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編集長コラム|セレス・ネグロスが味スタでFC東京と対戦する前に言っておきたいこと

昨年の8月1日以来の編集長コラムとなります。今回も無料公開しますので是非お付き合いください。

フィリピンフットボールリーグを3連覇中のセレス・ネグロスが、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の予選ラウンドでシャン・ユナイテッド(ミャンマー)とポートFC(タイ)を破り、28日に味の素スタジアムで行なわれるプレーオフのFC東京戦に臨むことになりました。

正直なところ、セレス・ネグロスが予選ラウンドを勝ち上がって東京に来ることを想定しておらず、私自身はほとんど準備が出来ていない状態なのですが、フィリピン勢「初」となる彼らの東京遠征を歓迎したいと思っています。

Jリーグのアジア戦略に携わっている方々の中には、Jリーグの提携国のひとつであり、東南アジア諸国の中で最も日本と近しい関係のタイのチームではなく、非提携国のひとつで、日本とはほとんど関わりのないフィリピンのチームが勝ち上がってきたことを、心から喜べていない方がいると思いますが、今回はアジアサッカー連盟の主催大会ですので、我慢してくださいね。

今回のコラムでは、普段からフットボールフィリピンを購読していない方々にも分かりやすく、FC東京戦を控えるセレス・ネグロスの現在の状況を解説します。

セレス・ネグロスがフィリピンの絶対的王者であることは間違いありません。今年も含めて6年連続でアジアのクラブ大会(主戦場はAFCカップ)に駒を進めていますし、フィリピン国内では敵なしの存在と言っても過言ではないでしょう。

しかし、それは逆に言うとフィリピンのリーグレベルが低く、代表クラスの選手たちが集まりやすい環境下での「1強」であって、実際にはアジアのクラブ大会でタイトルを獲得したことはなく、現行フォーマットに変わったAFCカップのASEANゾーンを制したこともありません。

強いて言うなら、2018年のACL予選ラウンドで、シャン・ユナイテッド(ミャンマー)とブリスベン・ロアー(オーストラリア)を破り、天津権健(中国、現在の天津天海)とのプレーオフに進出したことが、この新興チームが誇って良いところなのでしょう。

この時のチームには、京都サンガやFC琉球でもプレーした上里琢文が在籍していました。

今回、彼らは2年前と同じプレーオフの舞台に立つことになりましたが、実際のところ、今年のチームは当時よりも戦力面での「厚み」と「重み」がありません。厳密に言うと、今からちょうど1年前に保有していた戦力が、ここ数年での最強レベルにあったと考えています。

昨年、所属していた多くのフィリピン代表(クラスの)選手たちが、ASEAN枠を導入している東南アジアのリーグに移籍しました。マニー・オット、ケヴィン・イングレッソ、アルヴァロ・シルヴァ、マルティン・シュトイブレ、カート・ディゾンはタイに、パトリック・ライヒェルト、アマーニ・アギナルドはマレーシアに、そしてオミド・ナザリはインドネシアに新天地を求めました。

これだけの戦力を流出しておきながら、セレス・ネグロスは昨年のリーグ戦とリーグカップ戦を制しました。それも無敗のままで。登録選手が15名を下回る事態を迎えたため、フィリピン国内で無所属の状態となっていたジェームズ・ヤングハズバンド、ロペス・メンディ、そして小田原貴が途中加入。オフにはタイからの国内復帰組のマーク・ハートマン、嶺岸光とジョシュア・グロムメンを補強しました。

頭数は揃えましたが、流出した選手たちのクオリティと新加入の選手たちのそれは決してイコールだとは言えません。特に、最終ラインのクオリティは格段に落ちています。さらにオフにはカルリ・デ・ムルガもチームを去り、タイに向かいました。

実際に、シャン・ユナイテッド戦とポートFC戦の試合を確認すると、ボランチの位置で先発したはずの小田原貴が、最終ラインに降りて来ざるを得ない程の状態で、センターバックの位置を本職としない彼が守備に追われている場面が多くありました。

小田原貴は、すべてのポジションでプレーできる器用な選手であることは間違いないですが、本職ではない分危うい場面が多かったことは否めないところです。彼がセンターバックの役割を果たさなければならない程に、セレス・ネグロスの最終ラインは手薄な状態なのです。

彼らが最終ラインを含めた戦力補強に消極的だったことにはちゃんと理由があって、彼らは今年も出場するAFCカップの日程を消化することと、国内のリーグタイトルを防衛することを目標としていて、補強資金は今年のオフに投じるために敢えて残していると言われています。

なぜなら、ACLは来年の大会から参加チームが増えることが決まっていて、今年のフィリピンのリーグ戦王者(第1代表)には、予選ラウンド枠ではなく本大会の出場権が与えられ、再来年以降についても、AFCクラブコンペティションランキングでアジア東地区の10位以内を維持できれば、リーグ戦王者はACLにストレートインできるようになったからです。

セレス・ネグロスというフィリピン王者が狙いを定めているのはそこであって、28日のFC東京戦の勝利とか、今年のACL本大会出場権の獲得ではないのです。

今、裏付けの作業を進めているところですが、セレス・ネグロスを牽引しているシュテファン・シュレック(フィリピン代表主将)は、予選ラウンドの2試合で既に2枚のイエローをもらっているため、28日の試合にはおそらく出場できません。今回の東京遠征には帯同するという情報もありますが、彼はピッチには立てないでしょう。

最後になりましたが、セレス・ネグロスには、日系フィリピン人の嶺岸光と、日本人の小田原貴のふたりが所属していて、FC東京戦にも先発出場するはずです。このふたりは共にフィリピンでプロキャリアを開始したため、日本の皆さんにはあまり知られていない存在ですが、ポートFCを破ってからいくつかの日本のメディアでも取り上げられていますね。

このふたり、これまでかなり苦労を重ねてきた選手で、今年は本当に重要な年になると思います。2年間タイで輝けず、フィリピン代表から遠退いている嶺岸光、そして、昨年の今頃は所属先を求めてトライアルに参加していた小田原貴が、プレーオフとは言えACLの大舞台に立つのです。

ACL2020プレーオフ

1月28日(火)19時キックオフ

味の素スタジアム(東京)

FC東京 🇯🇵〔vs〕🇵🇭 セレス・ネグロス

このふたりの勇姿を温かい目で見守ってください。そして頭の片隅に残しておいてください。

ではまた次の機会に。

フットボールフィリピン編集長・池田宣雄

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