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『Fリーグ2012 バルドラール浦安対バサジィ大分 止まらない浦安! 4連勝!』(2012/9/24)

先制点の川股とゴレイロ藤原。攻守の勝利の立役者が笑顔を見せる。

波に乗る浦安

「しっかりと成長している」。2012シーズンの序盤戦、バルドラール浦安はもがいていた。内容のいい試合を続けながらも、白星につながらず、わずか2勝で終えた第1クール。大分県別府市でのべっぷセントラル開催で始まった2巡目は、初戦(10節)でシュライカー大阪に黒星を喫したものの、翌日(11節)の湘南ベルマーレ戦には逆転勝利。7試合ぶりの勝ち点3を挙げた。12節はエスポラーダ北海道に対し、2点のリードを追いつかれる展開にも、星翔太が勝ち越しの芸術的なループシュートを決めて、今季初の連勝。さらに前節(13節)、ペスカドーラ町田に快勝を収め、5位バサジィ大分との勝ち点差1の6位につけた。直接対決に勝てば順位が入れ替わり、6試合未勝利のきっかけとなった相手へ、ぐんぐんと上昇気流に乗った浦安は前回対戦の借りを返すべく、2連敗中の大分を悠然と迎え撃った。

立役者は元Jリーガー川股

翌日のフットサル日本代表候補合宿へ名古屋オーシャンズと並んでリーグ最多タイの5選手を供給するホームの浦安。そのうちの1人である稲葉洸太郎は町田戦に続いて欠場したものの、藤原潤、小宮山友祐、星、高橋健介の4人はスターターに名を連ねた。試合は、地元サポーターの熱い声援を後押しに、開始早々からパスを回し、星らが積極的にシュートを放っていく。チャンスは作りながらも大分のゴレイロ青柳佳祐の好セーブに阻まれてしまう。一方の大分も同じく代表候補の仁部屋和弘、小曽戸允哉らがゴールを狙うが、こちらも守護神藤原の活躍でゴールを許さない。15分に小曽戸のドリブルで完ぺきに崩された場面も、藤原がディドゥダのシュートを体でブロックして防ぎきった。

危ない時間帯をしのいだ後にはチャンスが生まれた。立役者は、この日のセカンドセットに入りゴール前でポストマンとして相手に脅威を与え続けていた川股要佑だ。エリア手前でゴールを背にボールを受けると、すばやい動きで反転。左足で見事にネットを揺らした。集中を切らさずにボールを前へ運び続けた結果といえる。この進境著しい元Jリーガーの大型ピヴォの活躍は、チームの好調と無関係ではない。今季これまで12試合に出場し2ゴール目。前線でのボールの収めどころとして、存在感は日に日に増している。

「ボールの受け方はすごくよくなっていたので、簡単に受けられるときは受けさせるプレーを指示した。大分が前から当たってくるのでキーパーから直接スローしたり、つなぐところはつないでポストに入れたり、チームとしてバリエーションが出てきていると思う」とは試合後の岡山孝介監督。冒頭の言葉はチーム全体に対して発したものであるが、その流れに乗り、川股も高い場所へ登っていることは間違いない。

星がゴールを挙げた試合は全て勝利

輝きを放ったのはこの男も同じである。前半を1点リードで終えた浦安は、後半開始早々に右サイドでFKを獲得すると、星がすばやい振り足からトゥキックで直接ゴールを射抜いた。普段の練習どおりに冷静に沈めたセットプレーは、いい時間帯に相手を突き放す追加点。本来は前線で張ることを最も得意とするが、この日は一列下がってゲームを組み立てる機会も多かった。状況に応じて変化を加えられることはこの選手の強みだろう。日本代表でも不動のピヴォとして活躍する星は、スペイン、カタールでのプレーを経て、今季2シーズンぶりに浦安へ復帰。故障の影響もあって、これまで7試合出場、4得点にとどまっているが、星がゴールを挙げた試合は全て勝利している。100%の肉体にこの勝負強さが加われば、対戦チームにとっては脅威以外の何物でもない。11月のワールドカップを控え、完全復活が待ち遠しい。

喜怒哀楽を体中で表現する星。ゴール後のパフォーマンスにも注目。

藤原、序盤から好セーブ連発

攻撃陣にばかり目が行きがちだが、守備のキーマンも忘れられない。2点を追いかける大分は残り6分からパワープレーを敢行した。苦しい時間帯には小宮山がリーダーシップを発揮し、味方を鼓舞。藤原は序盤から好セーブを連発してゴールを割らせない。38分に1点を失うが、以降はシャットアウト。2対1で大分を下し、順位も5位とした。これで大分は3連敗、攻守に躍動した浦安はこれで4連勝。

完ぺきにシュートコースをふさぐ藤原。彼の活躍なしに勝利はない

名古屋に勝って上位の壁に風穴を空けろ!

点を獲るべき選手が点を獲り、守りの要が立ちふさがる。これもチームが好調の証だ。進化に手ごたえを感じながらも、指揮官は「まだまだ満足できる順位や勝ち点ではない。まずはプレーオフ圏内の3位以内に入れるように精一杯やっていく」と気を引き締めた。前述の稲葉に加え、岩本昌樹も今節は出場せず、田中智基、鳥丸太作も未だ戦列を離れている。逆にいえば、チームとしての「伸びしろ」が多くあるということ。平日に代表合宿を経て迎える次節は、アウェーで名古屋オーシャンズ戦である。タフな戦いになることは間違いないが、さらなる高みを目指すには最高の相手。上位陣の壁に風穴を空けてくれることを期待したい。バルドラール浦安の「成長期」はまだまだこれから。

 

Photo:勝又寛晃 Hiroaki Katsumata

 

原口攻太 Cota Haraguchi

1985年1月生まれ。大学卒業後に四国アイランドリーグ2球団にて興行運営、広報などのフロントスタッフを務めた後、野球専門誌『Baseball Times』の企画編集部マネージャーとして記者統括やNPB球団との協業案件に従事。2011年から(株)マーススポーツエージェントに所属し、バルドラール浦安などを担当。フリーでライティングなどの活動も継続中。

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