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無料記事:最高峰の舞台を目指して! 城北のエース熊坂結女、府中女子プリメイラへ移籍(2017/4/12)

熊坂結女選手(♯8)ら、府中アスレティックfc女子プリメイラのメンバーの集合写真が4月11日、クラブのHPに掲載された。後列左端が松田大次郎新監督。昨季まで関東リーグ2部FUTUROで現役としてプレーする傍ら、男子(都3部ビゴーレ現監督)と女子(うー魚/現TapaZida)の両方で指導歴を持つという異色の存在だった(写真は府中AFCのFaceBookのスクリーンショットです)。

 

「ゆめ」こと熊坂結女選手の城北デビュー戦となった2015年5月3日の都女子2部開幕戦(対戦相手はJonita)。カウンターからドリブルを仕掛けこの試合2ゴールを挙げ、敵はもちろん、チームメートも驚かせた。以来相手チームのマークが厳しさを増したがシーズンを通してゴールを量産した。

 

2017年1月9日の都1部最終戦(府中AFC女子キンツェム戦)でも得意のドリブルから先制ゴールを決め、結果的にチームの1部残留に貢献した。その後移籍の話が急浮上し、この試合が熊坂結女にとって城北での最後の試合となった。

 

フットサルに転向して3年目、飛躍のとき来たる

考えてみれば、バジェーナブランカ城北レディース(以下、城北)は、東京都エントランスリーグから同1部へ最短で駆け上がったチーム。しかも、14年に及ぶサッカー漬けの日々から2015年に城北に入団し、初めてフットサルをプレーした「ゆめ」こと熊坂結女は入団初年度に得意のドリブルからのシュート力で1部昇格に貢献した不動のエースだった。パスワークが主流になりつつあるフットサル界で、個で局面を打開する能力を持つ彼女が、同じ1部のチームにスカウティングされても何の不思議もない。

しかも、彼女を獲得した府中アスレティックfcプリメイラ(以下、プリメイラ)は並のチームではない。都1部にいながら日本女子リーグに所属するチーム。熊坂は努力次第で、いきなり、女子フットサル界最高の舞台でプレーするチャンスを手に入れることができるのだ。プリメイラは2017年シーズンに都1部の1つ上に位置する関東女子リーグ入りを目指して松田大次郎新監督を招請(1月15日発表)。強化に本腰を入れたばかりでのスカウティングだが、まだ21歳と若く、上昇志向の強い熊坂が移籍を選択したのも納得がいく。

年明けに彼女の移籍の意思を知った僕は、彼女の大きな飛躍へのエールをこめたものにしようとインタビュー機会をうかがったが、タイミングが合わず、結局1月31日(プリメイラ初練習参加前日)にようやくLINEで以下のやりとりを交わすことができた。ところが、正式発表を待ってからという条件がプリメイラから提示され、ようやく日の目を見ることになった。そこには、移籍を決意した経緯、城北の川監督やかつてのチームメートへの思いが熱く語られていた。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

熊坂結女 KUMASAKA Yume 東京都女子1部リーグ/日本女子リーグ・府中アスレティックfcプリメイラ ♯8 PIVO-ARA
1996年1月23日生まれ(21歳) 東京都出身
サッカー歴:2001-2008年武蔵村山FCJr、2008-2011年FC BELTA、2011-2014年村田学園女子サッカー部、2014-2015年東京工学院専門学校サッカーコース
フットサル歴:2015-2017年BALLENA BLANCA城北レディース、2017年府中アスレティックfcプリメイラ

(バックナンバー)
[無料記事/Road to 関東]BALLENA BLANCA 城北レディース・9番ゆめ「コーチの影響で小4から学んだドリブルは体が忘れない」(2015/6/19)
http://pivo.co.jp/19post_411.php

 


府中AFCのFaceBookで発表されたプリメイラのメンバーリストほか(同FaceBookのスクリーンショットです)。

 

クリニックで直接声をかけていただいた

Pivo! 府中アスレティックFCへの移籍を知って驚いている。移籍を決意したきっかけは?

熊坂 (監督の)松田さんとは瞳さんを通してお知り合いになり、11月ごろに何回か松田さんのクリニックに参加させていただきました。はっきりは覚えていないのですが、確か11月の末か12月の頭に“アスレに来ないか”と声をかけていただいたのがきっかけです(注:中島瞳は城北の選手兼部長)。

Pivo! 城北の川監督には、移籍の話をいつ、どんな形で伝えた?

