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[W杯座間レポート]強い集団は役割とコンセプトが明確だ(スペイン対ロシア戦マッチレポート)

逆転ゴールを決めたスペイン代表のピヴォ、フェルナンダウ。

スペインのロサノとロシア代表のエデル リマが競り合う。

キケと共にロシア代表のピヴォを完封したオルティス。

キケとロシア代表のピヴォ、シリロが競り合う。シリロは1得点を決めているが、この日はキケに軍配が挙がった。

 

 

文・写真◆座間健司

 

 

チームとして戦っている集団はすぐに分かる。

 

スペインはコート上の選手の誰かが手を挙げて、交代のサインを出せば、監督の指示がなくともベンチから選手がすっと立って、ビブスを手に交代ゾーンに立つ。フリーキックの場面、キッカーの顔ぶれを見て、すぐさまキケがベンチを立ち、コートの仲間を呼び、交代してピッチに入る。各選手の役割が明確かつ、選手たちも自分の仕事を理解しているから、監督に指示されなくとも選手たちが自発的に交代ゾーンにいく。もちろん監督が選手に呼びかけることもあるが、選手たちはその声とほぼ同時にコートに飛び出していることが多い。

 

「個人がチームよりも大きくなることはありません」

スペイン代表監督ベナンシオが試合後、ミックスゾーンで続ける。

 

「私たちの考えはチームとしてプレーをすることです。プレーの中でバランスを保つ。まずディフェンスをすることを第一に考えています。攻撃面に関しては私たちにはタレントを持った選手がいます。私たちの特徴であり、大きな違いを生み出しているのはディフェンスです」

 

今年2月に厳冬のザグレブで行なわれた欧州選手権決勝の再現となった準々決勝第4試合。優勝候補であるスペインとロシアが早くも激突し、暑苦しいバンコックでもスペインがロシアに勝利した。

 

約9か月ぶりの両者の対戦で一番の違いはロシアの陣容だった。スペイン代表のキケはいう。

 

「基本的にはロシアは2人のブラジル人選手、ロビーニョとエデル リマが加わり、プレースタイルは少し変わりました。そして彼らがチームの中で重要なプレーをするようになりました」

 

ロシアは国内リーグで活躍するピヴォのエデル リマ、そして左利きのチャンスメーカー、ロビーニョという2人のブラジル人が帰化。彼らはロシアのパスポートを手にするとすぐさま代表チームに召集され、攻撃の軸に据えられた。ファーストセットはディナモ モスクワの選手であるシリロ、プーラ、そしてキャプテンのセルゲフ。セカンドセットはウグラに所属するエデル リマとロビーニョの2人を中心にしたセットだった。どちらのセットにしろ攻撃の軸となっているのがブラジル人ピヴォだ。スペインはそれに対して左利きのピヴォ、シリロにはキケを、そしてエデル リマがコートに入れば、オルティスに見張らせた。一方のベンチでシリロが立てば、他方ではすぐさまキケが立つ。それほどスペインは徹底して、この2人を封じようとする。

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