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府中・谷本俊介監督インタビュー・1「日本の選手はグループ戦術の正しい使い方が分かってない」(2014/5/31)

image府中市にあるクラブ事務局の府中カラーの自販機の前で写真におさまる谷本監督。今回は日本代表のスペイン遠征に同行したときの見聞をもとに貴重な話をしてくれた。

 

▼クラブの理念を理解した指導者

谷本俊介、31歳。1年前にFリーグ最年少監督として府中アスレティックFCの監督に就任したとき“府中は監督経験のない素人を監督にして大丈夫なのか!?”と業界でささやかれたことがあった。しかし、今回の取材で僕は初めて知ったのだが、谷本は、2006年の高知大学体育会サッカー部コーチを皮切りに、フットサルではボルク北九州のコーチ兼選手として同チームの九州リーグ昇格に貢献。以来、府中のサテライトのコーチ、監督などを経てトップチームの監督に昇格していた。年数的に指導経験は十分あったのだ(記事末尾のプロフィール参照)。それでもFリーグのトップチームとなるとサプライズ感は否めなかったが、大抜擢について同チームの中村恭平ゼネラルマネージャーは、「アスレというクラブの理念や方針を理解した指導者であることという大前提のもとに選びました」と語り、次のように続けた。

「ただ単に勝てばいいっていうだけでは、クラブの経営全体のことを考えたら、ファンもつかなくなくなり、失格です。自分のやりたいフットサル、勝つフットサルのために選手をバッサリ切って、入れ替えて、自由にやるっていうことでは、そこについてたファン、選手達についてたファンの人たちの信頼を失っていきます。やっぱりそこは、ちゃんとチームをビルドアップしていくことができる監督っていうことで、内側から出そうということになり、谷本という若い力に期待して抜擢しました」(中村GM)。そうした経緯から選ばれた谷本監督インタビュー1回目は、自身の指導スタイル等について聞くのが順当だろう。ただ今回は、4月に日本代表のスペイン遠征に同行した谷本監督が、スペインと日本のフットサルの違いについて大きな発見と再確認をしてきたという。非常に興味深い話なので、そこからスタートすることにした。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

▼フットサルなのにサッカーを見ている感覚

Pivo! 4月に、日本代表のスペイン遠征に同行したでしょ?

谷本 はい。デウソン神戸の小川監督と一緒に行って。ホテルも同部屋で、多分一番小川くんと時間を共に過ごしました。2人とも行くときは心細い思いでいたので(笑)、よかったです。

Pivo! フットサル先進国で何を学んできた?

谷本 フットサルの本質的な部分、ですかね。去年1年間、監督をするにあたって、自分の中で、競技としてフットサルはこういうものだっていう哲学的なものを持ってやったわけなんすけど、それが、あ、この考えで正しいんだっていうふうに、自信を持てる経験になったかなって思いました。

Pivo! 1年間やってきたことが間違いじゃなかったっていう確認ができたと。具体的にはどういうこと?

谷本 これがいい表現かは分からないですけど。スペイン遠征最終戦のインテルとの試合が、特に一番強く感じたんですけど、フットサルを見てるんですけど、サッカーを見ているような感覚になったんです。

Pivo! 僕はスペインでこの目でリーグを見たのはほんの数試合。あとはYouTubeで見る程度なんだけど、まったく同じ感想を持っている。

谷本 そうですよね。それは代表の小森コーチとも、すごいそれで意気投合したんですよ。いってる意味、ニュアンスがわかるっていうような。

Pivo! ミニサッカーのような雰囲気だよね。

谷本 そうなんですよ。向こうの言葉でいうと、サッカーのことをフットボール、フットサルのことを、フットボール サラって普通にいうじゃないですか。だから、あくまでも室内でやっているフットボールっていう感覚なんだな、っていうのが、すごい感じたことでしたね。

Pivo! なるほどね。パラレラもやるしピヴォ当てもやるし、いろんなことを個人戦術、チーム戦術としてやるんだけど、あの持っているエネルギッシュな豪快さを見ると、ミニサッカーだよね。

谷本 そうなんですよ。

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