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無料記事・POTENCIA(ポテンシア):ミゲル ロドリゴ氏「マニュアル化ではなく、楽しみながら自ら生み出せるような方向づけをしてあげたい」(2017/3/28)

 

3月26日フウガドールすみだの稲葉洸太郎選手主催で自身がプロデュ―スするフットサル場であるanelfutPark Futsal Point よこはま中山にてミゲル ロドリゴ氏(前フットサル日本代表監督)の練習&サイン会が開催された。

ミゲル ロドリゴ氏と稲葉洸太郎選手はフットサルスキルアップスクール「POTENCIA(ポテンシア)」を開校する。
役職としてはミゲル ロドリゴ氏がメソッドプロデューサーに就任し、稲葉洸太郎選手はテクニカルディレクターを務める。
その際、日本に来ていた今回、子ども向けと共に大人向けのクリニックも開催した。昨年もこのコートにてクリニックを開催したが、今回は大人向けクリニックに関してはこれのみであった。それは稲葉選手の「ミゲルのファンであったり会いたい人もいるだろうなということで一般向けも開催しました」という思いから生まれたものであった。
今回の記事はそのクリニックの内容ではなく、POTENCIAについて。クリニック後に稲葉選手とロドリゴ氏から話を聞いた。本題に入る前にクリニックの様子を写真にて少しだけ紹介する。

まとめ◆デジタルピヴォ! 古澤

 

 

 

 

 

この日は悪天候によりキャンセル者が続出し、参加者は予定の半分となったが、多くの参加者からは「雨が気にならないくらい楽しい」という声がきかれた。

 

以下は稲葉選手よりPOTENCIAについて。

フットサルからサッカーという流れ

「スペインやブラジルは何10年も前からフットサルを幼いころにやり、サッカーにいかすという文化があります。具体的に例をあげるとネイマール・ロナウジーニョ・イニエスタ・シャビ・アザール・マルセロと多くの選手がいますが、日本は逆です。まだ日本は創世記なので逆で当然であるとは思いますが、今後はスペインやブラジルのようにサッカー選手がフットサルを幼少期にプレーした後にサッカーへ移行するという流れを目指したいです」

若い選手のチャンスや引退した選手のために

「フットサルの独特な動きとして細かい崩し・ボールの持ち方・フリーランの仕方であったり色々ありますが、そういったものの共通認識が全国で今よりもさらに広がることで選抜チームや各チームですぐに対応できるくらいにフットサルの世界・パイが大きくなれば、若い選手のチャンスや引退した選手のセカンドキャリアが広がるはずだと思います」

ミゲル ロドリゴ氏にオファーしたときの気持ち。”ミゲル、力を貸してくれ!”

「自分自身はFリーグが始まる前から選手として活動をして始まってからもFリーグで10年間プレーをして来て、日本代表では12年間やってきました。それでも、僕がスクールをやるといってもまだ弱いと自分自身で感じていますし、教えることもまだ確立していませんし、歴史も浅いので、成り立っているものを取り入れて、それを日本流にオーガナイズ・カスタマイズしながらメソッドを形にしていけたら1番いいなと思っています。そのうえでミゲルの力・助けが必要でした。それに、ミゲルが日本に定期的に来れるようにという想いもありました」

勝者のメンタリティー

「2人でアジアで2回優勝をしている(アジア選手権5回出場 優勝2回準優勝2回)のでそこは僕らの確固たる自信です。一緒に勝ってきた認識はあるのでそういうものもいかしつつ、子どもたちも喜んでくれるようにスクールだったりしていって、サッカーに生きるフットサルメソッドを提供していきたいです」

ミゲル ロドリゴ氏のフットサル

「ただ単にドリブル・パスするのではなくいろいろな要素を入れながら、常に考えさせる。何より、人間力がすごいです」

最終目標

「自分たちのスクールでなくてもあるサッカースクールがフットサルスクールをつくるということであればそのお手伝い・メソッドを供給します。オリジナルだけでなく、ときにコラボレーション、ときに側面的にサポートをして、全国にいる子どもたちが週に1回はフットサルをするくらいの世の中になるのが目標です」

(現在決まっているのは東京では浅草校と築地校、ライセンス契約としては埼玉2校、鹿児島1校)

