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小松竜一のフットサル戦術講座 vol.2「守備の基本」(2013/11/20)

図_1
<図1>攻撃側と同様に横並びになった守備の悪い例。

 

自陣ゴール前で求められる判断の速さ

 

今回は「守備の基本」について書きます。
守備の基本は、攻撃の基本をほぼ正反対にして考える。【守備の目的→ゴールを守る→シュートチャンスをつくらせない+ボールを奪う→守備側の数的有利をつくる】と考え、守備側が常に攻撃側より早く「数的有利」の状況をつくっていれば、攻撃側にシュートまで行かせずにボールを奪える可能性が高い。特に守備側の自陣ゴール前では、攻撃側に対して数的不利になると失点の可能性が高いし、そこでは数的同数の状況でさえも、個人技でやられてしまう可能性があるので、守備側は極力、数的同数ではなく数的有利を早くつくれるようにしなければいけない。故に、守備で一番スピードアップが求められるのは自陣ゴール前だといえる。ここでのスピードは単純に走る速さだけでなく、攻撃の動きを予測した頭の回転や状況判断の速さ、ポジション取りやカバーリングに向かう動き出しの早さ、そのための体の向きや姿勢を取るスピードなどを含む。このように、大事なところで早く動ける守備が失点を防ぐことができるのである。
それでは、具体的にどのように守備側が「数的有利」の状況をつくっていくのか。前回は2人対2人の状況を想定して攻撃のポイントを整理したが、今回は少し発展させて3人対3人で、いくつかのキーワードを挙げながら守備のポイントを整理してみる。

 

図_2
<図2>赤2から赤3へのスルーパスに誰もカバーに行けない。

 

図_3
<図3>青3が青2と同じ高さにいたら赤2のドリブル突破で2人が同時に抜かれる可能性が高い。

 

(1)守備に複数のライン(深み)をつくる

 

<図1>のように攻撃側3人が横に並んだ場合、守備側3人も同じように横並びになってはいけない。理由は、
◎例えば赤3が裏へ飛び出して青3のマークを外した場合、ボール保持者の赤2からのスルーパスに対して誰もカバーに行けない。<図2>
◎例えば赤2が右方向にドリブル突破をしてマーカーの青2を抜いた場合、青3が青2と同じ高さにいたら、2人が同時に抜かれる可能性が高くカバーリングできない。<図3>
という2点が挙げられる。
<図2>の場合、あらかじめ青3が中央に絞っていれば、赤3への裏へのスルーパスに、青3は赤3よりも早く追いつくことができる。なぜなら青3は、赤3が攻めたい所に先に構えているから、赤3よりも短い距離を走っただけでボールに触ることができるからだ。このように、守備側は自陣ゴールより遠い、まだ安全なエリアは若干捨ててルーズに守り、自陣ゴール近くの危険なエリアにより重きを置いて守る。

 

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