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[由梨のイタリア日記③]会長の情熱に支えられたペスカーラの女子チーム

かつてデウソン神戸でプレーをしていた高橋宏征選手が現在はセリエBのフォルリでプレーしている。

 

海外でプレーしてみたいという希望が強く、フットサルが盛んで激しいプレーが多いイタリアを選択したのだという。

 

ペスカーラC5のシルバーリーグも始まりました。1ファンとして観戦していましたが、激しさ・強さ・スピード感があって白熱したいい試合でした。女子の試合でこれだけ飽きないで観られる試合はなかなかなかったのでホントおもしろかった。戦前に、降格もかかってくるラウンドなので、どのチームもガツガツくるらしく、厳しい戦いになることは間違いないと監督、選手みんながいっていたようにかなり厳しい試合でしたし、最後は相手もパワープレーで勝負をかけてきたけど、ペスカーラC5は比較的練習どおりの守備で対応できていて相手にすきを与えてなかった。相手のファンとペスカーラC5のファンがスタンドでいい争う場面もあったりして、フットサルに対する情熱と文化・地元愛を改めて感じました。

 

citta di pescaraの会長、選手、コーチ、監督らと(右から)。

 

citta di pescaraの練習風景。

 

 

 

さて、連載第3弾ではペスカーラの町にあるセリエCのチームCitta’ di Pescara Calcio a 5 femminile(チッタ ディ ペスカーラ カルチョ ア チンクエ フェミニーレ=以下チッタ ディ ペスカーラC5)について書こうと思います。ちなみにセリエCは地域リーグで各州の協会によって運営されています。

このチームは女子フットサルチームとして、イタリア国内でも古い歴史があり、数々の成績を残してきたクラブの1つで、たくさんの有名な選手を輩出してきました。創設のきっかけは会長の子供(女の子)が「私もボールを蹴りたい」といったのがきっかけ。当時女子チームがなかったペスカーラに「ないならつくろう!」といってチームを立ち上げたそうです。スポンサーはつけておらず、すべて会長のポケットマネーで運営。もちろん月謝や登録費なども選手は一切負担しません。ウエアも支給されます。実際に私がイタリアでプレーしていたときもお金を請求されたことは一度もありませんでした。会長は「もしチームをつくってなかったら海辺の別荘が余裕で買える。でも子供のため、人とのつながりを大切にすることが楽しいから、やっているのだよ。私はクルマも持っていないから子供のクルマを借りているんだ」と笑って話してくれました。こうやって情熱を傾け続けられる人がいるからこそ、ペスカーラ県でこれだけ女子フットサラーとして生きていける人がいるのだな〜そして歴史とともに強いチーム、いい選手が育っていく。感動です。

現在チッタ ディ ペスカーラC5にはセリエA EliteのペスカーラC5でプレーするジェッシカ マルケス選手がコーチを勤めており、丁寧に熱くフットサルを指導してくれています。12〜15名くらいのメンバーがいて練習は週に2〜3回と週末にカンピオナート(=リーグ戦)が行われています。チッタ ディ ペスカーラC5はアブルッツォ州リーグに参加し、現在14チーム中7位(2月15日時点)。カテゴリー的には3部になりますが、もちろん試合はホーム&アウエイ、審判は1人制、30分ハーフのランニングタイムで行われるので、最下位のチームですら年間26試合は戦うことができるわけです。それだけ試合経験を積める環境が当たり前にあるのです。

次回はペスカーラの町に隣接するモンテシルヴァーノという町にあるクラブを紹介したいと思います。

 

ペスカーラC5のアップ風景。

 

ペスカーラC5の試合風景。

 

【イタリアで頑張る日本人選手】
今回はデウソン神戸でプレーをしていた高橋宏征選手。一度海外でプレーしてみたいと、フットサルが盛んで激しいプレーが多いイタリアでプレーすることを決意。現在はセリエBのフォルリ(2月15日時点、Bグループ14チーム中9位)でプレーしています。
チームからは当然ゴールを要求されていますが、思うように点を獲れていないのが現状です。また試合を通してゲームを組み立てること、サイドの1対1などの攻撃面では自由にやらせてもらっているようです。
高橋選手は「週末になればカフェのテレビの前にはたくさんの人が集まりみんなでサッカーやフットサルを観戦しています。チームウェアを着て町を歩いていればすれ違う人に頑張れよと声かけてもらったり、イタリア人は生活の一部に当たり前にフットボールがあるのだと感じます。現にフットサルでいえばセリエAは12チーム、セリエA2は28チーム、セリエBは約110チームと、プロチームといわれているだけでもすごい数があり、規模の大きさにただただ感心します。そんなイタリアで結果を出すこと、もちろん今いるリーグよりも上のカテゴリーに行くことを目標としていますが、イタリアの地で弱い自分を変えて、どの試合でも点を獲れる怖い存在になりたいです」と語ってくれました。(情報提供:カルチョ・ファンタスティコ http://calciofantastico.com

 

<プロフィール>
横山由梨(よこやまゆり)
イタリアで大学に通いながらサッカーやフットサルをプレー。日本とイタリアのスポーツ・文化交流などにも携わり、イタリアサッカー協会公認フットサル指導者ライセンスを取得。そのときにフットサルマガジンPivo!でイタリアフットサル情報「cosi fan tutti」を連載。その後は地元の神奈川県に帰還し、指導者として地元のチームでサッカーやフットサルの普及に力を入れつつ、秦野フットボールクラブでフットサルプレーヤーとして活動中です。

秦野フットボールクラブ女子フットサルでは、今季一緒に神奈川県1部リーグで闘ってくれる仲間(選手&コーチ)を募集しています。詳しくは秦野フットボールクラブホームページ(http://www.hadano-fc.org)またはFacebook(https://www.facebook.com/ladies.hadanofc/?pnref=story)にて。

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