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[小宮山友祐(浦安)インタビュー_2]優勝を決めるゴールをあげたブラジルのネットのようにゲームを創るフィクソになる


「体が動く限り現役を続けていくし、プレーする限り代表入りを目指していきます」

 

日本代表フィクソの小宮山選手は自らを「古いタイプのフィクソ」と位置づける。それは世界の強豪を相手にしたときの日本代表の実力を考えると、「新世代フィクソ」のように果敢に前線へ打って出てゲームを創るプレーはタブーだ、守備に専念しなければならないという意味が込められている。しかし、ワールドカップが終わった今、小宮山選手の脳裏
を占有するのは決勝戦で優勝を決めるゴールをあげたブラジルのネットのプレーだという。ゲームを創るフィクソ。小宮山選手がそうなったとき4年後のワールドカップでも不可欠の選手になるかも知れない。

 

聞き手◆デジタルピヴォ! 山下

 

 

自分のスタイル変更を決意

Pivo! ワールドカップで自分の新たな課題は見えたか。

 

小宮山 そうですね、やっぱり、対ブラジル、対ポルトガルといった世界の強豪と戦ううえでは、自分はディフェンスのことだけを考えて、ディフェンスの専門でいたいっていう話は行く前にしましたよね。そこの部分では負けないと思ったんですけど、やっぱり(優勝したブラジル代表のフィクソ)ネットや世界のトップ選手を見て感じたのは、それだけじゃないですよね。パスも出せてシュートも打てる。僕は本当にあれはすごいと思うんです。自分より大きいフェルナンダウ(スペインのピヴォ)とかを抑えながら、点も取れちゃうっていうのはもちろんフィジカルもすごいし技術もすごいと思います。正直、僕は相手のピヴォを抑えるだけでももう息があがっていましたし、しかもそれが2分、3分しか続かなかった。でもネットは5分、6分と続けられる。もちろんフィジカルの強さだったり、もともとブラジルはそんなにボールを失わないから守る時間が短いっていうのはあるとは思いますけど、でも、その先を見据えたときに自分の今のスタイルを変えていかないと、世界のトップファイブに続くことはできないのかなと。

 

Pivo! あえて古いタイプのフィクソでいるとワールドカップへ行く前にキミはいった。それはチームが求める形だから専念してきた。でもそこから脱皮しなければいけない?

 

小宮山 この上を目指すにはそうなのかなと思います。ブラジルやポルトガルと戦うと実際、体を張って守る時間が長かった。でも、もっとその先、もう一個二個、日本がレベルアップするにはそうやってゲームをコントロールできるフィクソ、ゲームを創れてゲームを決められるフィクソっていうのも出てこないといけないと思います。結局ネットが(決勝点を)決めたわけじゃないですか、ブラジルは。ヴィニシウスでもファルカンでもウイルデでもなくてネットが決めたんです。なので、やっぱりそう思いますよね。

Pivo! ネットのスーパープレーに多くの人が釘付けだったと思う、ただそうはいうけど、キミ自身も非常によく前に飛び出して、オフェンシブな動きをしていた。それでもまだ足りない?

 

小宮山 はい。前に行くことはできると思うんですよね、ディフェンスだけじゃなく攻撃にからむっていうのは。でも、結局僕は受け手。もともとミゲルのチームはポゼッションを重視していない。前を横切れとかはあっても、まずは底辺で失うな、前を通ってサポートしろ、ディフェンスを引き締めろ、そういう役割は与えられていましたけど、でも、それプラスというところをやらないといけないと思います。
前に行って受ける、前に行って体を張ることはもちろん今でもできると思いますし、ワールドカップでもそれはやれたと思いますが、もっとゲームを創る側にまわっていかないとだめなのかなって。僕がもっとゲームを創って、僕が受けるよりも前でカオルや翔太が受けたほうがもっと得点の匂いがすると思います。でも実際は逆だったと思うんです。僕がはたいて出ていく分、翔太が戻ってきて翔太がパスを出すとか、カオルが創るとか。そこは逆のほうがもっと怖さはあるのかなと思いますよね。これからはそういうところに意識を置いていきたいなと思います。

Pivo! そうなれば代表はもちろん、Fリーガーとしても一皮むけて相手にとって怖い、嫌らしいフィクソになる。

小宮山 そうなんですよ。どうしてもこれまでは、守備的な選手が少ない、僕と深津しかいないというチームの事情もあって、どちらかというと後ろの役割が多かったんですけど、そんなことをいっているとなかなか勝てないっていうのはよくわかっています。どうしても後ろから長い距離を走らないと相手のプレスも下がらないし、相手のピヴォも下がらないし、この間の府中戦も僕が出ていくと剛史(小山)もダンタスも嫌がっていたし。やっぱり地味ですけどそういうのを繰り返すことって、ディフェンスをしていなくても相手のピヴォに何もさせていないことにつながるのかな、と。僕に相手のピヴォがついてくるってことは相手のピヴォも下がっているわけですから。そういう部分っていうのは得点にはなかなか結びつかない地味な部分ですけど、そういうところを突き詰めていかないと、(世界の)あのレベルには勝てない。
4年後は37歳でもう一回立てるかは分からないですが、「この4年間何をしてきたんだ、おまえが旧型のフィクソで、そこでは負けないというのは分かった、でも、そこから4年間で何も変わっていない」ってなったときに僕もそれじゃいけないと思いますし。もっともっと前に、アグレッシブに、点を取る、っていう新しいところにフィクソは来たのかなって思いますね。

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