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湘南ベルマーレ・相根澄監督インタビュー3『ディフェンスの部分と、我慢する部分と、ボール回しの部分が身についたので来季が楽しみです!!』(2013/5/24)

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監督3年目の今季、プレーオフ進出に向けた戦いが相根監督の課題となる。

 

 

監督になって2季目の昨シーズン、相根監督は「選手を見つける目というのがついた」と語る。それは、選手のコンディションを見極めたうえで、勝利を勝ち取るために選手の最高の組み合わを決める目だという。その指揮官としての戦術眼が遺憾なく発揮されたのがリーグ最終盤とPUMA CUPだ。リーグ終盤は勝利という結果には結びついていないもののいい内容の試合をし、その勢いをPUMA CUPにつなげて4位という結果を残している。湘南はこの流れを新シーズンにつなげていくことができるのか。相根監督の3年目の手腕に期待したい。

 

文・写真◆デジタルピヴォ! 山下

 

 

パワープレーの守備で成長を実感

 

Pivo! Fリーグの第3クールはもう一歩のところまで押し込んで相手のディフェンスラインを下げさせた。名古屋戦も、その意味で結果は出なくても手応えがあったと。

相根 はい。で、名古屋のあとの大分戦が本当に肝だと思うんです。結果は3-3だったんですけど。これも、途中2-0で負けていて、しかも後半3分くらいで我々が5ファールになっているんですよ。でもずっといい続けたのは、うちがマンツーマンマークをやり始めた時期じゃないですか。だからとにかく我慢をして、ファールをせずに守れと。で、5ファールになったときにタイムアウトをとって、もう一回“やるのかやらないのか”という話をして。やるなら、ちゃんと大事な局面までファールを取っておかなきゃいけないのに、これだけ自分たちでファールを増やしてしまったと。まぁレフェリーのジャッチが軽かったのもあるんですけど。でも、そこからみんな我慢してディフェンスして、カウンターから安藤が決めて。流れはずっと大分だったんですけど、我慢して我慢して、今度は俊太(内村)がボラにパスしてボラが決めて2-2に追いついた。そしたら相手がパワープレーしてきて、パワープレー返しのゴールを決めて3-2になって。まぁ結局最後はパワープレーでやられたんですけど。

 

Pivo! 我慢し続けたのにパワープレーでやられた。

相根 うちがパワープレーをディフェンスした試合って、ほとんどないんじゃないですかね。第1クール、2-2に追いつかれた浦安戦以来かな。だから、やっとそこまで来たかなって。そこでみんな我慢できるようになったかなと思います。

 

Pivo! 5ファールになっていながら我慢して、まさにディフェンスから攻撃を作って逆転できたんだね。

相根 そうですね。蹴る癖がついてないので、ボールもつなげるし、我慢してディフェンスもできるようになったし。だからそのあとの府中戦も、負けたんですけど、後半なんかは相手がシュート3本くらいで、こっちがシュート19本くらい打ったくらい追いつめた試合ではありましたし。北海道との最後の試合も、そういう試合ではありました。大敗はしなくなったというか、点をとられてパワープレーをしにいかなくてもよくなったんです。

 

Pivo! なるほど。一か八かの戦いを選択しなくてもよくなったと。

相根 はい。まぁ北海道の試合もパワープレーでやられたんですけど、これもディフェンスするいい機会になったと思いますし。

 

つなぐのか蹴り出すのかを徹底する

 

Pivo! そうすると、来季どうすべきかというビジョンみたいなことがクリアに見えてきたのでは?

相根 そうですね。本当に1年間かけてやってきたので、ディフェンスの部分と、我慢する部分と、ボール回しの部分はやっぱり身についた部分もあると思うので。だから今度は、ディフェンスをもっとやることと、あとはやっぱりうちのチームはパススピードが遅いのでそこを徹底すること。あとは、クリアをしていいときとだめなときの判断をもう少し明確にしたいなというのはあります。猛(中村)なんかがすごく多いんですけど、蹴っちゃいけないっていったら本当に蹴らないんですよ。この前の北海道との3位決定戦(PUMA CUP)もそうだったんですけど、曽根田が、蹴ってクリアすればいいのに、2人に囲まれてとられてゴールを決められたんですね。ずっといっているんですけど、つなごうとしてとられてゴールされるならそれは全然いいんだと。やろうとしていることも分かっているし、それは周りがちゃんと動いてフォローしないのがダメなんだといってきた。それはいいんですけど、根本をいうと、自分のところにボールが来て止めて囲まれるってことは何も考えてないってことじゃないですか。来る前に呼び込んでいるということは相手が来るってことで、見ててやばいと思ったらダイレクトでパスを出して走っていけばいい。

 

Pivo! それにそのときの選択肢として、クリアもありだよね。

相根 そうですそうです。だからそこの部分をもっと明確にしたいなと。実は第3クールのときにクリアを解禁したんですよ。猛が行き始めたのもそれがちょっとあったんですけど(笑)。ボールを止めて考えているのは、それは蹴っちゃ駄目だとかそういうことじゃないぞといっていて。困っているイコール次のことを考えていないということですよね。それでもダメなんだったら、外にクリアしてディフェンスになればいい。でも最初から何も考えずにボールを蹴る癖をつけてしまうと、その選手の寿命も終わってしまうというか短くなってしまうので。とにかく考えて次のことができるようになってもらいたいという。

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