フットボールフィリピン

編集長コラム|新リーグを中断して旧リーグを復活させたフィリピンサッカー連盟は是か非か

取り急ぎ、8月までの対戦日程が発表されましたが、試合会場は未定のままとなっています。これは、アジアサッカー連盟が推奨するホームタウン制度と、ホーム&アウェー方式によるリーグ開催を踏まえているのですが、マニラ首都圏ではないルソン島以外の地方都市を本拠地とする、セレス・ネグロス(バコロド)、カヤ・イロイロ(イロイロ)とフィリピン・エアフォース(セブ)の主催試合のすべてを地方開催とした場合、マニラ首都圏で活動する低予算の4つのクラブチームが、遠征費用を捻出できない可能性があるため、各クラブチームの財政状況に応じて、適宜的に試合会場を決定する方法を取り入れた模様です。

よって、今シーズンの地方開催は、ある程度の予算を持つクラブチーム同士の対戦が数試合行なわれるだけとなる可能性が高く、ほとんどの試合がマニラ首都圏の(郊外の)ビニャン・フットボール・スタジアムや、フィリピンサッカー連盟が保有するナショナル・トレーニング・センターの2カ所で開催されることになりそうです。本来であれば、リサール・メモリアル・スタジアムをメインの会場としたいところですが、今年の年末に開催される、東南アジア競技大会の男子サッカー競技の会場に指定されており、施設の改修工事があるので通年使用ができない状況となっています。

ここまで説明すれば、フィリピン国内の状況が、如何に悲惨な局面を迎えているかご理解いただけると思います。フィリピンでは当たり前のことが当たり前に行なわれていない。こんな状況の中でも、セレス・ネグロスやカヤ・イロイロといった、アジアの舞台も視野に入れて活動する真面目なクラブチームがタイトルを争います。おそらく来シーズン以降になると思いますが、一旦活動を休止したダヴァオ・アギラス・ベルマーレのリーグ復帰の可能性も噂されています。

フィリピン代表に名を連ねている多くの選手たちが、ヨーロッパや東南アジアの国々でプレーしています。フィリピンという国は、国民の10%に相当する約1,000万人もの労働者を海外に輸出している国でもあるので、国内の市場(サッカー環境)が大きくなることは、おそらく今後もないと思われます。サッカーの世界では、小国の選手たちが外国のクラブチームでプレーすること自体、何もめずらしいことではありません。

しかし、フィリピン国内の選手たちの生活やプレー機会を奪うこと、さらに子供たちの夢を奪うような市場のままで良い訳ではないですし、フィリピン代表だけではなく、フィリピンのクラブチームのアジアでの戦いを追う立場である当サイトの運営にとっても、現在の脆弱極まりないフィリピン国内のサッカー環境を容認したくはないので、今後も批評を続けて行くつもりです。

今シーズンの試合の模様は、フィリピンサッカー連盟の公式サイトでストリーミング配信されることになりました。また、連盟の公式ユーチューブチャンネルでハイライト動画を見ることができます。今のところは日本でも視聴できる状態ですので、もしよろしければご覧ください。因みに、現地での入場料は一律で50ペソ(約100円)となっていますので、もしフィリピンに行かれるようなことがあれば、フィリピンサッカー界への寄付だと思ってお支払いください。

当サイトでも、各試合の結果と共にハイライト動画を貼りつけますので、引き続きよろしくお願い致します。

ではまた次の機会に。

フットボールフィリピン編集長・池田宣雄

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