※母親がフィリピン人

【米国系選手・1名】

MF ミゲル・タントン ※両親ともフィリピン人、米国生まれ

【オーストラリア系選手・1名】

FW イアン・ラムジー ※母親がフィリピン人

【日本系選手・1名】

DF 佐藤大介 ※母親がフィリピン人

【フィリピン人選手・4名】

GK パトリック・デイト

GK アセ・ヴィラヌエヴァ

DF アマニ・アギナルド

FW ジョヴィン・ベティク

ふたつの大会で招集された23名以外にも、数多くのフィリピンハーフ選手たちが世界中でプレーしており、日本のJリーグでも少なくとも4名のフィリピンハーフ選手が確認されている。今後、彼らがフィリピン代表「アスカルス」に招集されたとしても、それはなにも驚くべきことではない。

「寄せ集め」「育成の皆無」などの否定的な意見もあるのだろうが、フィリピンの実情(国情)から導き出された現在の代表強化政策は、今後も継続されるだろう。

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