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[Fリーグ再開直前特集_1]伊藤 府中アスレ監督、勝利に貢献する“3人”を語る

チーム練習後に前田と語り合う伊藤監督(左)。

 

「ピヴォを置かないやり方っていうのは今うちはやってないですね」。戦術に関する問いかけに対して伊藤監督はそう答えた。難しいことをやりすぎるために消化不良を起こしているチームがあるなかで、ピヴォ当てというシンプルな戦術一本でリーグ3位(17節終了時)と上々の結果を出している監督の言動に自信すら感じる。その伊藤監督がチ−ムの勝利に貢献している選手として3人の名を挙げた。その3人とは? それぞれの評価点とは? チーム練習終了後に監督はいつもの静かな口調で語り出した。

 

 

文・写真◆デジタルピヴォ! 山下

 

 

Pivo! いい練習できましたか?

伊藤 どうですかね、試合やってみて、試合がよければ多分、いい練習ができたことになると思います。

Pivo! かなり的を絞った練習をしていた。

伊藤 的の絞り方ですけど、できる限り選手が納得できるような的の絞り方をしてあげたいなと思っているんですよ。ま、自分がいったことに対してみんながどう思っているのかは、今日、明日で確認して、あまり自分と気持ちがずれてないところで集約したいなとは思ってます。

Pivo! そこは紅白戦でのプレーを見て判断していく? それともひとりひとりと話しあうなかでコミュニケーションをとっていく?

伊藤 両方です。自分の判断でこうやろうっていうのと、どうしても僕はピッチの中じゃないんでね、中に入って実際にやってみると、やっぱりちょっと違うと思うんです。その結果、バラバラになっちゃうと今度は戦術がないって(プレス関係者から)いわれちゃうし(笑)。なので、そこらへんはみんなで話しあいながらですね。自分が折れるときは折れるし。選手に協力してもらって自分の考えに近づけるってこともあると思います。

 

ピヴォ当て一本で結果を出している

 

Pivo! 監督はFリーグ初年度の2007年から2010年までの4シーズン、デウソン神戸のフィクソとしてFリーグでバリバリ戦い、2010年にはコーチも兼任した。その監督は、戦術を重視する監督なのか、それとも、局面での選手の臨機応変な対応を尊重する監督なのか。(そうじゃないんですか?)どういうタイプの監督なんですか?

伊藤 状況判断は僕じゃなくて選手がやるものなんですね。もちろん、その状況判断のところで、戦術でパスコースを作ってあげられることもできるし、ディフェンスもある程度、整えてあげられることはできると思います。でも、その最後のところはやっぱり選手のものかなっていうのは、今も、選手として自分がやってたときも変わらないですね。

ただ、戦術があったほうがいいか、ないほうがいいかって選手全員に聞いたら、そりゃ、あったほうがいいというに決まってると思います。それを前提に、ある程度のものを作って、それに縛られるんじゃなくてそれをうまく運用して、選手たちがピッチの中でいい判断をしていく材料にする、ということだと思います。自分の立場は、いい戦術なり、いい状況判断のヒントなりを提示してあげることだと思います。なので、どういう戦術をやるかっていうのはあまり僕にとっては問題じゃなくて、みんながうまく運用していけるか、そのほうが僕は興味あります。

Pivo! よりどころとして共通のものを持つことは大事だが、それがすべてじゃないと。

伊藤 まあ、みんながやりやすいやり方が一番いいと思うし。

Pivo! アタックに関しては3-1のフォーメーションからシンプルにピヴォに当てていくパターンと、あとはボール回しということでクアトロ-ゼロを併用しているヨ

伊藤 クアトロ-ゼロは正直、自分の知識的には、うまく対応できないなあっていうのがあります。やり方は知ってるんですけど、多分もっといろいろと細かかったり、これをやったらこういう問題が出るっていうのと、もう1個、そういう選手がそろっていないとできないと思う。うちにはそういう選手はそろっていないんじゃないかなっていう判断と、自分の知識だったりで、ちょっとクアトロ-ゼロは難しいかなと考えています。

Pivo! そうすると戦術パターンとしては、ピヴォ当て一本?

伊藤 ピヴォを使って、ピヴォにボール預けて、ラインを上げるっていうのもそうだし、ピヴォをおとりにしながら3人で回しながら、裏を狙っていくっていうやり方。まあ、ピヴォ当てのバリエーションとしてやり方は無数にあるのでね。フィクソが抜けていくやり方、アラが抜けていくやり方、まあ、そういう意味でいったら、ピヴォを置かないやり方っていうのは今うちはやってないですね。

Pivo! どのセットにしてもピヴォは必ずいるのが府中の特徴。

伊藤 同じ戦術でもピヴォの利き足でぜんぜんパターンは変わってきます。当てたあとのピヴォの動き次第で選択肢も変わってくるし。相手が縦切ってくるチームなのか、中切ってくるチームなのか、強いフィクソがいるチームなのか、カウンターがあるチームなのか、それによって違うと思うんですよね。後ろ3枚の組み合わせも、うちは左利きが比較的多いチームだし、左利きが3人のうち2人のときと、1人のときと、または右利きだけ3人そろえてるときとか。左利きのピヴォだったら右利きが3人そろっているっていうのは明確に狙いを定められるし、入れやすいと思うんですよね、ピヴォへのパスコースを作るっていう意味で。剛史(小山)という右利きのピヴォを入れているときは左利きのアラが2人いるってことは当てやすいと思うし。また、そこにドリブラーがいるかいないかでぜんぜん違ってくるし。あとは、だシンプルに精度の高い長いボールを入れる選手がいるんだったら、それでまたぜんぜん違うんでね。そこはフォーメーションとして採用している戦術のバリエーションはあまりないんですけど、ただ、そこのいろんな組み合わせで、相手に研究されてきても、違う選択肢を作れる、っていうのは今の自分の考えですかね。

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