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[Fリーグ第31節]町田・関野監督「ああいうチームに負けちゃいけない」。それを聞いた湘南・相根監督は…!?(2014/1/20)

1_関野監督とレオ
キャプテン横江と会見に臨み厳しい言葉で湘南の戦い方を批判した町田の関野監督。痛い敗戦が監督を感情的にさせたようだ。

 

Fリーグ2013/2014 powered byウイダーinゼリー 第31節
ペスカドーラ町田 1-3 湘南ベルマーレ
2014年1月19日(日) 町田市総合体育館 観客:1,551人

 

[得点経過]
0-1 5分23秒 湘南ベルマーレ 4 市原誉昭
1-1 6秒55秒 ペスカドーラ町田 16 篠崎隆樹
1-2 19分43秒 湘南ベルマーレ 10 ボラ
1-3 40分00秒 湘南ベルマーレ 7 安藤良平

 

前半開始3分でパワープレー

 

「ああいう戦い方をするチームに負けちゃいけない」「二度と負けたくない」。それは予想もしない刺激的な発言だった。湘南戦後の記者会見。いつもはホームでの負け試合でも集まったプレスのために試合分析を詳細に語ってくれるペスカドーラ町田の関野監督だが、この日は怒りが収まらないのか試合分析に言及しないまま発言は極めて短かく、かつ内容は湘南への批判的発言のみに終始した。なぜ関野監督はここまで怒りをあらわにしたのか。背景には湘南ベルマーレのパワープレーにある。湘南はこの日、前半だけで3回、パワープレーをやっている。1回目は前半3分過ぎ、例によって足元のうまい正ゴレイロのクロモトがそのまま相手サイドまで上がり1-2-2フォーメーションの底で巧みにパスをさばいた。その中から市原の先制ゴールが生まれている。2回目は1-1の同点になったあとの12分過ぎに、まずボラで開始し途中からクロモトにスイッチしパワープレーを継続。3回目は前半残り3分、ボラをGKに開始すると、そのボラが右からのシュートパスに飛び込み1-2とする勝ち越しゴール。3回のうち2回でゴールゲットに成功するという成功率の高さを誇った。一方、ホームの町田は1点ビハインド状態の後半15分過ぎに藤井をGKに最初のパワープレーを開始。その藤井が一発レッドで退場となるとタイムアップ30秒前からキャプテン横江をGKに2度目のパワープレーを実施。しかしいずれもゴールを生み出すに至っていない。

 

どちらのチームのパワープレーもルールに則った正当なプレーの行使だった。にもかかわらず関野監督は感情的になった。その理由を彼のコメントから推し量ると、“パワープレーは負けているときにとる手段で、なおかつゲーム終盤で行う戦術”ということになるようだ。その考えからすると前半3分過ぎに実施した湘南の最初のそれは“許せない行為”と映ったから会見での発言になったのだろう。しかしそれは的外れといわざるを得ない。最近の例では、墨田セントラルの2日目(29節)で浦安が名古屋を相手に試合の頭からパワープレーを実施し絶対王者から勝ち点1をもぎ取っている。これも正当な行為の結果だ。にもかかわらず関野監督を感情的にさせた、その真の理由は、プレーオフ進出をつかみ取りたいという一心だろう。4位までが進出できるプレーオフのポイント争いで町田は4位。当落線上にいる。片や湘南は5位。両者の立ち位置は際どい。それだけに勝ち点3がノドから手が出るほど欲しい。この日、エースの本田がケガで、守備の要である滝田が累積で出られないことがチームの戦い方を狂わせたことは監督も率直に語っているが、そんな中で臨んだ試合でチームは結局、最後までジタバタの連続。“いきなり”のパワープレーに対応し切れないままに敗退した。その無念の思いがこの発言につながったに違いない。

 

試合を観戦した町田のあるサポーターがこんなことをいっていた。「サッカーでは見られないパワープレーが何度もあって、すごくおもしろかった。ただ、町田には、湘南の打ってくる策を逆手にとって、いなして勝ってほしかった。そしたらプレーオフ進出に大きく前進したし、そうなったらもっと熱く応援できたと思います」。この言葉を関野監督に送ろう。批判発言に批判がましいことをいってきた。ただ、この感情的な発言にも価値を見出すことができる。それはリーグ終盤の熱い戦いの中で神経をすり減らしている監督の本音が思わずこぼれたという意味で、久々にリアルなコメントを聞いた気がした。ともすると試合後の会見で監督のコメントは大人過ぎる。もっと刺激的なコメントで相手に論争を仕掛けるような場面もほしい。そうなればまた話題性も高まるというものだ。結果的に、関野発言にはそんなきらめきがあった。

 

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