フットボールフィリピン

編集長コラム|バコロドに向かう前にマニラの安宿でフィリピンプレミアリーグの惨状を憂う

photo by football philippines

ところが、水面下で何があったのか、リーグ開幕予定日の1週間前に、連盟側が突如としてメンディオーラとフィリピン・エアフォースの申請を却下したと発表したため、リーグ側はその対応策として開幕日程の4週間の延期を発表し、この2つのチームのクラブライセンスの再申請の機会を連盟側に要求しました。

マニラ界隈の情報によると、連盟側とリーグ側の足並みの乱れは動き出し直後からあったようで、AFC総会でのFIFA理事選投票の票集めに懸命な連盟のマリアーノ・アラネタ会長と、外部から招聘された新リーグコミッショナーのバーニー・スマヤオ氏との人間的な相性が良くなかったようで、このふたりはお互いを認め合っていないらしいです。

この息詰まった状況に業を煮やしたリーグ側のスマヤオ氏が、クラブライセンスのないメンディオーラとフィリピン・エアフォースのリーグ参加を強引に推し進めたことで、連盟側がさらに態度を硬化させて双方による対話が途絶えてしまいました。

この問題とは別に、外部から招聘された言わば「外様」のスマヤオ氏に対して、一部の既存チームも不満を抱いていました。ひとつは、多額の負債を抱えながら凋落した、名門グローバル・セブの経営権を握ったマーク・ジャーヴィス氏率いるグローバル・マカティで、もうひとつは、極めて好戦的な言動を繰り返すことで有名な、エルネスト・ニエラス氏率いるスタリオン・ラグーナでした。

グローバルの方は、過去の未払い金などの負債の精算について、旧経営者との協議が平行線を辿り、ついに債権者との係争が始まってしまったことと、ユナイテッド・マカティという新チーム名(新会社)でのリーグ参戦にリーグ側(と連盟側)の理解と協力がなかったとして、427日の開幕前夜にリーグからの脱退を表明しています。

一方のスタリオンは、当初はマニラ首都圏でのリーグ開催と、以前のプロ・アマ混在リーグへの回帰に賛同していたのですが、それをいいことに所属していたプロ契約の選手たちの大半を一方的に切り捨てて、チームの規模を一気に縮小したことをリーグ側から言及されたことに腹を立てたニエラス氏が、上述のジャーヴィス氏と共に緊急記者会見を開き、有ること無いこと放言しながらリーグから脱退しました。

そして、27日のリーグ開幕時点で僅かに5チームだけが名を連ねるという、落ちるところまで落ちたフィリピンプレミアリーグの状況ですが、第1節をなんとか終えただけで、実は第2節以降の日程はまだ何も決まっていないのです。リーグ側が連盟側を無視したかたちで27日の開幕に突っ走ったことで、連盟側の要人はついに開幕戦の会場に現れず、両者の溝は修復が困難な状況に陥っています。

これもマニラ界隈の情報ですが、実はメンディオーラとフィリピン・エアフォースはクラブライセンスの再申請を連盟側にした結果、メンディオーラは受理されて連盟側からの回答待ちの状態(発給に向かっている様子)ですが、フィリピン・エアフォースについては再却下となった模様で、第2節以降はなんと4チームだけでのリーグ開催になる見込みとなっているのです。もういちいち驚いていられないですよね。

1億人以上の人口を擁する国のトップリーグが僅か4チームで開催されていたら、それは何かしら問題を抱えているのだろうと察するでしょう。もしこのまま連盟側とリーグ側の反目が続いて、何かの間違いで連盟側がリーグ運営事業者の承認を外すような最低最悪な事態に陥った時には、絶対にタガログ語をマスターしてメインスタンドのど真ん中で怒鳴ってやろうと思います。

ではまた次の機会に。

フットボールフィリピン編集長・池田宣雄

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