熊坂 川さんにお話ししたのは1月15日、この日はゲーム大会で、その合間にお話しさせていただきました。
私の気持ちが変わったきっかけが、10月ごろに選抜の選考会があり、落ちてしまったのですがその中でたくさんの刺激を受けいい経験ができました。
感じたこととしては、周りとのスピードの差、判断力、動き方、ほかにも足りないところだらけで歯が立たなかったです。
今のままではこの差を埋められないと思い移籍を決断しました。

さんには、“フットサルの基礎、土台がなってないのに移籍したところで壁にぶつかって逃げる。レベルの高いところでやって追いつけなくてフットサルをやめてしまう。そうなってしまうのが1番怖い”というふうにいわれました。
わたしのことを思い、いってくれてるのはとても伝わりましたし、川さんもプレーヤーとしてやってきた人なので、経験者は語るじゃないですけど、いってることは間違っていないと思いました。
さんがいっていたとおりになってしまうんじゃないかという不安もありましたし。
それでもたくさん悩んで出した決断なので。うまくなりたい気持ちが強かったです。

Pivo! 府中女子プリメイラについてどんな印象を持っている?

熊坂 クラブがおっきいということ、日本女子リーグに参入しているということ、フットサルをするうえでとても環境が整っている印象と、フットサルの面では、相手の特徴を理解し、臨機応変に対応できるチームだなと思いました。試合で戦ったときのことですが、城北が先制点を獲ったものの(相手は)守備をマンツーマンからゾーンに変え、それにはめられミスを誘われ1-4で逆転負けしたのを覚えています。

最高峰の日本女子リーグでプレーしたい

Pivo! 移籍後はチームの練習に合流して、トップのプリメイラ昇格をうかがう、という流れか?

熊坂 2月1日と2月5日の2日間(の練習)で、トップになるか下部組織でやるか決まります。

Pivo! プリメイラは都1部のチームとして唯一、日本女子リーグに所属している。その一番高い舞台でプレーできる可能性も移籍理由の1つか?

熊坂 そうですね。日本女子リーグに参入していることは、わたしの中でとても大きく、その高い舞台でプレーしたいというのも決断した理由の1つです。

Pivo! 移籍後、新しいチームでどんな選手を目指し、どんな活躍をイメージしている? 日本女子リーグでプレーするうえで不安は感じていないか?

熊坂 トップチームに入り、観ていて楽しい魅力のある選手になることです。
正直不安でいっぱいです。レベルの高いチームですし、うまい選手が集まっているので。
自分が置かれる状況もそうですし、いろいろな面が変わるので精神的にもプレーの面でもついていけるか不安ですね!
でもその反面、レベルの高いチーム、うまい選手がそろっている点では、勉強になることはたくさんあると思いますし、その分たくさん吸収できると思うと楽しみで早くやりたい気持ちが大きいです!

考える力を練習で養っていきたい

Pivo! キミのドリブルからのシュート力は都1部でトップレベルだ。それは都2部から1部に昇格して全チームがキミに厳しいマークをしてきた事実が証明している。
と同時に、女子も今や、クアトロ(4:0)全盛の中で、ピヴォを使う3:1とクアトロとの併用は結果を出すうえでとても重要なこと。だからこそ、ゆめちゃんに白羽の矢が立ったんだと思う。
そこで厳しい質問をします。個人技にたけている反面、クアトロからのパス回しのようなチームワークは、ゆめちゃんの場合、弱点のように見受ける。その点をどう受け止めているか?

熊坂 山下さんがおっしゃるとおりで、そこの部分が足らないところでもありますし、これから乗り越えていかないといけない課題でもあります。今まで本能でしかやっていなく、2部でできていたことも、1部のレベルでは通用しなかったりというのが現状です。
クアトロ、エイトの動き、動き方は練習して慣れれば誰でもできると思います。その動きにプラスして、相手の状況を観る力、相手の見えないところ、嫌なところを突く洞察力、それを含め考える力が欠けていると思います。
克服するには相当な練習と努力が必要だということ、毎回の練習で少しずつレベルアップできるよう頑張っていきたいです。

都2部で優勝し最年長の純さんを
みんなで胴上げしたことが一番の思い出

Pivo! ゆめちゃんは川監督のもと、都2部開幕戦から城北でエースとして大活躍してきた。その城北を去ることになった今の心境、気持ちを。

熊坂 サッカーからフットサルに転向し、わたしは2部から2年間城北でプレーさせていただきました。川さんには本当に迷惑をかけてしまい申し訳ないという気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいです。城北を去る際、「つらくなったり嫌になったらいつでも戻って来い。でもそのときは笑ってやるけどな」といわれました。いろんな思いが詰まった言葉だと私は思っています。本当に恵まれてるなと改めて思いましたし、普通だったらまずあり得ないことだと思うので。
さんが見送ってよかったなって思ってもらえるように結果を残したいです。

Pivo! 城北でチームメートと過ごした3年間で一番の思い出は?