 

 

 

以下はミゲル ロドリゴ氏よりPOTENCIAについて。

日本にいて常に感じていたこと

「日本でどのクリニックや講習会をやってもサッカー協会と話しても感じていました。日本のスポーツ教育がマニュアル化し過ぎているということ。システマティック過ぎることを痛感していました。技術と戦術・メンタルの部分がつながっていない。選手になかなか自信・信頼を与えられていない。ミスを指摘し過ぎてしまう。日本のスポーツ教育は間違わないための教育。そういう傾向の強さを感じます。決断とかリスクを背負うことに対してすごくおびえているシステム。それは選手と接していても感じていた部分です。日本代表で大きなタイトルを2つ取れたのもそのメンタルを変えることに成功したからこそです。(稲葉)コウタロウとそれを伝えていくことが大きな目的の1つです。自分たちがやってきたことを子どもたち・次の世代に伝えていくということです。
何を1番伝えたいかというとサッカーの子どもたちでもフットサルをする子どもたちにミゲル流のスポーツの楽しみ方というか、スポーツの新たな育成方針を提案していきたいと思います。それはロボットみたいなマニュアル化であったり、システマティックなことをただただ繰り返すことに対する逆で、子どもたちが楽しみながら自ら決断が獲れるような方向づけをしていくこと。そういう新しいスポーツとしての在り方です。日本人はすごく真面目ですが、5歳・6歳・7歳であったり、特に1番幼い子においてそういうシステマティックなものは必要ありません。それよりも大切なことはフットサルの学びの中から喜びや楽しみを感じてもらうことだと思います。ドリブルにおいてもパスにおいてもそこには自らの決断・見ながら・考えながら、楽しむということだと思います」

あの敗北

「あの日本代表の敗北は自信のその先。あふれ過ぎた結果。強豪相手に勝ち続けてリミットを越えてしまい、安心して油断をしてしまいました。そこに感知できなかった・読めなかったこと・見逃してしまったことに私にミスがありました。責任があると思っています。ポジティブなもの。モチベーションの軸としてバランスが大事だと思います。少な過ぎてもいけないですが、多すぎてもいけないです。当然、代表は一時、自信の足りなさにいましたが、4年間で1番理想的な軸まで行きました」

セカンドキャリア

「経験豊富な選手。偉大なゴールデンエイジをおくってきたベテラン選手がいて、そういう選手をコウタロウがつかまえて次につなげようとするのはすばらしいですし、彼が声をかけた選手は非常に賢くて新たな教育の方針をよく理解してくれています。鳥丸太作氏(元バルドラール浦安)や岩本昌樹選手(バルドラール浦安)が参加することが現在決まっています。コウタロウの新たなビジネスです。彼(コウタロウ)を中心にやっていきますが、どんどん大きくなってくると思いますし、新たな選手も参加してくれることを望んでいます。これまで日本の中に当たり前のようにあった教育を変えることのできるキャパシティーを持った選手たちです」

コウタロウからの申し出

「彼はまだ現役選手ですが、すでにいずれなるであろう監督・教育者・指導者の顔は見えています。代表の更衣室の中でも若手とよく話す選手であったし、初めてこの話を聞いたとき、僕も似たようなことを感じていました。やろうと思っていました。実際にほかでも考えていたことが交差しました。そして、気持ちが固まってこのプロジェクトがスタートしました。各世代に合わせたトレーニングメニューを現在制作中です。その中では差別化。ほかの学校では見受けられないオリジナルを考えています。コウタロウと考えていたこと・フィーリングが合いました。お互いに欲や野望もあります。今はトレーニングメニューの生みの苦しみがあり、大変ですが、彼や僕・岩本・鳥丸の経験、力を合わせ乗り切れますし、新しい形を体現していきたいと思います」

最終到達地点
「このプロジェクトがどこへたどり着きたいというよりはまずは東京を中心にして徐々に全国に広めていきたいです。フットサルもサッカーも同じ家族の中にいる2つのスポーツなので。サッカー選手を目指すのであればその中でフットサルは非常に役に立つものということを伝えていきたいです。地点とか限界はなくて、伝えながら、学校が大きくなって子どもたちが増えてくるのであれば歓迎です」

 

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