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[無料記事/フットサル指導者講習会]シュライカー大阪・木暮賢一郎監督「戦術うんぬんではなく、どうやってトレーニングメニューをつくるかを伝えた」(2015/10/10)

1_参加者を前に熱弁を振るう木暮監督参加者を前に熱弁を振るう木暮監督。指導者としての語る力、伝える力の大切さを身をもって示した。

 

【イベント名】
Fリーグ・シュライカー大阪 木暮賢一郎監督による指導者向けフットサル講習会
【メインテーマ】
トレーニングデザインについて
―短期~長期におけるトレーニングメニューの構成方法―
【指導資格】
AFCフットサルライセンス レベル1
JFA公認サッカーC級コーチ
JFA公認フットサルB級コーチ

 

Fリーグ・シュライカーの木暮監督による指導者講習会が行われ、様々なカテゴリーの監督、指導者、あるいは指導者の気持ちを知りたいという現役の競技系選手たち計19人が受講した。メインテーマは、トレーニングデザインについて。講座とトレーニングメニューを実践する2時間はあっという間に終わった。この講習会は、シュライカーによる東京への遠征時に折に触れて木暮監督が、チームスポンサーである「銀座deフットサル」の勝どきスタジアム(東京・中央区)で開いているもの。今回が夏の真っ盛りに行われながら当サイトの都合でレポートが遅れてしまったことをお詫びしつつ、報告します。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

2_クラブの目標など基本を提示すす。クラブの年間目標をまず掲げ、そこから逆算して月ごとに週ごとにトレーニングメニューを組んでいく思考法が提示された。対戦相手ごとのメニューも重要で強いチーム相手の場合はディフェンスに重点を置く必要があるし、そこからの切り替え、カウンターが大事になってくる。少ないチャンスを生かすためにもセットプレーのトレーニングも欠かせない。

 

3_参加者も熱心に耳を傾けた_。参加者は木暮監督の講習に熱心に耳を傾けた。

 

4_週末の試合に向けてどうピークをつくるか週末の試合に向けて大事なのはフィジカルとコンディションだ。シュライカーの場合、1週間の中で切り替えの練習など負荷が高いトレーニングを水曜日に行い、ここにピークを置き、試合前日には負荷の軽いセットプレーの練習などを行う。木暮監督は、「名古屋のように強い相手の場合、セットプレーで何が何でも点を獲るんだ! と強い気持ちも注入していく」と体験談も披露した。

 

5_シュライカーの下地トレーナーのリードでストレッチ開始。木暮監督の発言を細大漏らさずメモする人も。プレーに移る前に、シュライカーの下地トレーナーのリードでストレッチ開始。動きながら、木暮監督やトレーナーの発言を細大漏らさずメモする人も(笑)。

 

6_制限付きの3対3のゲーム。制限付きの3対3のゲーム。

 

7_ハーフコートで?ハーフコートでのトレーニングの実践。週1でトレーニングするチームを前提に、ゴールがない、ゴールが1つ、コートのサイズを変える、ゴールが2つと、様々な状況設定の中でルールを変え、条件をつけることで判断力を養うメニューも提示された。

 

8_(ゲーム、説明なし)最後はフルコートでのゲーム。ここでも、自陣コート内では2タッチまで、相手コートではフリータッチと制限がつけられた。

 

9_最後はゲームで締めくくり。でもここでも、自陣は2タッチ、相手コートはフリータッチの制限付きだ。ゲーム風景その2。

 

10_講習会もいよいよ終盤。講習会もいよいよ終盤。木暮監督は実践した内容の確認をした。

 

11_語り、参加者の声を引き出し、また語る。様々なトレーニングメニューについて語り、参加者の声を引き出し、また語る。木暮監督はエネルギッシュだった。

 

12_最後は全員集合。お疲れさまでした!木暮監督を中心に全員で集合写真に収まって講習会は終了した。お疲れさまでした!

 

■参加者の声

イシワタリ・リョウさん
メニューの1個1個に無駄がない
「FCサプライズで大人と子どものクリニックをやってて今日はお客様から教えてもらって来ました。(メニューの)ルール付けとかの種類というか指導者の幅っていう部分がすごいなっていうのと、1個1個に無駄がないっていうか、木暮さんの昔からのプレースタイルそのもので説明も早くて効率的でしたね。監督になっても一緒ですね。埼玉から2時間かけてここまで来た甲斐がありました」

イノウエ・カズアキさん
指導者としてチームをどう導くかを学んだ
「トップチームでは目標を立ててワンシーズンを戦っているんだなというのを知ることができました。練習のメニューは切り替えだったり頭を使うという部分で参考になったんですけど、やはり指導者としてチームをどういうふうにするのか、そこがすごくよく分かりました。今、来年のエントランスリーグに参入を目指す女子チームの監督をやってまして、5月から練習を始めてます。それだけに非常に参考になりました」

マスダ・ユキヒロさん
モチベーターとしての木暮さんが指導者の参考に
「1つのプログラムの中にオフェンス、ディフェンスを含めたいくつもの練習メニューを組ませるっていうのは、いいなと。限られた時間の中で、効率的にオフェンス、ディフェンス両方とも体に残るような練習を組み立てることが常にテーマだったんですけど、やっぱりいいなと思いました。それと木暮さんはモチベーターとして僕らがゲームとかやってるときにいいモチベーションを与えてくれるんで、それは指導者として参考になりますよね」