熊坂 そうですね。たくさんありますが。
1番は、2部で優勝し城北の最年長である純さん(41歳)をみんなで胴上げしたことです。
みんなのママ的存在で、ヘラヘラしててみんなからババア呼ばわりされてますが、周りに気を配れて城北にはなくてはならない存在です。1部でもっと試合に出させてあげたかったのと、もう一度胴上げしてあげたかったのが心残りです。

プライベートでは、試合観戦に行ったり、チームメートの子の家にみんなで泊まりに行ったりしましたね。
チームメートの子の家に泊まりに行ったときのことなのですが、その子がきれい好きというか潔癖症で、人数分のスリッパを用意していて、半強制的にスリッパを履かされたのをすごい覚えてます。そんなふうにスリッパを履かされたのはわたし含めみんな初めてで文句と笑いが止まりませんでした。笑
思い返すと楽しかった思い出がたくさんですね。

いろんな思いをみんなと味わえたことは大切な宝物

Pivo! 最後に一緒に戦ってきたチームメートにメッセージを。城北の仲間とは今後、都1部のライバルとして直接対決する日が来るが、そのときどんな言葉をかけるか。 

熊坂 長いようで短かった2年間。入ったとき、城北のほとんどが飛鳥高校の人たちでなじめるか正直不安でした。笑
一緒に練習をしていくうちにいつの間にかなじめてて、同じ目標を目指す仲間がいて、気づけば2部優勝、1部昇格と、1部残留、共に過ごした時間があっという間でした。

みんなで試合前に戦術、コーナーの確認で練習したとき、確認したのはいいものの、結局自分たちでわけ分からなくなって確認が疑問だらけで終わったり…。
みんながサッカー上がりだったのもあって、フットサルの知識が低く、悔しい思いをしたことも多々ありました。今思うと川さんばかりに頼っていた部分があったのかもしれません。自分たちで、もっとやれたことがあったのかなと今更ですが思います。
いろんな面に気づけたこと、いろんな思いをみんなと味わえたことは、大切な宝物で、つらくなったとき思い出す場所だと思っています。
自分でもあきれるほどの馬鹿なわたしを笑って許してくれて、丁寧に教えてくださった川さん、みんなには本当に感謝しています。
試合で当たるときはお互い成長した姿で、ガチで戦って、勝ち負けはありますが、終わった後気持ちよくありがとう。って抱き合いたいです。
それまで日々の練習をものにし、人としても、選手としても成長できるよう頑張ります!
最後に、城北の関係者のみなさん、かかわってくださった方々、応援してくださった方々、本当にありがとうございました。
そして山下さん。2年間城北のエースとして取材してくださって本当にありがとうございました。エースとしての期待に応えられず、1部では思うような結果が出せず終わってしまい、すみませんでした。
今季城北と戦うときは成長した姿を見せたいです!
これからも城北の取材のほど、よろしくお願いいたします。

2年間本当にありがとうございました。

 

 

[川崎康裕城北監督のコメント]
行くなら思い切ってやってこい

ゆめから移籍したいと聞いたときは、遅かれ早かれこういう日が来るとは思っていましたが率直にまだ早いと思いました。まだまだフットサルスキルは足らないし外で通用する技術はないといまだに感じています。
うちのチームにいるから目立つわけですし…。
ほかのチームにいってうまいメンバーとやってゆめのいいところが消えてしまうのではないかと心配でたまりません。
都選抜候補に選ばれ練習に参加しいろいろ感じてきた結果本人はレベルアップのために移籍をしたいといってきました。

ゆめに対しては、移籍をするなら思い切ってやってこいと伝えました。
ただ、壁にぶつかって悩んだりうまくいかないことがあったらいつでも相談してこいと。
オレは心配でたまりません。
ゆめには活躍してほしいけどうまくいかなかったときのほうが心配だから遠慮なくいつでも、会いに来て相談してくれたらいいよと。

ゆめとはこれからも長い付き合いになっていくとも話しました。
一生の、付き合いだと。
うれしくもあり悲しくもあると。

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