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“カズよりもうまい選手は何十人、何百人といる”。でも“カズにしかできないことがある”

7ヴィニシウスのマークをかわしてゴールに迫る15逸見。写真は当サイト読者のUYさんの投稿です。

 

文◆本田好伸

 

カズが日本代表デビューした試合

 

始まる前から“歴史的な一戦”だった。

 

三浦知良の日本代表選出により、チケットは即日完売したという。この数週間、あらゆるメディアが取り上げ、ちまたでも信じられないほどに「フットサル」、「カズ」という単語が飛び交っていた。試合当日、代々木には8,236人もの観客が訪れ、会場を埋め尽くした。15年越しの夢を実現した三浦の姿を目に焼き付けようと、みんなが注目した試合だった。相手が、三浦がかつてプレーしたブラジルのナショナルチーム、現世界王者だということも拍車を掛けていた。

 

訪れたのはお客さんばかりではなく、メディアの数も相当だった。みんなが“キング・カズ”目当てだった。「たくさんのお客さんが来てくれることはチケット完売の報せを聞いて知っていましたし、フットサルを知ってもらうという重要な目標があった」(ミゲル監督)と話したとおり、この試合は大切な意味があった。もし三浦以外の選手が大きなインパクトを残せずに、ただブラジルに大敗しただけだったら、みんなが「フットサルはしょせんその程度なんだ」と思うだろう。観客のお目当てが三浦1人だということは選手たちも重々承知だった。

 

いちフットサルメディアとしても、「結果を出してくれなくては困る」という、期待と不安が入り交じった試合だった。

 

結果は周知のとおり、3対3の引き分け。結果も内容も、現時点では申し分なかった。この試合は、終了して初めて、“本当の意味で歴史的な一戦”となった。「カズのフットサル日本代表デビュー戦」としてだけでなく、「ブラジルから初めて敗戦以外の結果を残した試合」として。

 

1分12敗はこうしてもたらされた

後者から先に振り返る。過去12度の対戦があり、いずれも敗れていた日本代表。2008年のワールドカップでは1-12の屈辱を味わった。「当時からの成長を感じる」とマルコス監督に言わせしめた要因の1人は、川原だろう。「本当は自分が目立たないのがベスト」(川原)だが、そうはいってもブラジルの猛攻を受けるのは致し方ない。そのなかで、何度も体を投げ打って1対1を止め、時には顔面セーブも見せた。失点を覚悟した場面で点を与えない彼のプレーは、観客の胸に響いたに違いない。

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