ミズノ・サキさん
メチャクチャ参考になりました
「今、エントランスリーグ所属のソリソでプレーしています。コーチとかがどんな考えをもってやってるのかを知りたくて来たんですけど、メチャクチャ参考になりました。具体的には、分割してディフェンスやるにしてもどういう意識を持ってやるのかとか、オフェンスはその中でもどうやって切り崩していかなければいけないのかとか、その両方が盛り込まれていました」

ミツハシ・ヒロタカさん
短い時間での練習の組み合わせ方
「(プレーしながらメモを取っていた人)今は趣味のところでちっちゃなチームの皆さんをまとめています。今日は初心者向け、でも楽しくモチベーションを維持できるような練習メニューの具体的なところを取り入れさせていただければと思って参加しました。具体的には短い時間での練習の組み合わせ方ですね。あと、プロの方々がやるウォーミングアップは短い時間でアップできるのでいいですね」

 

■木暮賢一郎監督インタビュー
トレーニングメニューの作り方を

Pivo! 今日はトレーニングメニューのつくり方を中心に講座があり、その後、制限付きのゲームなどを行った2時間だった。

木暮 そうですね。物事には何でも段階があるので、今日は特に戦術的とかシステム的なことには一切触れずに、あくまでも、どうやってトレーニングメニューをつくるのか、構築の仕方ですよね。それをメインに伝えました。あとは、Fリーグもそうだと思うんですけど日本のフットサルは、名古屋オーシャンズとか海外のように2部練習ができるとか、筋トレができるっていう環境がないんでね。限られた日数であったり時間であったり。僕もファイルフォックスの時代は、仕事でキーパーが来れないとか、10人集まらないから紅白戦できないとかをたくさん体験してきた。そういうのが今でも多々あると思うんですよね。聞いたら皆さん、そういう経験をしてたんでね。そういう中でもいいトレーニングだったりっていうのを僕は伝えたいなと思っているので。
この講習会は、より高いカテゴリーの監督対象ではないですから、あくまで楽しくやってる中での指導者だったり、選手兼監督とか、いう人が圧倒的に多いと思うんで。そういう層の方たちに、限られた条件の中でも、よりいいトレーニングをするとか、そういうところをまず伝えることが、今の日本では僕は一番合ってると思うんで。そういう意味ではシステムうんぬんというよりも、そういう状況をまず理解したうえで、その中で最大限の努力を指導者がする、そのための工夫をする、考えないといけないとかを伝えました。
あとは、当たり前ですけど、チームの年間目標から逆算してトレーニングメニューをつくるとか、週単位で逆算してとか、3か月単位で逆算してとか、っていうところの発想っていうのがまだまだ浸透はしてないと思うんでね、フットサルの場合は。なので、そこも伝えました。

語る力、伝える力の大切さを

Pivo! 様々な立場の指導者、監督、そして選手が参加していたこの講習会。その中のひとりで、来年から東京都女子エントランスリーグに参戦する、その準備を進めているチームの監督は、年間でまず目標掲げてそこから月に、週に落としてという段階的な思考というのが、非常に参考になったといってた。

木暮 それが一番大事だと思いますね。いいトレーニングメニューとかは勉強しようと思えばいくらでもできますから。大事なのは自分たちの目標が何かとか、自分たちのコンセプトは何かとか、自分たちがやるべきフットサルの戦い方とか、所属しているリーグではこういう展開になるとか、そういったことに目を向ける人は非常に少なくて、何となく、こういう戦術がはやってるからそれをやりたいとか、あるチームのトレーニングを見て、真似は大事ですよ、大事だけど、でも真似してもそれが自分たちチームのコンセプトと同じかといったら、それはイコールじゃないんで。なので、トレーニングメニューの中身に行く前のところをよりちゃんと伝えたいかなっていうのがありましたね。
僕の練習がいいか悪いかは、率いるチームによっても変わりますから。カテゴリーも替われば変わるし。選手が替わればやり方も変わるし。チームが替われば変わるし。と思うんですよね。ただ、どうやって練習メニューをつくるかとか、何を大事にしてるかってところは変わらない部分というか根っこの部分なんで。そっちを伝えることに重点を置きました。

Pivo! 今日は、指導者として語る力、伝える力の大切さを見せてもらった。その力こそナショナルリーグの監督の資質だということを改めて感じた。と同時に指導者としてその力が求められているというメッシージでもあったのではないか。

木暮 それはあります。もちろん、しゃべり過ぎもよくないですけどね(笑)。まあ、言葉っていうのは大事なかと思ってますね。選手にちゃんと伝えないと選手がいうことをきかないし。いってることに説得力がなかったらチームはいい方向に行かないですから。やっぱり、きちっと伝える力とか伝え方っていうのは僕は意識してます。フットサルの細かい戦術とかトレーニングとかも大事にしてますけども、全然フットサルじゃない部分で勉強することのほうが非常に多いですね。グループのマネージメントの仕方とか、使い方とか、モチベーションの上げ方とか、そういうとこってのはフットサル外で学ぶことと思ってますから。指導者の方々にはそういうことも幅広く学んでいってほしいですね。

 

【講師】
Fリーグ シュライカー大阪 監督 木暮 賢一郎
※講師プロフィール
氏名:木暮 賢一郎 KOGURE Kenichiro
生年月日:1979年11月11日
出身:神奈川県
【選手経歴】
winningdog(1999-2001)
firefox(2001-2005)
clipeus nazareno(2005-2007)
carnicer torrejon(2007)
mmp bujalance(2008)
gestesa Guadalajara(2008)
名古屋オーシャンズ(2008-2012)
【指導経歴】
FリーグU-23選抜監督 (2013)
シュライカー大阪監督(2014-現在)

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